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誕生から74年、魚群探知機を育ててきました。

古野電気は1948年、世界で初めて魚群探知機を実用化に成功しました。
そして長崎県長崎市で古野電気工業所を創立、魚群探知機の製造・販売を開始しました。

というのが私たちFURUNOの礎です。
今ではレーダーやGPSなど船に搭載する様々な機器や
気象レーダーや医療機器など陸上で活躍する機器も製造していますが、全ての始まりにあるのはやはり魚群探知機です。
今日はそんな魚群探知機のお話をさせていただきます。

そもそも魚群探知機とは

魚群探知機は超音波を使って魚を探す機器です。
原理はやまびこと同じで、海に向かって超音波を発射し、魚や海底に当たって跳ね返ってきた反射波(エコー)を受信します。
超音波は水中を1秒間に約1500メートル進みます。
そのため、超音波を発射して、1秒後に魚群からのエコーを受信した場合、その魚群までの距離は750メートル(往復で1500メートル)となります。
このようにして、海底や魚群までの距離を知ることができます。

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魚群探知機の探知イメージ

ちなみに魚群探知機には一般的には15kHz~200kHzまでの周波数の超音波が使われています。
周波数は高ければ高いほど、解像度が高い、より鮮明な映像が出せるのですが、減衰が大きいため遠くまで探知できません。
逆に周波数が低い場合は深くまで探知できますが、細かく探知するには不向きです。探知するポイントに対して適した周波数の使い分けが大切ですね。

ちなみにコウモリは30kHz~120kHz、イルカは数十kHz~150kHzだそうです。

70年前の魚群探知機とは?

古野電気の本社(兵庫県西宮市)の来客用ロビー・展示室には初代魚群探知機が展示されています。

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初代魚群探知機

ベースは海軍の放出物にあった音響測深機でした。
魚群探知機の実用化は当時勘と経験だけが頼りだったこれまでの漁業を近代の科学的な見地に基づく方法へと変革したとして、戦後日本のイノベーション100選にも選ばれています。

現在の魚群探知機と大きく異なる点は、初期の魚群探知機は記録紙を使っていること。反射してきた超音波を振動子で受信して電気信号に変化させ、その信号の強弱を紙に出力していました。
現在ではその強弱を色の濃淡で液晶画面に映しているので、基本的には探知原理は同じなんですね。

当時でも魚群の位置だけでなく、魚群の大小などがわかるくらい魚群探知機の改良は進んでいたそうですが、仕事が奪われると危惧した漁師さんからは導入反対の声が多かったようです。

初代魚探記録紙画像
初代魚群探知機の記録画像

魚群探知機はどう進化してきたのか

魚群探知機は70年前から探知原理自体は変わっていません。ではこの70年で何が変わったのでしょうか。
ひとつに表示方法の進化があります。
最初は紙に印刷していたと初代魚群探知機の際にお話させてもらいましたが、それは1948年のお話。
その後地上では1953年に国産第一号の白黒テレビが登場します。すると1966年に古野電気からブラウン管式の魚群探知機が販売されました。その後、白黒がカラーになり、カラーが液晶になり、と地上の表示機器と同じように魚群探知機の表示方法も改められていきました。
そしてタッチパネル式の魚群探知機も現在販売しています。
これからも魚群探知機はその時代の最先端のUIを取り入れて進化していくんだと思います。例えばAR(拡張現実)ゴーグル型の魚群探知機、なんていうのも出来るかも知れませんね。

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FURUNOのタッチパネル式魚群探知機

もうひとつ、大きな進化点は表示の細かさ、分解能です。
振動子や信号処理技術の向上によって、より鮮明に海の中が見えるように魚群探知機は進化をしてきました。
例えば受信したエコーが魚群なのか単体魚なのかを判別できるようになり、さらに単体魚であれば、その大きさがわかるようになりました。
また高分解能化の恩恵は魚群の判別だけでなく、海底の質(岩、小石、砂、泥)も判別できるようになり、そして海底近くに張り付いている魚も海底と分離してわかるようになっています。
昔はピントの合っていなかったメガネを付けて水の中を除いていたのが、徐々にピントが合っていき、クリアに海中を見通せるようになったイメージでしょうか。
近年では、見つけた魚群に対してどんな大きさの魚がどれくらいの割合で存在するのかを計測するなども出来るようになりました。漁師さんがその計測結果から、獲るべき魚群かどうか判断することで、より効率的な漁業かつ資源管理型漁業に貢献しています。

FCV2100_魚体長グラフ
魚体長の統計が取れるプロ向け魚探

魚群探知機、名前+αまで覚えてください!

今日は名前は知ってるけど、あまり中身は知らないという方が多そうな魚群探知機についてお話させていただきました。
実は日本の企業が世界で初めて実用化したこと、超音波を使っていること、誕生から70年以上経っていること、魚の大きさや海底の質もわかること、
どれかひとつでも名前にプラスして覚えてもらえるとメーカーとしてとても嬉しいです。
また機会があれば初代の開発秘話や最新の魚群探知機開発者の想い、プロのアングラーの魚探テクニックなどをご紹介したいと思います。

それではまた海の世界にお越しください。
ありがとうございました。


誕生秘話はこちら!

執筆 高津こうづ みなと

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