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この仕事(システム開発)の醍醐味の話。

柄にもなく、仕事の醍醐味というものについて書いてみます。



普段から私は「仕事なんてどうでもいい」的なことを書いているのですが、それは仕事そのものの価値とか必要性が無いということではなくて、その仕事を遂行する私自身の人生にとって、仕事それ自体にはさほど重要な意味は無いというだけにすぎません。

結局は「人生の暇つぶし」として考えている仕事ですが、どうせ暇つぶしだからこそ、嫌々やりたくないと言いますか、せめて夢中になったり楽しく思えるような時間の使い方をしたいと思うわけです。

意識低い系の人間で恐縮です。

私の仕事についての話。

さて、唐突ですが、私は事業会社内の情報システム部門で勤務しており、そこで主に社内システムの開発業務に携わっています。

情報システム部門というと、パソコンとかの情報機器の管理やネットワークなどのインフラ周りを面倒見るような仕事もありますけど、私は主に社内システムの開発だったり改善だったり問い合わせサポートの業務だったりを担当しています。言ってみれば、社内システムエンジニア(社内SE)とかいう役割になります。

ただ、厳密な区分けはあまり無いので、「やれる時にやれる(わかる)人が対応する」的な振る舞いが要求されることが多いです。

これまで私は、主にマネジメント業務が中心のシステム開発会社だったり、三次請け四次請けは当たり前の下請けの開発業者だったりという勤務先の経験がありますが、広い目で見れば「システムを開発する」という点で同じような仕事をしてきました。

ですが、職種はどれも同じようなものの、勤める会社のポジションによって、仕事への携わり方は全く異なってきます。

ちょっと今までの私の乏しい職務経験に照らし合わせて、ご紹介します。

1.大手グループのシステム子会社の場合。

たとえば、私が新卒で働き始めた会社は、大手企業のグループ会社でした。

ここは元々、本社の情報システム部門だったところが分社化し、システム開発会社になったという経緯がありました。なので、職種としてはエンジニアとして勤めることになるわけですが、この会社は基本的にシステム開発については管理がメインのところでした。

どういうことかと言いますと、実際にプログラミングをするなどの手を動かす作業は外部の会社にお願いするのです。下手をしたら「どういうシステムにするか」という技術的な検討をする設計作業なんかも、社外に任せたりします。自分たちで仕事をするとお金が高いという建前です(本当はそのようなスキルが無いというものあります)。

ですから、こういった会社では、より大きな絵を描いて「如何に安く予定していたシステムを確実に完成させることができるか」といったところが重要視されると思います。その点で、人もお金もたくさん使っていきますから、そういう調整だとかとりまとめとか、マネジメントに喜びを見出せる人であれば向いているでしょう。私は無理でした。

2.下請け業者としての開発会社の場合。

それから、三次請け・四次請けは当たり前の下請け業者。下請け業者なんて言ってしまうと聞こえが悪いですが、実際その通りです。

システムを作るということになると、ざっくり「発注する」側と「受注する」側が居ます。ですが、規模の大きいシステムですと「受注」側が1社で開発するケースは稀で、大抵「この作業はA社、こっちはB社」みたいに作業をお願いしていきます。

その方が安く上がるためです。高い金額で請けておいて、自分のところよりも安く仕事してくれる会社にお願いして、中間のマージンをとったりします。A社で受注した仕事が、さらに細分化されたり、あるいはそのまま丸投げされるのです。

私が勤務していた下請けの開発会社というのが、この「丸投げされた」側でした。同じ現場で働くメンバーによって、名乗る会社が違ったりしました。受注側の一次請けであるA社の部長さん向けには「B社」を名乗り、二次請けのB社のプロジェクトマネージャーに対しては「C社」を。そして、三次請けであるC社の現場リーダーにはやっと自分の所属会社を名乗る。といったような複雑な身分です。これが普通によくある話なのでもう業界として闇が深いと言うか何と言うか。

こういったピラミッドの最下層にいるような会社においては、基本的に単発で仕事を受けて、このプロジェクトが終わったら次のプロジェクト、その次はこのプロジェクト、といった形で働くことが多いです。中には、1社と親密な関係になって、保守(システムを開発した後にそれを見守ったり改善していく仕事)の仕事を任されて、何年も現場で勤務する人も居ます。ただこのケースはそこまで多くないです。

ほとんど常に新たな仕事をしていくので、最新の技術に触れていたいとか色んな現場で働いてみたいという人には向いているかもしれません。

他方で、いつでも新人のようなフレッシュさを持ちながら、時にはベテランのようにどっしり構えた姿勢を求められ、そうかと思えばボロ雑巾のように扱われてもへこたれない鋼メンタルがあるとなかなか上手くやっていけると思います。

