森博嗣「レタス・フライ」
10編収録の短編集。
他のシリーズとつながりがある作品もあれば、独立したオリジナル作品もある。
きっと読み返すたびに印象に残る作品が違う。
「砂の街」は既視感のある物語。この本自体が再読ということもあるし、同じようなモチーフの話を別に読んだことがあるような気もする。この世界を知っているという感覚が常にある。
「コシジ君のこと」は10ページにも満たない作品だが長編小説のような読後感がある。私が最後まで読んでしまったせいでコシジ君はいなくなってしまった。そんな気にさせられる。
「ライ麦畑で増幅して」は小川令子の話。彼女の前職が具体的になんだったのか気になっているのだが、結局この作品でも詳細は明かされなかった。他の作品を読み込めばもっと分かるだろうか。こういうことはネットで検索してしまうのが手っ取り早いと分かってはいるけれど、そういうことじゃないのだ。作品を読んでいく中で自分で発見したいのだ。
「刀之津診療所の怪」はおそらくもう3回以上読んでいて、謎解きの部分は答えを覚えていた。実写化するとしたら誰だろうとイメージしながら読んでみたら、西之園萌絵は北川景子、佐々木睦子叔母さんは黒木瞳、加部谷恵美は上白石萌音、海月及介は高杉真宙で映像が動き出した。山吹は思い浮かばなかったのだけど、山吹のお姉さんは小西真奈美。シリーズがクロスするのは長年の読者として嬉しい。
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