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Creedence Clearwater Revival『Cosmo's Factory』 (1970)

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クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(C.C.R.)は1968年の1stアルバム以降、すべてFantasyからのリリースで計7枚のスタジオ録音のアルバムを残しました。彼らはウェストコースト出身のアメリカン・ロック・バンドですが、実際には西海岸というよりもアメリカ南部に根差したアーシーで骨太なサウンドが根底にあります。しばしばサザン・ロックの先駆者的バンドとも呼ばれたりするのも頷けますね。
この『Cosmo's Factory』はそんなC.C.R.の5作目のアルバム。彼らのアルバムはどれも素晴らしいものばかりですが、中でも特にこの作品は名曲が数多く収録されていて、アルバム充実度はNo.1なのではないでしょうか。

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SIDE 1
1. Ramble Tamble
アルバムのトップからいきなり7分超えの力作。イントロのギター・リフからワクワク感満載の、アップテンポのカントリー・ロック風のオリジナル・ナンバー。主役となるのは、ソングライターでもあり、ボーカリストでもあり、リード・ギタリストもあるジョン・フォガティ。リズム変化してからのギター・アレンジなども最高ですね。もちろん、バンドとして彼をしっかり支える、他のメンバーの安定感のあるプレイも見逃せません。

2. Before You Accuse Me
ミディアム・テンポのシャッフル・ビートが心地よいブルース・ロック・ナンバー。ボ・ディドリーのカバーで、後にエリック・クラプトンもカバーしました。肩の力の抜けたリラックス・ムードの演奏で、心地よいリズムにずっと身をゆだねていたくなります。

3. Travelin' Band
アップ・テンポで軽快な、C.C.R.流ロックン・ロール・ナンバー。やや控えめながらもホーンが全体的にフィーチャーされていますが、間奏ではリード・ギターがバーンと前面に出てくるのは彼ららしいところですね。2分程度の短い曲ではありますが、「Who'll Stop The Rain」とのカップリングでシングルにもなっていて、全米チャート最高2位を獲得しています。

4. Ooby Dooby
軽快なロックン・ロールが続きます。こちらはロイ・オービソンの初期ナンバーのカバー。このアルバムは計4曲のカバーが収録されていますが、そのうち3曲が1950年代R&Rのカバーとなっていますね。

5. Lookin' Out My Back Door
ロック路線から離れた、こういったメロディアスな楽曲も彼らの持ち味の一つだと思います。特にこのアルバムはそのあたりのバランスがとても良いですね。この曲は「Long As I Can See The Light」とのカップリングでシングルとしてもリリースされヒットした、軽快でスウィンギー、かつカントリー・フレイバーの魅力溢れる名曲。アコースティック・ギター、スライド・ギターが効果的に使われています。ラスト近くで急にテンポ・ダウンするのもなかなか粋なアレンジです。

6. Run Through The Jungle
ミディアム・テンポのロック・ナンバー。シンプルなリズムに乗せて淡々と進んでいくこの感じはファースト・アルバムの「Suzie Q」あたりをちょっと彷彿とさせますね。「Up Around The Bend」のB面としてシングルでもリリースされています。シングル曲が多く収録されているのも、このアルバムの特色となっていますね。

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SIDE 2
1. Up Around The Bend
70年にシングルとしてもヒットしているこの曲は、イントロのギター・リフからして個人的に大好きなナンバー。ぜひ“C.C.R.ギター・リフ大賞”はこの曲にあげたいですね(笑)。曲全体もパワフルでありながら、なかなかキャッチ―でポップなロックに仕上がっていると思います。間奏でイントロのリフに戻り、そこからギター・ソロへ展開するあたりも、とてもスムーズでいい流れですね。

2. My Baby Left Me
この曲は作者でもあるアーサー・クルーダップがオリジナルで、エルヴィス・プレスリーのヴァージョンでも有名なナンバー。イントロのドラムとベースからハッとさせられます。彼らはこういった軽快なロックン・ロールのカバーが本当に上手いですね。ラストがフェイド・アウトしてしまうのはちょっと残念ですが、もしかしたらスタジオでのレコ―ディング時には長い長いセッションが繰り広げられていたのかもしれませんね。単なる想像ですが(笑)。

3. Who'll Stop The Rain
C.C.R.のナンバーで「雨」と言えば、次作に収録された「Have You Ever Seen The Rain?」(雨を見たかい?)が有名ですが、こちらの雨ソングも、間違いなく彼らのフォーキー、メロディアス路線の名曲の一つですね。反戦歌であると同時に、曲の三番では、彼らが出演したウッドストックのライブ・フェスティバルで降り続いた“雨”が表現されています。いわばダブル・ミーニングとして雨が象徴的に歌われていて、そのことを理解してからこの曲を聴くと、曲のタイトルでもある♪Who'll stop the rain? という問いかけが、聴き手にいっそう刺さってくる感じがします。

4. I Heard It Through The Grapevine
モータウン・カバー。元々はグラディス・ナイト&ザ・ピップスが66年にリリースしてヒットした曲ですが、その後マーヴィン・ゲイがカバーしてさらなる大ヒット。C.C.R.のカバーは明らかにこのマーヴィンのものを下地にしていますが、何とビックリの11分を超える長いヴァージョンとなっています。ただし、曲の後半は、リード・ギターを中心としたインプロヴィゼーション的なパートが最後まで続いてフェイド・アウトとなります。ファーストの「Suzie Q」を彷彿とさせる展開ですが、最後にサビにもう一回戻ってもよかったかな・・・とも思います。

5. Long As I Can See The Light
で、アルバムのラストはこの名バラードで締めくくり。彼らのメロディアスな路線のナンバーの中でも特に大好きな一曲です。ジョン・フォガティの熱唱と、間奏のサックス・ソロにはかなりグッときてしまいますね。♪Long as I can see the light のリピートの歌唱を聴き入りつつフェイド・アウト。レコードの針が上がってもなお余韻に浸り続けられるのも、この曲の、このアルバムの大切な楽しみの一つですね。

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このアルバムからは当時シングル曲が3枚、AB面あわせて計6曲が収録されていて、いずれもヒット。さらに解散後に「I Heard It Through The Grapevine」がシングルカットされてスマッシュ・ヒットしています。アルバム自体も全米アルバム・チャートで9週連続で1位を獲得。彼らのアルバムの中でも抜群の充実感で、記録にも記憶にも残る一枚となっていますね。
C.C.R.のアルバムでは、これが決定盤!と言ってしまってもいいとは思いますが、他にもまだまだ素晴らしいアルバムがあるのも事実。個人的にはこの前作『Willie And The Poor Boys』とかもかなり好きな作品ですので、いずれ取り上げてみたいと思います。

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