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【北海道 東川町】”適疎”を目指す「写真の町」東川町のご紹介

※本記事は、東川町公式noteの「まず知ってほしい、”適疎”を目指す北海道東川町のキホン。」を、一部改修し、引用して掲載しています。

1.東川町って、どこにあるの?


東川町は「北海道のほぼ真ん中」にある、人口約8400人の小さな町です。北海道最高峰の旭岳のふもとに位置し、田んぼと山の風景がとっても美しい場所。マップでいうと、ここです。

旭川空港からは車で約15分。羽田空港からは2時間あれば到着できる、関東圏からは意外にも近い場所です。関東圏からだと、大阪に行くのと変わらない時間でたどり着けます。また、北海道の中核都市である旭川市の中心部からも車で30分ほど。あんがい、アクセスがいいんです。

ただ、関西圏からは夏場しか飛行機が飛びません。関西からお越しいただく場合は、①羽田を経由して旭川空港着か、②新千歳から「たいせつライナー」という旭川空港直行バスを利用いただくのが便利かと思います。

2.「写真の町」として35年の歴史

そして、東川町を語るうえで欠かせないのが、「写真の町」。今でこそ「写真」を活用して地域活性をはかる自治体は数多くありますが、東川町は自分たちの町の自然風景などに価値を見出し、1985年に「写真の町宣言」をしました。30年以上も前に、ハードではなくソフトでの地域活性に舵を切ったってことです。

それ以来、写真についてのいろんな取り組みを進め、2014年には、「写真文化首都宣言」も行いました。

そんな「写真の町」東川町としての、大きな写真イベントは3つあります。

①写真の町東川賞授賞式、受賞作家作品展、シンポジウムや、写真が異分野の文化と出会うイベントも多数行われる「東川国際写真フェスティバル」

②全国の高校写真部・サークルなどから優秀校18校を選抜し、東川町にて高校写真部の全国一を目指す「写真甲子園」

③写真の審査によって、海外選抜校20校、日本選抜校2校が参加し、写真文化と世界の人々を繋ぐ「高校生国際交流写真フェスティバル」

2020年度、2021年度はコロナウイルスの影響で、中止・延期といった大幅に変更がされていますが、これらが例年開催さている町の大きなイベント。夏は町中に写真が展示されます。

個々のイベントの詳細や写真の町としての独自の取り組みは、改めてご紹介していければと思いますが、上記のような「写真の町」「写真文化首都」としてのイベントを毎年実施しています。

3.大雪山と水、そしてお米の町

東川町の基幹産業は「農業」。特にお米です。5月下旬から6月中旬にかけて田植えがはじまり、この風景が広がります。見てくださいこの景色…!

夏にかけて鮮やかな緑に、そして秋には一面黄金色になります。これから本当に楽しみ。

この田んぼの景色を支えているのが、「水」です。東川町は、全国的にも珍しい、北海道でも唯一の上水道の無い町です。

東川町で暮らす人たちは、北海道最高峰の旭岳を有する大雪山から流れる地下水を生活水として利用しています。つまり、蛇口をひねれば”天然水”が出る町ということ。お米や野菜はもちろん、豆腐や味噌などの加工品、飲食店でもその恩恵を受けています。(「水」を理由に町内に移転するお店も多いんです)

水や土壌、気候など条件のよさが揃い、東川町は道内屈指の米どころとしても有名です。地域の名前を関した「ブランド米」として商標登録されたのは、実は2012年の「東川米」が北海道では初めてでした。なんと「北海道米」(2013年認定)よりも早いのです。すごい。「ゆめぴりか」という品種は、今年道内で最も評価されたお米にもなりました。

「水」の話の流れでお米のことを書きました。ただ、東川米がここまでのブランドに育った理由は、町の人たちの長年の努力を含めてほんとに本当にいろんな要素があり、ここでは語り切れませんので別の機会に。

兎にも角にも「東川米」は全国的にも非常に優良なお米ということを、知っていただきたいです。そして本当に美味しいのでぜひ食べてくださいね。

4.ふるさと納税ではなく、「ひがしかわ株主制度」

なんで急にふるさと納税の話?と思った人もいるかもしれませんが、私はこの東川町のふるさと納税の取り組みが、東川町のスタンスを表す好例だと思っています

東川町は「ふるさと納税」を、「ひがしかわ株主制度」と呼んでいます。ふるさと納税の寄付を「投資」と呼び、寄付者を「株主」、返礼品を「株主優待」と呼んでいます。

どういうことか?つまりこれは、ふるさと納税で寄付をしてくれる人を、まちづくりに参加し、共に町づくりをする人と位置付けているということ

なので、町外在住の東川町民として「東川町特別町民」に認定し、認定証をお贈ったり、町が指定した宿泊施設を2泊無料などの優待もしている。交通費の補助などもしつつ「株主総会」も開き、町をちゃんと好きになってもらう取り組みをしています。

これ、めちゃくちゃ手間がかかります。ほかの自治体に比べて、とんでもない労力を費やしていると思います。でも、10年以上、そういうスタンスでこの制度に取り組んでいます。町を好きになってもらい、足を運んでもらうことまで想定した仕掛けを作り続けている

こうした「東川町を知ってくれた人々ときちんと向き合う」という精神が、町の事業のいろんなところで感じることができます。ひがしかわ株主制度は、分かり易い東川町のスタンスのひとつです。興味がある方は、ぜひひがしかわ株主特設サイトから詳細をご覧ください。

5.”人口が増加する町”、東川が目指す「適疎」

最後に東川町をあらわす重要な言葉をお伝えします。

それが「適疎」です。

人口減少は全国どこの地方自治体にとっても悩みだと思いますが、東川町は1993年からの25年で、人口が6,973人から8,400人まで増加しています。この話をすると、いろんな方に驚かれます。

よく「なぜ人口が増えているの?」と聞かれます。私自身もはじめはとても疑問でした。この流れで書いているのでもうお気づきの方もいるかもしれませんが、答えはひとつではありません。

アクセスが良いという「立地」的なこと、田んぼがつくる美しい「風景」「地下水」が生活水であること、「お米」や、水や米に惹かれてやってきた町に点在する美味しい「お店」も関係しています。もちろん、ひがしかわ株主制度などで、東川が外の人たちと向き合ってきた「姿勢」も。ここには書けなかったけれど、かなり「教育」「国際交流」などにも力を入れている。そして、その背景には「写真の町」がある...。いろんな要素が重なって、人口が増えているので、「これです!」と一言いうことができないのです…。

そうして人口が増える中で、じゃあ東川町は「人口1万人の町」を目指しているかというと、そういう訳ではありません。

松岡市郎町長が長年提唱している「適疎」な町づくり。ゆとりのある空間を重視し、過疎でも過密でもない、「適当に疎が存在する町」=「適疎」という考え方が大切にされているのです。

「東川スタイル」というこの書籍は、こうした東川の町としてのスタンスを「東川スタイル」と名付け、町の特色が良く分かります。

「適疎」については、こんな記事もあります。

この、「適疎」を目指したまちづくりの中に、関係人口創出のための「株主制度」などもあります。住みやすい環境が生まれ、共感を呼び、それが人口増加にもつながってきました。東川町はこうした理念をもって、まちづくりに取り組んでいます。

と、本当に駆け足で町の紹介をさせていただきました。繰り返しになりますが、この記事はあくまで町に興味を持ってもらうための入り口であって、事業としても考え方としても、ほんの一部にすぎません。が、この記事ではこのあたりで。ご興味ある方は、ぜひ東川町のnoteもご覧になってください。

それでは、これからも東川町をよろしくお願いします。