マガジンのカバー画像

小説とか

20
書いた小説とかまとめ
運営しているクリエイター

記事一覧

きみのことば

"ことば"という単語の成り立ちを知っているかい?言うことの端と書いて言端(ことば)、言うこ…

降谷椎
8か月前
12

線香花火

 この線香花火が落ちるまで、その間の時間は僕ら二人の、二人だけのものだ。だから僕はこの線…

降谷椎
1年前
10

クセモノぞろいの友人たちへ

拝啓、僕の最高に最強に個性的な友人様。 ご機嫌麗しゅう。そちらの天気など如何ほどだろうか…

降谷椎
2年前
10

僕と彼女

「君は相変わらず物事を考えすぎるきらいがあるようだ」 久しぶりにうちへ帰ってきた彼女は、…

降谷椎
2年前
6

しにたみくん

 しにたみくんは、いつも私の傍にいてくれる。  朝目が覚める。セットしたアラームが鳴る前…

降谷椎
2年前
7

言の葉堂にようこそ

 この広い電子の世界の片隅に、その書店はあった。  見た目は小ぢんまりとしているが、入っ…

降谷椎
2年前
8

AR生活

 僕はいつものように、魔法陣のような模様が金色の線で描かれたコンタクトレンズを目に嵌めた。視界の左下に今日の日付と今の時刻、それから天気が映り、僕はそれを手でどかして代わりに交通情報を表示させた。明日から連休ということもあって混んでいるらしい。僕はそれもどかして、テレビを点けた。各地の観光名所が賑わっている様子がニュースに映されている。気になった観光地の情報を引き出して視界の右下で流し見しながら、朝食を食べた。 「おはよう」  大学について一限の講義室に入ると、珍しく眼鏡をか

VRCの一日がはじまるまで -夏-

目が覚める。クーラーがガンガン効いているこの部屋は適温に保たれているが、それでも汗はかい…

降谷椎
2年前
5

VR延命行動

「あなたの余命はあと半年です」  そう告げる医師は淡々としていた。きっと慣れているのだろ…

降谷椎
2年前
7

140字短編集

青僕は青が好きだ。 だから青い光は錯乱して反射して広がるようにして、広く響くようにした。 …

降谷椎
2年前
3

VR理想現実

「警部。また例の死体、あがったそうです」 「またか……」  部下からの報告に溜め息をつく。…

降谷椎
2年前
3

VR幸せのかたち

 医師から言い渡された事実は今の私達にとって、いや、今となっては私だけにとって、とても残…

降谷椎
2年前
6

VR子育てはいかがですか

「髪の毛は何色がいいと思う?」 「青色好きだろ。青にしたら」 「でもキリクとの子でしょ? …

降谷椎
3年前
14

52Hzの鯨

 彼は、煙草を吸うときは、いつも一人だ。  喫煙室というのは混む時間がなんとなく決まっている。決まっているというか、皆が吸いたくなるタイミングというのが似通っていて、混む時間帯と全く人のいない時間帯がある。  彼はいつも人がいない時間帯を狙って、喫煙室で煙草を吸いに来ているようだった。そこに誰かが来ると、煙草を付けたばかりでも揉み消して去ってしまう。私が喫煙室へ入ったとき彼の煙草はまだ長いままだったが、どうぞ、と言って彼はその付けたばかりであろう煙草を揉み消して去っていってし