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マンゴー * チェンマイ俳句毎日

【チェンマイ俳句毎日】2024年6月29日

助手席のマンゴー山積み夏の朝

車窓より受け取るマンゴーの黄色

マンゴーの終はりの夏はまだ半ば


朝市にAさんと出かけ、買い物の後にウォーキングをしていると、白い乗用車が真横に停まった。窓が開くと、この界隈で有名なお洒落雑貨店&カフェを経営しているオーナーだった。この市場でよく会うのだが、とても律儀な人で、私たちを見かけたら、いつも必ず挨拶をしてくれる。

3児のパパでもあり、奥さんや元気いっぱいのお子さんたちを乗せていることもあるが、「今日は彼を乗せてます」と車の一番奥の席にはまり込んでいる犬を指さした。やや顔の肉の垂れたドーベルマンみたいな大きな犬で、嬉しそうによだれを垂らしている。Aさんは大の犬好きなので、かわいいね〜と声をかけている。

その間、私は犬のことよりも、車の助手席に山積みの大きなマンゴーの黄色い実に気を取られていた。

タイではそろそろマンゴーのシーズンが終わる。大好きなマンゴーを最後に堪能しようと朝の市場で買う気満々だったのに、今日は見かけないなと思っていたら、オーナー氏が買い占めたんだな!?  品種はわからないけど、黄色くてなんともおいしそうなマンゴーだこと。うー、一歩、遅かったか〜、などなど瞬時にいろいろな考えが駆け巡った。

するとオーナー氏は、助手席のマンゴーの山からおもむろに2つ取って、Aさんと私にひとつづつくれた。

えー!?(気持ちが通じたのかな?)
うれしい✨ありがとうございます!

遠慮なく受け取ったら、
よいマンゴーですよ、香りがいいですと、黄色いマンゴーをひとつ嗅いで見せた。さすがお洒落雑貨店のオーナー、どこまでも爽やかである。

オーナー氏の車が行ってしまってから、Aさんが、
「私がマンゴーをがん見してたからくれたのかしら? 」と言う。
「 え!? Aさんも? 実は私もこんなマンゴーどこに売ってたんだろうってじーっと見ちゃったんですよね…」
 もしかして彼は、日本人が二人でマンゴーを物欲しそうに見ていたからくれたのか。そうだとしたら、なんだか恥ずかしい…。
   まあ、彼が買い占めたのだから分けてくれないとね、という考え方もあるのかな?


✍️
マンゴーにはいろんな種類がある。最もポピュラーな少し先の尖った「 ナムドークマイ」は、糖度と酸味のバランスが良く、文句なしにおいしいが、この種の旬は少し前に終わった。最近はマハーチャノックという大きくて香しいものや、その他の「田舎マンゴー(原種っぽい)」が出回っている。
地元の人たちは熟れているマンゴーよりも青くて酸っぱいマンゴーを好んで食べている。皮を剥いて薄切りにした実は、カリッと固くかなり酸っぱい。塩(ナンプラーとか)や砂糖、乾燥唐辛子の粉末を付けて、スナック感覚で食べる。タイに来たらぜひお試しを。
マンゴーは一応、年中食べられるが、もしもマンゴーをタイの季語にするとしたら、旬の4月から6月いっぱいが適当かな。


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