見出し画像

踊り * チェンマイ俳句毎日

【チェンマイ俳句毎日】2024年7月29日

1世紀前のチェンマイを撮影した日本人写真師八木カキジの写真展が、旧市街の写真ギャラリー「Chiang Mai House of Photography」で開かれている。
八木という写真師は、先にチェンマイで田中写真館を営業していた田中盛之助に写真を習った後、ターペー通りに写真館を開き、スタジオ写真やポストカードなどを販売していた。最近になって八木の写真が紹介され、その存在が知られるようになったばかりだ。
2回目の展覧会となる今回の内容は、チェンマイの古刹や踊り子たち、そしてスタジオ写真が中心だった。

写真の中の、100年前の女性達のファッションに惹かれた。下はおそらく金や銀の糸が織り込まれた極上のパーシン(腰布)、上はレースがふんだんにあしらわれたボリューミーな西洋風ブラウス。そして、豊かな黒髪をふんわりと膨らませて結い上げた髪型は「貴族の髪型」いうが、 当時は「ソン・イープン(日本髪)」とも呼ばれていたらしい。

タイの日本髪の由来は、チェンマイ領主インタウィチャヤーノン候の娘であるダーラーラッサミー妃がラーマ5世に嫁ぎ、シャム(バンコク)で暮らしていた時に、駐在していた日本人女性の日本髪を真似たのが始まりだとか。また、当時シャムで大流行したオペラ「蝶々夫人」のヒロインの日本髪を真似た、ともいわれている。
そして、国王が崩御し、1914年にチェンマイに戻ったダーラーラッサミー妃がチェンマイ宮中の舞踊を考案した際に、この髪型を踊り子の装いに取り入れたという。

シャムの女性は短髪だったが、北部タイの女性は腰まで伸ばした髪をきりっと結い上げていたので、日本髪風にふんわりアレンジしてみたいという気分はなんだか分かるような気がする。

モノクロの写真は、当時最先端のおしゃれをした「日本髪ラーンナー女子」たちで華やぐ八木さんの写真館を束の間想像させてくれた。


ぬばたまの髪まるく結ふ踊りかな




いただいたサポートは取材費にあてたいと思います。どうぞよろしくお願いします。