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【世代別】人気漫画の主人公に学ぶ!ビジネスコミュニケーション術~キン肉マン、孫悟空、ルフィから読み解く世代間タッグの組み方~

職場には、様々な世代の同僚や上司、部下がいます。
日本企業もグローバル化が進み、外国籍の方が多くいらっしゃる職場もあるかと思います。とはいえ、日本人がマジョリティの職場が殆どではないかと思います。そして、同じ日本人であっても世代を超えた円滑なコミュニケーションが求められますが、正直、互いの価値観や考え方の違いを理解しようとしても、『それが常識なの?!』とギャップを感じることもあります。

そこで今回は、週刊少年ジャンプの歴代主力作品を基に、人気漫画の主人公を例に、各世代の特徴と効果的なコミュニケーション方法を探ってみましょう。

なお、日本のビジネスシーンにおける多世代価値観を考察する上で、少女漫画も重要な視点となり得ます。ですが今回、少女漫画ではなく少年漫画を取り上げているのは、読者層の広さ、物語のテーマ、社会現象などへの影響力、キャラクターが持つ多様な個性、といった理由から少年漫画を取り上げています。ご了承ください。


主人公と世代の代表的な価値観・行動原理

今回、各世代を象徴する漫画として、約50年前に少年ジャンプの初代編集者によって掲げられたジャンプを貫く哲学とも呼べるテーマ「友情・努力・勝利」を体現した3つの漫画を選びました。

80年代に少年ジャンプを支えた「キン肉マン」。その後90年代に少年ジャンプを支え、今もなお世界中で人気の「ドラゴンボール」。そして2000年代以降、少年ジャンプを支える「ONE PIECE」。

これらの漫画は、連載期間の長さだけでなく、幅広い世代に愛され社会現象にもなった作品であることから、各世代を象徴する作品といえるのではないでしょうか。「他にふさわしい漫画があるのに、なぜこれ?」と違和感がある方もいらっしゃるかと思いますが、そこはエンタメとしてお楽しみいただければと存じます。

では、さっそくそれぞれの主人公と世代を代表する価値観、ジェンダーの取り扱い、コミュニケーションの傾向、ライバルの存在意義について考察してみます。

1. バブル世代(1965~1970年生まれ):キン肉スグルに見る「仲間との絆」と「情熱」

バブル景気を経験したこの世代は、競争の中で切磋琢磨し、会社への忠誠心も高い傾向があります。また、彼らは右肩上がりの経済成長の中で、会社の成長と自身のキャリアアップがリンクする経験をしており、それが自身の成功体験として根付いている最後の世代でもあります。

世代を代表する漫画と主人公キン肉マン(1979年22号から1987年21号まで連載)、キン肉スグル

  • キン肉スグルの性格・価値観: 正義感と友情に厚く、どんな困難にも仲間と共に立ち向かう熱いハートの持ち主です。時には無茶をすることもありますが、その情熱は周囲を巻き込み、大きな成果を生み出す原動力となります。

  • ジェンダーの扱い: 女性キャラクターは、守られるべき存在であり、男性を母性愛や献身性(苦手な料理を克服し男性キャラの好きな料理を覚える等)で支える存在として描かれることが多い傾向にあります。

  • この世代のビジネスにおけるコミュニケーション: バブル世代の上司や同僚には、仕事への情熱を共有し、チームワークを重視する姿勢を見せることが大切です。また、彼らの経験や知識を尊重し、積極的にアドバイスを求めることで、良好な関係を築くことができます。

  • ライバルの存在意義: 正義のために戦うことを信念とし、どんな強敵にも仲間と共に立ち向かう。ライバルとの競争も、互いを高め合うためのものと捉え、時には、敵対していた相手とも友情を育み、共に戦う姿は、ビジネスにおける「協調性」や「共創」に通じるものがあります。

2. 氷河期世代(1971~1982年生まれ):孫悟空に見る「個人主義」と「実力主義」

一方で、バブル崩壊後訪れた就職氷河期を経験した世代は、第二次ベビーブームと重なり毎年の出生数も200~150万人と母集団が多く、幼少期から限られたチャンスをめぐる激しい競争システムの中で育ってきました。

そして、ちょうど彼らが社会に出るタイミングでバブルが崩壊し、就職難という厳しい社会状況に直面しています。また、マイホームなどの購入を検討する年齢に差し掛かったタイミングで世界的な金融危機に直面したことなどもあり、将来に対して悲観的になる傾向もあります。

