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書評;西野向日葵、著 「王妃ベルタの肖像」(富士見L文庫)

こんにちは、匤成です。

昨日「王妃ベルタの肖像」を読了した。富士見L文庫は富士見書房のレーベルのひとつでライトノベルを中心に刊行している。本作もその範疇に入るという訳だ。

西野向日葵は「小説家になろう」でこの王妃ベルタを連載中で、ユーザー名は向日葵で、西野の苗字はついていない。『王妃ベルタ』と検索すればヒットするが、ベルタだけだと登場人物の名として他のユーザー作品も多数出てくるので要注意だ。そして、この作品は一巻完結ではなく、続編も出る。

「小説家になろう」の性格

私も初めは「なろう」を利用していた。魔法科高校の劣等生や、異世界食堂、大ヒットとなった薬屋のひとりごと(ヒーロー文庫)などからも分かるように、ライトノベルが中心で、甘々な展開が多い。純文学や古典風作品も無いではないが、人気や投稿数もライトノベルに比べると比較にはならないようだ。

ペトラ人

主人公であるベルタ・カシャはペトラ人と紹介されている。ヨルダンにある古代遺跡の名だ。あとがきにも書かれているが、近親結婚によって血が濁り、世継ぎが生まれず国自体が滅亡の危機に瀕した国を特集したNHKのドキュメンタリー番組が発想の起点にあると言う。年代設定も中世で、滅亡危機にあった『国のもしもの物語』だと西野は言う。南部ペトラを舞台の一部に選んだため西欧風のステレオタイプな恋愛ものではなく、異国情緒が出たのではないかと著者も述べている。

その通りだと思う。日本人は色彩が似たアジア系の肌の色、白い肌のキャラを主役とし、肌の色が違う人は脇役であることが多いようだ。アメリカなどのロマンス作家は国柄、国内でもどこを舞台にするかでそこに住む人たちの肌のキャラクター設定をしている。

第二妃の予期せぬ妊娠

アウレタリア国王ハロルドは、父王の庶子として生まれ、父王の正妃に育てられて何とか王座についた苦労者だった。国教はプロスペロ教会というもので、一夫一妻制。離婚、自殺は禁止。それゆえに庶子であるハロルドは“愛人の子”として教会には認めてもらえず、反対勢力となっていた。世継ぎのためにハロルドは新興宗教を立ち上げてまで宗旨替えし、第二妃を迎えることにした。

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