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岩崎宏美『ファンタジー』 (1976)

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岩崎宏美のセカンド・アルバムは、素晴らしい楽曲の揃った聴き応えのある作品に仕上がっています。ドラムブレイクや糸居五郎氏のラジオDJ風のナレーションで曲が繋げられ、宏美さん自身も時々インタビューに答えるという、このアルバム独自の趣向は賛否あると思いますが、なかなか思い切ったアイディアで個人的には前向きに捉えています。ナレーションをカットしたバージョンを収録したCDもあるようです(私は未聴ですが)。

全10曲中、阿久悠の作詞が8曲、筒美京平の作曲・編曲が8曲、このコンビによる楽曲が6曲収録されています。このアルバムは、彼らの楽曲と宏美さんの歌唱がいかに相性が良いかを物語ってくれています。

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SIDE 1
1. パピヨン
いきなりドラムブレイクからのスタート!ラジオ番組風に構成されたこのアルバムのトップを飾るのにふさわしいナンバーで、イントロのギターリフからもう最高ですね。シングル「ファンタジー」のB面曲でもあるのですが、シングルA面曲にしても全く遜色ない素晴らしい楽曲だと思います。

2. キャンパス・ガール
続く2曲目はメロディアスなミディアム・ナンバー。作曲者筒美京平自身によるメロウで秀逸なアレンジに乗せた、宏美さんの歌唱がとても心地よいです。アイドルのアルバムの域をもう軽く越えちゃっていて、早くも名盤の雰囲気が漂っていますねぇ。

3. ファンタジー
アルバムのタイトル・トラックでもあり、4枚目のシングルでもあるこの曲。シングルとして申し分のない楽曲だということに加えて、バンド演奏も素晴らしく、ファンキーなギターやドラム、キメの効いたアレンジなどめちゃめちゃカッコいいですね。

4. 愛よ、おやすみ
これもシングルとしてリリースされてもおかしくない勢いのある名曲。♪“風と共に去りぬ”なんか読みかけてまたとじて〜 という出だしのAメロ、そしてBメロ〜サビと卒のないに展開に引き込まれます。後に香坂みゆきさんがカバーして、シングルとしてリリースしていますので、そちらと聴き比べてみるのも楽しいと思います。

5. 感傷的
インパクトのある楽曲がズラリと並ぶA面の中にあっては、やや陰に隠れがちな曲かな。このアルバムの中では最も歌謡曲寄りのナンバーのひとつだと思います。アップテンポでありながら、何とも切ない雰囲気をあわせ持ったナンバーですね。

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SIDE 2
1. おしゃれな感情
B:面は少ししっとりとした雰囲気のこの曲で始まります。ただ、Bメロや間奏は軽快でグルーヴィーなサウンドに変化します。そのあたりのメリハリが面白いナンバーだと思います。

2.ひとりぼっちの部屋
パーカッションから始まる、軽快な歌謡ポップ・ナンバー。この曲と次の「グッド・ナイト」の2曲だけが筒美京平の作曲・編曲ではない楽曲となっています。

3. グッド・ナイト
メロウなスロー・バラード。この手の曲を歌いこなすには、やはり歌唱力がないとね。ストリングスに絶妙に絡むバッキング・ギターがいいですね〜。

4. 月のしずくで
再び阿久悠/筒美京平コンビの作品に戻ります。独特な雰囲気を持ったミディアム・ナンバーで、裏声で少し抜いたような歌唱を聞かせるのは宏美さんにはあまりないタイプの楽曲だなぁと思います。

5. センチメンタル
前年の1975年にリリースされたサード・シングルをアルバムのラストに収録。セカンド・シングル「ロマンス」に続いてヒットチャートでNo.1を獲得しています。歌詞に♪十七才〜って出てきますが、このアルバムを出した時、ホントまだわずか17才だったということに、あらためて驚かされますね。

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岩崎宏美さんがアイドルとして歌唱力がデビュー当初からずば抜けていたのよく言われることですが、このアルバムに関して言えば、当時まだ17才でこの完成度…ホントすごいなぁと思いました。ジャケも中身も素晴らしくて、屈指のアイドル・アルバムとして、これからもずっと聴き継がれていって欲しいですね。

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