また、そんな状況を生き抜くには「強い個人」であることが求められたこともあり、個人主義であり実力主義的な価値観を持つ傾向があります。

世代を代表する漫画と主人公ドラゴンボール(1984年51号から1995年25号まで連載)、孫悟空

  • 孫悟空の性格・価値観: 強くなることを常に目指し、自分自身の力で困難を乗り越えることにこだわる個人主義者。ストイックな努力家であり、「世界で一番強い存在になる」という目標達成のためには、社会や家族に対する責務を捨ててまでも自己の能力開発のみに邁進し、一切の妥協を許しません。

  • ジェンダーの扱い:女性キャラクターは、登場時は男性キャラクターと対等な立場で描かれることもありますが、ストーリーが進行すると多くのキャラが男性キャラの庇護下に入るか、困難な状況に立ち向かう男性キャラを理解し、支える存在へと落ち着く傾向があります。

  • この世代のビジネスにおけるコミュニケーション: 氷河期世代の上司や同僚には、彼らの専門性やスキルを尊重し、具体的な成果や実績を示すことが重要です。また、個人としての成長を支援する姿勢を見せ、彼らの目標達成をサポートすることで、信頼関係を築くことができます。

  • ライバルの存在意義: 強敵との戦いを自らの成長の糧と捉え、決して諦めずに立ち向かいます。時には、敵の力を認め、共に戦う道を選ぶこともありますが、それは「あくまで自らの成長のため」であり、決して妥協ではありません。ビジネスにおける「自己成長」や「挑戦」に通じるものがあります。

3. ゆとり世代(1987~2004年生まれ):ルフィに見る「自由」と「多様性」

ゆとり教育とその後のインターネットやSNSの普及といった時代の影響を受け、この世代は、自由な発想と多様な価値観を尊重する傾向が顕著です。

バブル世代や氷河期世代が経験してきた詰め込み型で、かつ競争の中で偏差値重視の教育(勉強・成績中心主義)ではなく、個性を伸ばす教育方針や、多様な情報に触れる機会が増えたことで、従来の価値観にとらわれない柔軟な考え方を身につけている世代です。また、完全学校週5日制が導入された世代でもあります。

世代を代表する漫画と主人公ONE PIECE(1997年34号より連載開始~連載中)、モンキー・D・ルフィ

  • ルフィの性格・価値観: 自由奔放で型破りな性格。自分の信念を貫き、「仲間との絆」を大切にする。多様な個性を受け入れ、それぞれの能力を活かすことで、大きな目標を達成していきます。

ONE PIECE.com (ワンピース ドットコム)キャラクター紹介より
  • ジェンダーの扱い: 女性キャラクターは、肌の露出や曲線的を使い女性性を強調するコスチュームデザインで描かれていますが、男性キャラクターと信頼関係を基にした対等な立場で描かれ、他の男性キャラと同じように困難を乗り越え成長する姿を見せます。そして、時には男性キャラクターを凌駕する強さや能力を持つこともあります。

  • この世代のビジネスにおけるコミュニケーション: ゆとり世代の上司や同僚には、彼らの自由な発想やアイデアを尊重し、多様な意見を積極的に取り入れることが大切です。また、柔軟な働き方を提案したり、個人のライフスタイルを尊重することで、彼らのモチベーションを高めることができます。

  • ライバルの存在意義: ライバルであっても、その信念や生き様を尊重し、正面から向き合います。時には、ライバルと共闘することもありますが、それは決して妥協ではなく、互いの個性を認め合い、協力することで、新しい価値を生み出す等、共通の目的を達成するための一つの手段と捉えています。この世代は、ビジネスにおける「多様性」や「柔軟性」のカギを握る世代とも言えます。

それぞれの主人公に違いがあるように、各世代には、異なる価値観や考え方があります。しかし、どの世代にも共通する「目標達成への強い意志」や「仲間との絆」といった普遍的な価値観もあります。

これらの共通点をほんの少し意識しながら、世代間の違いを理解し、適切なコミュニケーション方法を実践することで、より良い人間関係を築き、ビジネスを成功に導くことができるのではないでしょうか。

