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みんな好きでしょBBQ

肉。

酒。

人。

全部好きなのに

僕が楽しめないもの。

それは、BBQ。

家族の、じゃなくて

所謂、招待制のBBQだ。

ある日突然

向日葵のような笑顔で

お誘いを受ける。

表情を見れば

それが好意ということくらいは

僕にだって分かる

この時点で

ゲームセットだ。

とにかく考えすぎる僕にとって

BBQ参加は

ごめんなさい、

地獄でしかない。

それが、BBQ。

ひとりだけど、うまく馴染めるかな。

手土産とか、いるのかな。

ここでセンスが問われるんだ。

知らない人、いるだろうな。

とにかく笑顔を忘れずに。

この時間、何をすればいいんだ。

肉まだ焼けないのかな。

肉焼くの、代わってあげないといけないな。

いやいやちょっと待て、本当は焼いていたいのかな。

あの人、楽しんでるかな。

主催者、誰だっけ。

うまくやれない人、僕以外にもいるっぽいよ。

ちゃんとかまってあげないと。

そうだ、子供たち優先だ。

肉焼いてあげないと。

あぁ、焼きすぎた。

ごめん、焼きすぎた。

君の好きなウィンナーは

必要以上にカリカリだ。

肉だって

ほらほらこんなに軽くなってる。

おいしくないよね。

本当はおいしくないって思ってるよね。

誰も僕を責めない、優しい世界だ。

あの人、ビールおかわり欲しいのかな。

次も麒麟でいいのかな。

どうでもいいけどチューハイ、ぬるいな。

氷、足りないよ。

誘ってもらってるのに、食べ過ぎちゃいけないよな。

だけどお腹すいたな。

あぁ、暑い。

ただただ暑い。

帰りたい。

帰りたい。

片付けするまで、帰れない。

とりあえず呑んで忘れよう。

それがいい。

それがいい。

だけどチューハイぬるい。

とにかく肉は食べすぎちゃいけない。

そうか

僕はヴィーガンだった気がしてきた。

そうだ

ピーマンを食べよう。

カリカリ玉ねぎなら許されるだろう。

あぁ、今日はBBQ。

いつか終わる。

止まない雨はない。

明日は必ずやって来るんだ。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

こんな僕を誘わせて、ごめんなさい。

招待制のBBQ。

こんなんだから

参加するのは地獄だが

断わるのも大変だ。

それなりに健康体の僕には

参加できない理由が

どこにも見つからないんだ。

嘘なんてつきたくないが

僕だって

全身笑顔のあなたをガッカリさせたくないんだ。

BBQは苦手なんて

齢50近くにもなるオッサンに

言わせないでくれ。

本当に

誰も悪くない

結果として

残るのは

漆黒の肉と

絶望感だけ

それが、BBQ。

だからせめて

ここに書かせてほしい。

どうか

どうか

BBQには誘わないで。

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