[詩] 美しきコーヒーカップ
男は笑った
疲れきった僕を見て
「私みたいに生きたらいいよ」と
誇らしげに語る
男は自慢のコーヒーカップを僕に見せ
カップの美しさにうっとりする
底がないことに気付かずに
男はカップにコーヒーを注ぐ
コーヒーはテーブルいっぱいに広がり
逃げ道をなくして
テーブルから床へと流れ落ちる
男は腹を立てて席を立つ
このカップは彼の欲望
決して満たされることはない
底について彼に語る者は
もう誰もいない
窓際のサボテンたちもため息をつく
コーヒーの香りいっぱいの部屋の中で
男は文句を言いながらテーブルと床を拭く
そしてまた新しいコーヒーを注ぎ直し
腹を立てる
彼は永遠に腹を立てながら
幸せという名のコーヒーを
いつまでも味わうことができない
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