次に、その多世代が共存する職場における関係づくりの方法やコミュニケーションのヒントを読み解きたいと思います。

世代間シナジーと摩擦:人気漫画の主人公から学ぶ、多世代共存の職場術

繰り返しになりますが、多様な世代が共存する職場では、それぞれの世代の特徴が相互に影響し合い、新たな価値を生み出す可能性を秘めています。しかし、異なる価値観や考え方を持つ世代間の摩擦も避けられません。

ここでは、人気漫画の主人公たちを通して、適切なコミュニケーションや良い人間関係を築きビジネスを成功に導く世代間シナジーのコツと摩擦について探ってみましょう。

1. バブル世代 × 氷河期世代:情熱と冷静さの融合が生むイノベーション

良い影響: バブル世代の情熱的なリーダーシップと、氷河期世代の冷静な分析力・実行力は、互いを補完し、新たなイノベーションを生み出す原動力となります。バブル世代の経験とノウハウを、氷河期世代が現代的な視点でブラッシュアップすることで、より効果的な戦略を構築できるでしょう。
悪い影響: バブル世代の「体育会系」的なノリや根性論が、氷河期世代には理解されず、反発を招くことも。一方、氷河期世代のドライな言動が、バブル世代には冷たく感じられ、モチベーションを低下させる可能性もあります。

2. バブル世代 × ゆとり世代:経験と自由な発想の化学反応

良い影響: バブル世代の豊富な経験と知識は、ゆとり世代の自由な発想を現実的な形にするための貴重な指針となります。一方、ゆとり世代の柔軟な考え方や新しい技術への適応力は、バブル世代に新たな視点や刺激を与え、組織の活性化に繋がります。
悪い影響: バブル世代の「上の言うことは絶対」という価値観が、ゆとり世代の自主性を阻害する可能性があります。また、ゆとり世代の「効率重視」の姿勢が、バブル世代には「手を抜いている」と誤解されることも。

3. 氷河期世代 × ゆとり世代:現実主義と理想主義のバランス

良い影響: 氷河期世代の現実的な視点と、ゆとり世代の自由かつ理想主義的なアプローチは、互いを補完し、バランスの取れた戦略を生み出すことができます。氷河期世代の経験に基づいたアドバイスは、ゆとり世代の夢を現実にするための道筋を示し、ゆとり世代の新しいアイデアは、氷河期世代に新たな可能性を示唆します。
悪い影響: 就職難や金融危機を経験した氷河期世代の「悲観的な安定志向」が、ゆとり世代のチャレンジ精神を削ぐ可能性があります。一方、ゆとり世代の「ワークライフバランス重視」の姿勢が、氷河期世代には「責任感がない」と映ることも。

いかがでしょうか。このようなポジティブな影響を与え合う関係性であったり、反対にネガティブな摩擦を目撃したことはありませんか? 世代間の違いは、何らかの衝突や摩擦を生むこともありますが、それは同時に、新たな価値を生み出すチャンスでもあります。

そして、この多世代の組み合わせは、個人や組織の行動変容をサポートを生業にしている私から見ると、日本の職場は「異なる価値観を持つからこそ生まれる化学反応」を生む可能性があるとしか思えないのです。

