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リモートでプロトタイピングの授業をやってます

2019年から、京都芸術大学(旧名称:京都造形芸術大学)で、クロステックデザインコースの学生向けにプロトタイピングの授業をしています。
クロステックデザインは面白い学科で、UXデザインやスタートアップ的な雰囲気が基調にありつつ、各分野のデザイン手法を横断して学ぶという今っぽいカリキュラムが組まれています。(UnityとかBlenderを使ったり、Vtuberになってみたりという授業もあるようです。僕も受講したい)

僕はその中で、「ものを作ったり見たりすることによって、自分のアイデアの幅を広げる」というプロトタイピングの授業を担当しており、2020年の後期は、2年生向けのメイン担当が一つ、1年生向けのサブ担当が2つと計3教科を受け持っています。デジタルなツールやアウトプットを扱うことが多い学科だからこそ、アナログな作り方や考え方を学んでおこうということですね。

ご存知の通り、2020年は全国的に大学の授業はリモートで実施されました。僕の担当科目も当然ながらリモートで実施…ということになったのですが、ものづくりをリモートで教えるのは難しいです。ZOOMの画面はそこまで画質が良くないし、作って見せることはできても、学生の作品を直接見て指導することもできません。
そこで、「プロトタイプのメイキング動画をあらかじめ収録しておき、学生にそれを見ながら自分の作品を作ってもらう」という手法を取り入れたところ、一定の成果があったので(ちょっとタイミングは遅いですが)シェアしたいと思います。

メイキング動画を使って工作を伝える

この授業で心がけたことは、「まず自分でお手本を作り、それをトレースしてもらった後に学生オリジナルの要素を交えたものに応用する」ということです。そのために、プロトタイプ制作はほぼすべて手元動画を撮影し、それをYoutubeで共有することで、リモートでの開講であっても工作を効果的に学んでもらえるように努力しました。↑のような動画を、1回の授業ごとに3-4本用意するイメージです。動画の作りはラフですが、正直かなり時間はかかります。ただ学生が自分のペースで進められることや、授業時間内に学生の質問に答えやすくなることなど、リモートならではのメリットもありました。

主に扱った素材は、身近で手に入りやすい段ボールです。TENT青木さんの「なんとかする工作」の段ボールモデルを参考にさせていただきつつ、CADデータを作り、それを立体化するという方法で、CADとプロトタイピングの両方を学ぶことを意図しました。(手に入りやすいとはいえ、最初に必要な素材は学生宅に郵送しました。事務作業を担ってくださった学内の先生、スタッフさんに感謝)
最初は教える側も教わる側もおっかなびっくりではありましたが、さすが飲み込みの早い学生たち、半期が終わる頃には自分たちのアイデアをしっかり形にできるようになっていました。本当に成長が速い!
クロステックデザインコースのブログで、学生作品など紹介していますのでぜひご覧ください。

実際半期授業を回してみて、動画収録方式による工作を教えることはかなり手応えのあるものでした。この方法を応用すれば、例えばものづくりのワークショップを効率よく行えたり、企業に対してのデザイン研修プログラムなんかも作れるな…と妄想しています。

前期は1教科だった担当が後期は3教科になったため、現在またてんやわんやしているのですが、若い学生に関わらせてもらえるのはとても面白いです。教えるには自分がそれを噛み砕いて理解していることが必要なので、自分の勉強にもなりますし。
プロダクトデザインやものづくりに関わるデザインは今後どんどん形を変えてゆくと思いますが、次世代を作る学生たちにスキルや考え方を伝えるのは、ささやかながらデザインの未来に貢献しているようでいい気分です。

もっと面白い授業を作りたいので、こんなデザインの授業が良かった〜という情報がありましたらぜひ教えて下さい!!


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