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きのこ * チェンマイ俳句毎日

【チェンマイ俳句毎日】2024年8月29日

タイが好きだが、外国人だからこその苦労や心配事がないわけでもない。今日はそんないくつかの負の事柄が重なった。

こんな時は、運動だ。
と、近くにある山寺の参道を駆け上った(笑)。
境内で、青空と寝釈迦などの長閑な写真を撮って、いつもの友人たちへ、ここはこんなに晴れているよ、と送った。

そして、来た道を下った。境内は参拝客の声で賑やかなのに、参道は虫の声しかしない。

しばらく下ると、1組の家族連れが登ってきた。3人ともタイヤイ(族)の正装だ。
若い男性は白いカッターシャツにえんじ色のタイ式パンツ、女性は体にぴったりフィットしたシャツにロングの巻スカート、というタイヤイの伝統的な民族衣装を身につけている。
そもそもこんな暑い時間に若干ハードな参道を歩いて登る人はとても少ない。最初から汗をかくつもりの私なんてTシャツの軽装だが、敬虔な仏教徒が多いタイヤイの人たちは、大切なお寺を詣でる時は、こんな大変な参道でも一張羅の民族衣装でおしゃれをするのだと感心した。

先に登って来た男女に遅れて、母親だと思われる中年の女性が、やや興奮気味に何やら話しながら登ってきた。

まあ! こんなにいっぱい生えてる!!

地面に生えた黄色いきのこを見て、歓声を上げているのだ。

確かに、地面には少しひだのある黄色いきのこが、そこかしこに生えている。
女性は参道から少しそれた斜面に向かうと、
一面に黄色いきのこが生えているのを見て、「まあ! 大変!」と、ますますテンションが上がっている。

何ていうきのこですか? と尋ねたら、
採ったきのこを見せながら、「黄色いきのこ」というのよ。とってもおいしいのよー!
と、今にも口の中に入れそうな勢いだ。
きのこの名前は、案外そのまんまである。

隣国ミャンマーから命からがらタイに避難してきたタイヤイの人たちの中には、厳しい条件の日雇い労働しか選択肢がない人もいて、その苦労は大変なものだと思う。

お母さん、そんなところにいたら蚊に刺されるよ、
息子らしき人が心配して声をかけている。
そうね、お参りをしてから帰りに採るわね
と、母親は心から嬉しそうに笑うのである。

自分の悩みなんて小さなものだと、きのこにも笑われているような気がした。



わらわらと黄色いきのこの雨上がり





黄色いきのこ


寝釈迦となぜか電話ボックス
ドリアンと最近流行りのぶどう(新登場)



右から、赤い紅葉(もちろんイミテーション)、クリスマスツリー、白い紅葉(もちろんイミテーション)、電話ボックス、天使、寝釈迦の足


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