ノルウェー名物のお酒・アクアヴィット
ノルウェーのお酒といえば、何といっても「アクアヴィット」でしょう。ジャガイモを原材料とした。アルコール度40パーセント前後の蒸留酒です。強いお酒なので、小さなおちょこのようなグラスで提供されることが多いこのお酒、ノルウェーでは様々な種類が売られています。他の国にも「アクアヴィット」はありますが、ノルウェーのアクアヴィットは熟成をシェリー酒の熟成に使った樽で行うため、シェリー酒の色や風味がついているのが特徴の一つです(そのため醸造用の樽選びも製造過程の重要な一部だとか)。
「アクアヴィット」はキャラウェイやアニスなどのスパイスやハーブで風味付けされており、もともとはスパイス・ハーブの効能で消化を促進するために飲まれていたという説もあります。そのようなこともあり、重くて油っこいノルウェーのクリスマスディナーのお供として、今でも食卓に登場します。
このようなノルウェーのアクアヴィットですが、お土産としておススメなのは10種のミニボトルセット(各50ml×10)。主要ブランドのアクアヴィットの飲み比べができます。
この10本のアクアヴィットの中で特に面白いのが、こちらの二本。メーカーは違いますが、両方「Linje」(Linie)という商品名が付いています。
「Linje」というのは「線」というノルウェー語。ここでは、「赤道」の「線」のことです。この二種類のアクアヴィットはノルウェーで作られたのち、貨物船に乗せられオーストラリア方面に向かいます。そして赤道を越えて、またノルウェーに戻ってくるという・・。
ミニボトルではない大き目の商品のラベルには、ちゃんと世界地図とお酒が旅した航路が描かれているんですよ(2000年代に貨物会社の航路が変更になったあとは、このお酒、ほぼ世界一周してノルウェーに戻ってきます。 実は神戸港は横浜港など、日本にも立ち寄っています。)
出来たお酒を船で運んで、結局、出発点に戻ってくるなんて、不思議に思われるかもしれませんが、その理由は「Linje」アクアヴィットの誕生エピソードにあります。
18世紀末、アジアでアクアヴィットを売ろうとした醸造元・リースホルム家は酒を船でインドネシアまで運んだものの、結局売れないままノルウェーに持ち帰ることになりました。しかし、何ということでしょう(笑)! アクアヴィットの味が航海の間に円やかになり美味しくなっていたのです!(どうしてでしょうね。温度変化のせいなのか、振動なのか)。
このことを商業的に利用するべく、19世紀初頭にリースホルム家の親族の一人が、赤道を越えて航海する貨物船に酒樽を積んで酒を熟成させ売り出したのが、この「Linje」アクアヴィットの始まりだといわれます(異論もあります)。現在もその伝統を守ってお酒は「ちゃんと赤道を越えている」という訳ですね。
「Linje」アクアヴィットも、他のアクアヴィットと同様に強いお酒なので好き嫌いは分かれますが、「ほぼ世界一周して戻ってくるお酒」というエピソードがネタとして面白いので、お酒が好きな人にはエピソード込みでお土産におススメしています。一般的には少量をキンキンに冷やして、ビールをお供に飲みます(*'▽')。通は風味を楽しむためにあまり冷やさないそうですけどね。こってり系のおつまみが合うと思いますよ。
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