いやむしろプライドは捨てたうえでの精神力と体力が大事か。スキルがどうとかはそこまで関係ない感じがします。必要に迫られて勝手に身につくと言うか、ぶっちゃけ、付け焼き刃で身につけたとしても現場変わればすぐ忘れるような…。

あとは、現場によって労働環境が全く変わる傾向が大きいです。上に立つ人の人間性とか手腕次第で、働く現場は地獄にも天国にもなります。ちなみに私が経験した現場は地獄しかありませんでした。なんでだろうね。

3.社内システムエンジニア(社内SE)の場合。

さて、それから、今の私のように、社内SEとして事業会社内の情報システム部門なんかで働くケースです。

これは一見、一番最初の例で挙げたようなシステム子会社の立場と近いように見えます。

ですが、実際には結構違います。システム子会社ですと、親会社と子会社とで、待遇や立場が全く違います。上下関係と言うんですかね、「システムを作ってよ」とお願いする側が偉いわけです。時に横柄な人も居たりします。「俺は親会社の人間だぞ。お前ら子会社を使ってやっているんだ」みたいな。

これが、社内SEとかですと、基本的には自分も社内の一員です。やっている仕事や役割が違うだけで、「こういうシステム作ってよ」と言ってくる人たちと立場としては同じわけです。上下関係というのは建前としてはありません。(もちろん部署間の力関係はあります)。

こういったケースでは、社内のシステムを作る場合には、まずは「作れるか、作れないのか」という判断を迅速にする必要があります。また、「作れるとしたらどれくらいかかるのか」とかのスピード感や、「それを作ったことでどのような効果が出るのか」という目的もきちんと押さえておかないとなりません。無理だと判断すれば断る勇気も必要です。

それは、同じ事業会社のメンバーとして、「会社のために」という観点が無いといけないためです。言ってしまえば、自分自身が「コスト」なわけです。何かモノを売るということでもない限りは。

つまり、情報システム部の人間に対しては、「こういうシステムを作る」となると「売り上げがどれだけ上がる」とか「経費がどれだけ抑えられる」みたいな観点が求められるということです。

システムは「作る」側であると同時に、立場上はそれを「使う」側でもありますから、会社の懐として無駄なものは削らなければならないんですよね。ですからその判断には結構スピード感が求められるわけです。経営的な視点が絡んできますので。

そういった意味で、働く上では物事を主体的に進めていく必要性はあります。

社内のことなので納期をある程度自分でコントロールできることもあり、「ユルユルで良いんだ〜」という働き方も可能っちゃ可能ですけど、多分評価はされないですし、最悪の場合真っ先に「アンタもう明日から来なくていいよ」の対象になるので注意が必要です。

実は、受け身で仕事していると、結構すぐに居場所が無くなって肩身が狭くなって「合わない…」と思う人も多いようです。

一般的には「社内SEはラクだ〜」という思いを抱くケースも多いとは思いますが、それは開発専業の会社に比べて納期と品質はそこまで厳しくないという程度で、それ以外のコストに関しては死ぬほど厳しいと考えておいた方がいいかもしれないです。上にも書いたように自分自身が会社にとってコストですから。

たとえば、出世する=会社のコストも上がる、ということですから、その分、劇的にコスト圧縮するなり売上向上に寄与するなり、会社にとって良いことがないと無理なわけです。そもそも、そういう旨みが無い限りは、会社としてその従業員を出世させる必要性が無いのです。

自分で仕事を取りに行かないと、居場所が無くなります。開発会社のように、黙っていても営業が仕事を取ってきてくれるわけではありません。プログラミングだけがめちゃくちゃ出来てもダメで、インフラ関係の考慮とか社内との調整とかも自分で全てやる必要があったり、マネジメントだけ出来てもダメで、プログラムの細かい仕様とかその開発経緯や社内的な事情とか設計思想までも抑える必要があったり。ジェネラリストと言いますか、結構フルスタック的な働きを求められたりします。案外、外から見ているよりもサバイバルな環境ではあります。

そして何より、職種としてはエンジニアに見えますけど、実際には会社の一従業員にすぎませんので、開発以外の業務を任されることもあり得ます。ここでは「システムを作る」に限って言いましたが、「システムを導入する」という仕事も多くあります。自分で手を動かして開発することができるかどうかは、会社のカラーや方針なんかに大きく左右されます。

もっと言ってしまえば、サラリーマンですから、当然、人事異動によって今までとは全く違う部署とかに移る可能性もあります。

実際、開発チームで私と一緒に仕事をしていた同僚の中には、総務とか財務とか、営業支援の部署に異動していくケースもありました。私はたまたま開発の仕事をずっと担当させてもらってますけど、当然、明日は我が身ではあります。翌週から全然システムに関係ない仕事をする可能性もあるということです。

