コロナ解雇からFreelancerに転身した話

このnoteは、2020年3月末〜4月頭にかけて書いたものがベースになっています。アップするタイミングを掴めぬまま、この1年間、ずーっと下書き(未公開)のままだったものを、再編集・追記して公開します!

私、「コロナ解雇」されました。

2019年8月より勤めていた人材紹介会社Grasp!より、2020年3月19日付で解雇通告を受け、翌3月20日に退職しました。

正式には、ベトナムの労働法第38条(c)に記載のある、

「天災などの不可抗力事由が発生し、雇用者があるゆる手段を尽くしたにも関わらず労働者を減らす必要がある場合」 
2019年ベトナム労働法典(仮訳) より抜粋

に該当するとしての「解雇」だった。

背景としては、コロナウィルスの件の他にもあり(詳細は後述します)、それらも踏まえた代表の判断であり、私自身ちゃんと納得した上でのこと。
つまり、会社・私個人双方にとって発展的解消であることについて、誤解がない様、先に記しておきたいと思う。

正社員として「解雇」になったものの、話し合いの結果、すでに(これを書いている2020年3月末時点で、)Freelancerとして業務委託契約書を取り交わしている。

最も恐れていた、「ベトナムに滞在し続けられなくなるかも」という不安については、これまでどおり、労働許可証・滞在許可証共に保持できるなどの対応をしてもらった。
ただし、正社員時にあった基本給がなくなり、これからは成果報酬一本で当面は勝負していくことになる。


解雇されてホッとした?

まさか自分が「解雇」になるという展開について、全く予測できていなかった。
私にとってこの解雇通達は、これまでの人生で起きたことのない想定外の出来事でだった。崖から落ちていくイメージがすーーーっと頭に浮かび、「終わったな」と思った。

でも同時に、緊張の糸が切れて安堵する自分がいた。

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商品=サービス=自分自身、にならざるを得ない人材紹介の業界において、会社の看板や役職におんぶに抱っこになりすぎずにやっていくためには、自分が、<どういう人間>で、<どんな価値観や目的>を持っていて、<なぜここにいるのか>といった自分自身への問いを立て続けることが大事だ、と教えてもらった。

ただ、そのことを学ぶ過程で代表との1on1ミーティングは、最低でも2時間とやたら長い…。
「重箱の隅を突くようなつもりではない」「悪意があって言っているわけではない」という前置きを挟みつつも、その前置きが(マジで!)全く意味を果たさない。

「謙虚さがない」
「配慮が足りない」
「圧倒的な知識不足」
「サービス精神の欠如」
「生産性がなく人の時間及びコストを奪っている」

などなど、随分とボロクソに言われた。

『私自身の価値観や人間性を否定されている訳ではない』と頭ではわかっている。
けれど、長時間連続的に理詰め攻撃(指導)を受けていると、まるで自分自身や生き方、その全てを否定されているように感じた。

精神的に追い詰められる日々に、何度、こちらから退職を切り出すべきかと悩んだことか…。

それでも自分からの辞めると言わなかったのは、オブラートに包まない厳しい事実を面と向かって伝えてもらえたおかげで、「自分」という存在が徐々に浮き彫りになっていくのを実感したからだ。

新しい思考法やキャリア観を養い、視野を広げることができたのは、紛れもなくGrasp!で働いた経験があったからである。

ただ、残念ながら在籍中そのことを生かして、いわゆる営業担当としての成果へと繋げるところまでは、力が及ばずだった。
天災による不可抗力がきっかけではあったものの、与えられた職務内容に対して能力不足であったことを認めざるを得なかった。

初めての業界・職種・働き方など、これまで経験したことのないことへ挑戦してみたけれど、失敗した。
どこかでそのことに気がつきながらも、それを認めることができなかった。「諦めない!」という根性論で、しがみついていたのだと思う。

今回の一件で、ようやく手放すことができた。


今の私にできることについて本気で考えた

(一瞬)無職になった時に「私って何ができるの?」と、何度も何度も考えた。

私の場合、アパレルの生産管理としてのキャリアが一番長かったけれど、改めて考えてみると、勤めた企業に適応したスキルやキャリアであり、それを独自の能力とは言い難いものだった。

「…私、何にもできないじゃん」と無力な自分に愕然として、何度も泣いた。

それでも、もう泣いている場合でもなく、なんとかして自分の武器を絞り出さなくてはならなかった。

「できる」だなんて、言えるスキルなんてない!!
「できる」だなんて、恥ずかし過ぎて言えない!!

