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八話の彼と
三話目くらいから、なんか変だなって思ってはいたんだけど、六話で確信に変わった。わたし、主役じゃないみたい。かといって、モブキャラでもなくて、いわゆるヒロインの恋敵って役割ってかんじ。
最初は、主役の彼とヒロインが出会う瞬間を見かけちゃったんだけど、なんか、そのときだけ時間がゆっくり進んでる感じになって、世界全体がちょっと明るくなってた。で、ほんと今考えればよくわかんないんだけど、すごいそれに嫉妬しちゃって、その頃は結構ひどい顔してたと思う。恥ずかしい。
私は彼を取られないように必死で、なんだったら、ヒロインのことを、私たちの恋を盛り上げるスパイスくらいに思ってたんだよね。ああ、情けない。
私の恋がうまく行けば行くほど、世界が盛り上がってる気配があったんだけど、それってヒロインに向けられた応援だったんだろうね。
彼とデートしてても、なんか暗いムードになってきてた五話の最後でヒロインが事故しちゃって、六話の冒頭で、彼は私を振り払ってヒロインのところに走り出して、後半戦スタートって感じみたい。
なんかやる気なくなるなーって感じだったんだけど、八話で彼に出会ったの。主人公じゃない彼。
彼は最初ヒロインと仲が良かったみたい。主人公の彼は、それに嫉妬したりしてたんだって。笑っちゃうよね。
八話の彼は凄く知的で、一話目から自分が脇役だってこと気づいてたんだって。というか、自分は主人公タイプじゃないからって、ずっと空気読んでヒロインと過ごしてたらしい。いい人すぎ。
「シーズン2いけるかなー」とか「せめて映画版で報われたい」とか愚痴る私をみて、にこにこ寄り添ってくれた八話の彼。そんな私たちが惹かれ合うのは必然だったかのように、いろいろなことが巻き起こっていって、とうとう最終話。
最後まで紆余曲折あったけど、やっぱり彼と結ばれる運命だったみたい。主役じゃなかったけど、結局幸せだったのかもな。
そんな風に思い返してたら、主人公の彼とヒロインが笑顔で近づいてきて言ったの「僕たち脇役だったけど、二人の恋を応援できてよかったです」って。
八話の彼の横顔がどんどんクローズアップされていって、わたしドキドキが止まらない。
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