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Norah Jones『Come Away With Me』 (2002)

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2000年代初旬、ジャズやブルース、スウィングといたオールドタイム・ミュージックが一部の間でちょっとしたブームになっていた時期がありました。そんな流れの中で、このデビュー・アルバムで古き良き時代の音楽のフレイバーをふんだんに取り入れ、我々の前に颯爽と登場してくれたノラ・ジョーンズ。サウンド面も彼女のボーカルも、新人のものとはとても思えない完成度で、この手の音楽があそこまで爆発的に売れてしまうとは当時は思ってもみませんでしたねぇ。20年近く経った今あらためて聞いても輝きは全然失われていなくて、気だるい雰囲気の中に、瑞々しさ・美しさが同居している、そんな魅力をもったアルバムだと思います。

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1. Don't Know Why
デビュー・アルバムの1曲目にして早くも彼女の代表曲となるナンバーの登場です。この曲が彼女の人気を決定付けた感じですね。私も当時ラジオでこれが初めて流れた時、歌い出し一発で耳が釘付けになりました。ノッケからいきなりスタンダードな佇まいですが、バックでギターを弾いているジェシー・ハリスの作品。ジャジーでメロディアスで美しくも切ないナンバーです。そうこのアルバム、ジャスの名曲カバーが多いのかと思いきや、大半がノラさん自身も含めたメンバーのオリジナル作品なんですよね。

2. Seven Years
アコースティック・ギターを中心に展開される楽曲ですが、ベーシストのリー・アレキサンダーが作曲。バンド・メンバーの誰かが作曲することによって生まれるアットホームな一体感は、このアルバムに終始流れる雰囲気ですね。ナショナル・ギターによるスライドの間奏も素敵です。

3. Cold Cold Heart
カントリー・シンガー、ハンク・ウィリアムズのカバー。原曲を聞くとたしかにカントリーの名曲なんですが、彼女が歌うともうそういうことは忘れてしまうくらい、彼女の世界感に浸ることができますね。音数少なめのバックの演奏も彼女の魅惑的なボーカルを引き立たせています。間奏は自身のピアノでこれも魅力的!

4. Feelin' The Same Way
ドラムが軽く16ビートを刻む、このアルバムの中では比較的ポップスの雰囲気に近いナンバー。曲調はややアップテンポで明るめですが、それでいてしっかりメロディアスな良い曲ですね。

5. Come Away With Me
アルバムのタイトル・トラックでノラ・ジョーンズ自身のソングライティング。シンプルで美しい佇まいの曲ですね。この曲でリードギターを弾いているのはアダム・レヴィという人ですが、彼のリーダー・アルバムではノラさんが「Love Me Tender」を歌っています。

6. Shoot The Moon
このアルバムを聞く時はいつも "ノラ・マジック" にかかっているので(笑)、どれも素晴らしい曲に聞こえてしまうのですが、それを差し引いてもこの曲はやっぱりいい曲だなぁ。「Don't Know Why」と同じくジェシー・ハリスの作品。この人優れたソングライターなんでしょうね。自身の名義のアルバムも結構な枚数出しているようなので、ぜひそちらも聞いてみたいてすね。

7. Turn Me On
ピアノのイントロから始まるR&Bナンバー。歌い出しから一挙に持っていかれますねぇ。素晴らしい。クレジットからカバー曲だと分かるのですが、誰が歌っていたのかが分からなくて、検索してみたらニーナ・シモンのバージョンがヒット。視聴してみたのですがそちらも素晴らしかったです。

8. Lonestar
ベースのリー・アレキサンダーも作曲者としてもこのアルバムに貢献していますね。イントロなしで♪Lonestar 〜 と歌い出す始まりが印象的なミディアム・ナンバーです。

9. I've Got To See You Again
マイナー調の楽曲で「マスカレード」のような空気感を持ったナンバーですね。途中から入るギターの単音リフが、シンプルですがとてもいいスパイスとなっています。あと、バイオリンもいいですね。

10. Painter Song
スウィンギーで心地よいアコースティック・ギターに乗せて歌われるオールドタイミーなミディアムスロー・ナンバー。途中から絡むアコーディオンもいいですねぇ。こういう曲で魅力を発揮できる彼女はやっばり素晴らしい!

11. One Flight Down
「Turn Me On」に続いて自身のピアノ・イントロで始まるR&B風ナンバー。「Turn Me On」はカバー曲でしたが、こちらはジェシー・ハリス作のオリジナル。この曲もメロディーが最高ですね。

12. Nightingale
このアルバムで2曲目のノラさん自作曲の登場です。1曲目はタイトル曲の「Come Away With Me」ですが、個人的にはこの「Nightingale」のほうが好きですね。Nightingale〜のヴァースも1回目と2回目で歌い方を大きく変えていたり、ギターソロの間奏後の♪All the voices〜のリフレインもしかり。彼女の歌唱へのこだわりを感じる一曲です。

13. The Long Day Is Over
これはシンプルで言葉少なに語りかける歌詞がいいですね。一日の終わりに聞いて疲れを癒やしたくなります。本当に短い歌詞なので、興味あって歌詞カードで数えてみたら、全部でたったの33ワードでした。

14. The Nearness Of You
ラストはジャス・スタンダードのカバー。他のバンドメンバーは参加せずに、ノラさん自身のピアノのみで歌い上げます。素敵なクロージングです。

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2002年リリースのアルバムですが、1年以上かけてじっくりとレコ―ディングされたみたいです。この後セカンド・アルバム『Feels Like Home』のリリースが2004年、サード・アルバム『Not Too Late』が2007年ですので、一枚一枚、一曲一曲丁寧に時間をかけて作品を仕上げている様子が伺えます。レーベルがBlue Noteっていうのもいいですね。

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