散々、この攻防を自分の中で繰り返し、自暴自棄に陥ったりしながらも、最後の最後で弱々しく出てきたのが、「ベトナム語」と「写真」だった。

不器用すぎる自分にとっては、この2つだけが唯一、まあまあの得意分野で好きなことだった。
「もうココを伸ばしていく方向でいくしかない…!(泣)」と腹を括り、見切り発車で活動を始めたところだ。

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それと、全く目新しくもないのけれど、「ブログやろ!」と思い立ってnoteを再開し、Twitterもはじめてみた。

今回のコロナウイルスの感染拡大の件では、友人のアパート一棟が突然隔離されたり、飲食店やマッサージ屋、ヘアサロン等が営業停止に追い込まれたり…。
兎に角、これまで身に起きたことのない出来事が、身近でどんどん起きている状態なのである。

2010年代のベトナムは、経済成長真っ只中の上り調子で、まさしく、在住9年目(2020年当時)突入の私自身は、その恩恵を存分に受けてきた。

けれど、2020年代のベトナムは、これまでのやり方では通用しないのだと、暴力的に叩き起こされたような感覚を受ける。
この予期せぬ事態の数々に対して、どれだけ自分事として捉え、一人一人がどのように行動していけるのかを問われているかのよう。


「これから無職になるのではないか」
「ベトナムにいられなくなるのではないか」
「日本に帰っても仕事がないのではないか」

先行き不透明の中で、私と同じような不安を抱えている人が、今後出てくるかもしれない。

海外転職といった狭い意味でのキャリアではなく、「どう生き(伸び)ていくか?」という広い意味でのキャリアで捉え、柔軟な行動が必要な気がする。

そう言った意味でも、これまで順風満帆にベトナム生活を送ってきた私が、突然の解雇通告を受け、全く準備なしでFreelancerとして活動する過程(実体験)を、包み隠さず綴っていくことも、ひとつの「できること」なのかなと思っている。

勿論、不安や悩みを助長したり、同情を買ったりしたいわけではない。事実をきちんと受け止めた上で、これからも楽しくベトナムで暮らしていくことが目標だ。

そのためにも、まずは、日々の記録と自分自身の理解を深めるためのアウトプットとして。

そして、この実体験が、ほんの少しどこかの誰かの役に立てたら嬉しいな、という小さな期待を持ちながら発信していこうと思う。

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急遽、新しい一歩を踏み出さなくてはいけなくなり、正直怖くて仕方ない。でもこの状況、恥ずかしくて、スーパーダサいし、惨めで、ほぼ誰にも打ち明けられていない…。

いつか、笑って話せる日が来るのだろうか…。

しかし、マイナスなことばかりでもない。自分のペースで、一つ一つ手探りで進んでいける、大きなチャンスを手にすることができたのだから。少なからず、ワクワクしている自分もいる(…と思う)。

これからどうなっていくのか?全く先が読めないけれど、0からスタートする私のこと、応援よろしくお願いします!



再編集後記/2021年3月20日

いやーーー激動の1年でした(笑)

・(正社員として)解雇される
・ベトナム人彼氏(現在の夫)のヘアサロンが営業停止になる
・たった10,000ドン(約50円)を使うことが恐怖になる
・髪の毛をブリーチする
・Instagramを通じて、写真家さん達と繋がり始める
ホームページが完成する
・ポートレイト撮影を開始する
・事故る
・精神的にかなり追い込まれ、泣き暴れる
・日本語教師をはじめる
・フルタイム勤務の仕事も決まる
・子猫を拾い、飼い猫が5匹になる
・フィルムカメラを購入する
・ベトナム人彼氏と結婚する

ざっくり書いてみると、こんな感じです。

過去に遡ってnoteを読んでいただけると、無価値感に苛まれ、情緒不安定であったり、はたまた、妙にハイテンションだったり…と、オカシイのがわかるはず(恥)


解雇されたあの日から1年。
現在は、有り難いことに、4つの仕事を掛け持ちさせていただいており、「パラレルワーカー」になった。
業界も業種も違うけれども、どれも「自分らしさ」を感じながら、そして、楽しみながら働いています。

これは結果論でしかないのですが、プライドずたぼろ、失意に暮れるあのしんどい日々があったからこその「今」だと思っている。

事実と向き合い、トライ&エラーを繰り返しながら、行動し続けることだけが未来を創るのだと、身をもって経験したことで、1年前の自分よりは、確実に強くなれたと思います。

今、穏やかにこの編集後記を書いていることが、本当に幸せだ。

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今回は、「キャリア」というテーマで書いてみたけれど、近々また別の切り口(写真のこと等)で、2020年を振り返るnoteを綴りたいと思う。

最後になりましたが、支えてくれた全ての人たちに、心から感謝の気持ちを伝えたいです。

どうもありがとうございました!
Xin c
m ơn.


▼参考資料

キャリア論・仕事論として、Grasp!の考える「アフターコロナ:日本人の転職」も参考になるかも?
ご興味ある方は、ぜひ読んでみてください。



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