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白粉花 * チェンマイ俳句毎日

【チェンマイ俳句毎日】2024年8月20日

姪っ子たちと遊びに行ったカレンの村はちょうどお葬式の最中だった。儀式が終わるまでの数日間は村人全員が喪に服すという。

村の中を歩くと、今日は機織りが見学できないわね、と友人は呟いた。お葬式の間は機織りや糸紡ぎなどの作業をしてはいけないらしい。

田んぼに出ると、稲が膝の高さを超えていた。稲穂が出るのはもうすぐだ。
案内をしてくれる村の友人は、畦道を歩きながら、ふいにパシャっと田水に手を入れては大きな蟹を捕まえてみせた。私たちには蟹の影すら見えないのに。

「これはオス。この爪の部分がとってもおいしいのよ。でもお葬式だから捕まえられないの。あ~、残念!」と、捕まえては田んぼに離すのを楽しそうに繰り返していた。

村の中にはオシロイバナが咲いていて、黒い種もできていた。オシロイバナは日本でも珍しくない植物だ。懐かしくなって、姪っ子に、この実で遊んだ事がある?と聞いたら、見たこともないと言うので驚いた。私が子どもの頃は、この実を潰して中の白い粉を顔につけて遊んだんだよと言いながら、爪で潰してみせると、村の友人も、「私もやってたよ」と顔に粉をつけた。日に焼けた彼女のほっぺたに白い粉の粒がてんてんと乗って可愛らしかった。


そばかすとおしろいの頬なづる風




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