山の声を聞きに。~山にこもって『堀辰雄集』を読む~

画像1 GW,山小屋を貸してもらう。賃料がわりに掃除、お供え、少々の木こり作業を。写真は食料一覧。やや寂しいが4泊には充分であった。
画像2 水を汲み、薪を集め、飯を作り...一日が過ぎるのは早い。写真は米を炊く様子。石を土台にすると火力が偏ってしまい半分黒焦げ、半分生煮えの出来であった...。
画像3 徒歩15分の岩場。夕日も朝日も近くに感じる。
画像4 朝飯兼昼飯。バゲットは前の晩に熾火でじっくり水分を抜いておいた。日持ちさせるための処置であったが、美味なため一食で消える
画像5 山の幸はひとまず味噌で煮込む。
画像6 薪を組み、土台にすることで火力が安定し、うまい飯が炊けるように。万事、余裕が生まれ、『堀辰雄集』をひらく。ある時間、ある場所でこそ心に染み通る本がある、と知る。
画像7 『風立ちぬ』『聖家族』『幼年時代』。俳人のように、もしくは隠者のように世間と距離をおいてひたすらに「美」を追求する。そんな堀辰雄の作品群はこんなさみしいところでこそ。
画像8 山の声。それは多彩で、とらえどころがなく。唯一、大雨の直前、彼らはしんと静まり返る。わたしの知らないところで、申し合わせたように。山の生き物たちに後れをとり、ずぶぬれになりながら「人間は山に対して後手に回るくらいがちょうどよい」と心地よい諦めに浸された。山での生活と堀辰雄の姿勢はわたしを少しばかし謙虚にしたようだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?