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雨音の夜

午前4時に雨音で目が覚める
微かに聞こえてくる雨音
昼間の雨は気分が下がるけど
夜の雨はなんとなく安心する

屋根から落ちた雨粒が
ベランダの何かに当たって
トン、トン、トンと
軽快なリズムをつくる

遠くの方から
タライのようなものに雨粒が落ちて
タラン、タランと
ゆっくりしたリズムが聞こえて来る

時々通る車の
シャーという水しぶきの音

外の世界は
まるでオーケストラのように
色々な音が重なり合って
私にメロディを届けてくれる

なんとなく贅沢な時間

このオーケストラに包まれながら
ゆっくりと深呼吸をすると
溜め込んだ心のモヤモヤが少しだけ
雨音に溶けて
消えてゆく感じがした

雨が小降りになって
一つずつ音が消えてゆく

カチッ、カチッ、カチッと
目覚まし時計の音が
急に気になりだす

カチッ、カチッ、カチッ、カチッ

次々と甦ってくる
山積みになった
解決してない、いくつかの問題

そして過去に負った心の傷

このどんよりとした気分
雨が降るたびに
少しずつでいいから
消えてくれればいいのに

心地よい深呼吸だったのに
一気にため息に変わってしまった


外が少しだけ
明るい青になってきた

今まで起きた数々の嫌なことも
それを乗り越えてきたことをかき集めたら
いつか人生も
美しい音色を奏でられるのかな

そう思ったら
顔が緩んで口角が少し上がった

そっと目を閉じる

どうか今日一日が穏やかで
笑顔が一つでも増えている
そんな日になりますように

そして少しでもいいから
昨日とは違う私にれますように

布団の優しい温もりを感じながら
私は深い眠りに落ちていった

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