そこで、次に取り上げるのは、日本の職場に眠る秘めたる可能性を引き出す、世代間タッグの組み方を考えてみたいと思います。

世代を超えた最強タッグ!キン肉マン、孫悟空、ルフィが活躍するビジネスシーン

異なる価値観と能力を持つ世代を代表する主人公たち。

キン肉スグル、孫悟空、ルフィ、彼らが力を合わせれば、どんなビジネスシーンでも無敵のチームとなる可能性があります。

ここからは完全に妄想の世界ですが、この主人公たちがタッグを組めば起きるかもしれないビジネスシーンにおける化学反応を考えてみました。

1. 新規事業立ち上げプロジェクト

  • キン肉スグル: 熱い情熱とリーダーシップでチームを鼓舞し、プロジェクト全体を牽引。

  • 孫悟空: 強烈な突破力と圧倒的な実力で、立ちはだかる困難を次々と乗り越える。

  • ルフィ: 自由な発想と型破りなアイデアで、新たなビジョンを打ち上げ、従来の常識にとらわれない革新的な事業を創出。

2. グローバル市場開拓

  • キン肉スグル: 突破力と世界中に広がる超人ネットワークを駆使し、海外パートナーとの関係構築を促進。

  • 孫悟空: 言語や文化の壁を越えて、現地のニーズを的確に把握し、最適な戦略を立案。

  • ルフィ: そのカリスマ性と冒険心で、世界中の顧客を魅了し、新たな市場を開拓。

3. 危機管理・トラブルシューティング

  • キン肉スグル: どんな危機的状況でも決して諦めず、仲間と共に立ち向かう不屈の精神を発揮。

  • 孫悟空: 圧倒的な戦闘力で、トラブルの原因を迅速に特定し、解決策を導き出す。

  • ルフィ: 柔軟な思考と機転で、予想外の事態にも冷静に対応しながら、周囲の協力を取り付け被害を最小限に抑える。

4. 組織文化改革

  • キン肉スグル: 正義感と仲間への思いやりを大切にする姿勢で、社員のモチベーションを高め、一体感を醸成。

  • 孫悟空: 圧倒的な実力と個性で、それまでの価値観を打破し、結果、社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体のレベルアップへの道筋を作る。

  • ルフィ: 自由で多様な価値観を尊重する風土を築き、社員の創造性と自主性を育むムーブメントを巻き起こす。

あくまでもエンタメ的な例ですが、実際にキン肉スグル、孫悟空、ルフィの各世代がそれぞれの強みが最大限に活かされるようなコラボレーションができれば、あらゆるビジネスシーンで大きな成果や新たな価値を生み出す原動力になるのではないでしょうか。

事実、私はこの世代を良さを組み合わせて成功している多世代共存組織やプロジェクトを多く目撃してきました。ですが、一方で、溝が深まったりどこかギクシャクしてしまっている組織があるのも現実です。

最後に、このnoteの締めくくりとして、多世代が共存する職場を実現するための各世代へのアプローチを考えてみたいと思います。

まとめ:多世代共存の職場を実現するために

異なる世代が共存する職場は、まさにキン肉スグル、孫悟空、ルフィが集結した海賊船のようなものと言えます。先にも述べましたが、それぞれの世代が持つ個性や能力を活かし、共に航海することで、新たな大陸を見つけ出すことができる可能性を秘めています。

この秘された可能性を単なる可能性だけで終わらせず爆発させるには、各世代の価値観や考え方を理解し、互いに歩み寄ることが不可欠です。そして、多世代共存の職場を実現するためのアプローチに特効薬はなく、以下のことを地道に続けることが求められます。

  • 相互理解を深める: 相互理解といえば1on1を考えるかもしれませんが、この手法は個人主義のアメリカ、しかもシリコンバレーで確立された人材育成手法です。文化の異なる日本においては信頼関係が築かれていない状況での1on1は心理的負担感だけを生むだけになりがちです。したがって相互理解を深めるおススメの手法としては、3名以上が集まり職場から離れた仕組みを作ることです。例えば、世代代間の交流イベントや研修などを積極的に活用し、互いの価値観や考え方、そして世代特有のバックグラウンドを知る機会を設けましょう。なお、1on1をうまくやりたい、と思う方は下記リンクが参考になるかもしれません。

  • コミュニケーションを工夫する: 相手の世代に合わせた言葉遣いやコミュニケーションスタイルを意識し、誤解を生まないよう努めましょう。例えば、バブル世代には熱意のこもった言葉で語りかけ、氷河期世代には論理的な説明を心がけ、ゆとり世代にはフランクかつ肯定的な言葉を用いて接するなど、柔軟に対応してみることを意識してみましょう。

  • 多様な働き方を認める: 世代によって異なるライフスタイルや価値観をまずは尊重し、その上で柔軟な働き方を導入してみましょう。それぞれの能力を最大限に引き出すことができるかもしれません。例えば、リモートワークやフレックスタイム制などを導入し、多様な働き方を認めることで、社員一人ひとりのパフォーマンス向上に繋がることもあります。

  • 共通の目標を設定する: 世代を超えて共通の目標を設定し、協力して取り組むことで、一体感が生まれ、組織全体の活性化に繋がります。共通の目標に向かって共に努力することで、世代間の垣根を越えた強い絆が生まれるでしょう。

今回は、このように少年漫画の主人公から世代間コミュニケーション、タッグの組み方を読み解いてみました。エンタメ的切口ですが、多世代共存の職場には、それぞれの世代が持つ強みを活かし、新たな価値を生み出す可能性を秘めていることが見えてきたのではないでしょうか。

このnoteが、多様な世代が共存する職場で、円滑なコミュニケーションを実現するために活動されている皆さんにとってヒントになれば幸いです。

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