それを受け入れた上で、システムはあくまでツールであると考えることができて、やっぱり「会社のため」に働ける人が強いと私は思います。というか、エンジニアであることにこだわりすぎると、社内SEとして同じ会社に長くは勤めることは多分難しいかもしれないです。

正しさとか自己満足とかの話。

こう見ると、一口に「システムを作る」という観点で見ても、様々な関わり方があります。私は、現在の勤務先ではそれなりに満足はしています。今のところはですけど。

それは、様々な立場の関係者を経たうえで、少しでも自分の「居心地は悪くないな」と思えるところに辿り着けたためです。醍醐味というほど大層なものではないですけど、やはり、自分で手を動かしてプログラミングをして作って、というのは楽しいです。良い気持ちになります。

ただ、誰かに命令されてプログラムを書いていればそれで良いかというと、それはちょっと違うような気もします。たしかにそれはそれで気楽ですけど、やっぱり全体像を見て、自分の裁量をそれなりに持てて、正しい道を進むことを選択できる、というのが一番嬉しいかもしれないです。

どういうことかと言うと、上で挙げたような会社に勤務していた頃には、自分が正しいと思える道を進めないことも多かったんですよね。

たとえば、個人的には「この機能はこういう使い方をすべきだから、この部分をもっとこうすべきだ」と考えていたとしても、大きな開発プロジェクトの中では既にキッチリ機能が固まっていたりして、何が何でもそれに向かって作らなきゃいけないとかだったり。

要するに、個人の勝手な思い付きで、大きいプロジェクトの進行に影響が出るようなことは許されないわけです。まぁ実際思い付きではなく、誰がどう見ても「これ、大丈夫か・・」と思うような仕上がりのものでも、スケジュールを死守するということが最重要視されて、見て見ぬ振りがされるとか、そういったこともあります。こういうときに私は、自分の正義が殺される感覚を抱いたりしました。

まぁ正しい正しくないなんて、実際のところは分からないです。ですが、自分が仕事をする以上は「こう考えている」という思いを形にするプロセスがあるのと無いのとでは、仕事のへの愛着も変わってくると思うんですよね。もちろん、その価値観は人それぞれですし、少なくとも私はそういう裁量が欲しいというだけではありますけど。

結局は自己満足ですから。そういう自己満足をどれだけ仕事の中に見出すことができて、さらにそれによって少しでも助かる人が多くなる結果が出ること。それであれば十分なように思います。最初に言ったように暇つぶしですから。自分の時間を使うわけですから、好きなように使いたいという自己満足に通ずるところがあるわけです。自分の精神衛生上、とても良い時間の使い方だと思います。

些細な醍醐味の話。

実は、今やっている仕事が結構面倒な作業が多いです。

アレコレ好き勝手なことを言ってくる関係者も多くて、そのくせ、結構みんなすっぽり抜け落ちている観点が多かったりしてドタバタと仕様変更だったり、急な作業タスクが増えたりして。「ちょっともう勘弁して…」とか「いい加減この仕事もうしんどいわ…」という思いを抱いたりとします。正直。

ただ、設計通りに実現できるかを調べて、ひたすらプログラムを書くという行為をしていると、本当に一日があっという間に過ぎていきます。ああ、やっぱ楽しいんだなぁと思うわけです。

これが、人と人との調整ゴトだったり、大きな風呂敷を広げて説明をしたり、単純作業を繰り返したり、シコシコと資料を作ったりするのだと、やっぱり個人的には「合わないな」と感じてしまっただろうと思います。いや、資料作りはそこまで嫌いではないですけど。

とにかく、手を動かして実装したり調査したりまた実装したりしていると、山盛りある要求仕様を形に出来るような道筋が一本スッと開けてくる瞬間があるんですよね。「あっ、このやり方ならいける」と。まだ書かなきゃいけないプログラムは山積していても、そういう瞬間に、まるでゴールテープを見たような気になるんです。よっしゃ、これでいけるぞと。このまま突き進むだけだぞと。

私のようなへっぽこエンジニアが言えたことじゃないですけど、こういう自分なりの「思い通りにいったぞ(いきそうだぞ)」的なところが掴めてくることが、この仕事の一番の醍醐味のように思います。

結論。

まあ面倒くさいことばかりで腹立つことも多いですし辞めたいこともありますけど、そういう瞬間があるからまだもうちょっと続けてみるかという感じでここまで来てます。

それはもう、私の好きな某アニメ映画のキャッチコピーにある通りです。

おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

今後、私はこの会社にいつまで勤めるか分かりませんけど、なかなか初心に立ち返ると言いますか、そういう思いを思い出した出来事でした。仕事で疲れたらこの記事を読み返すことにしようと思います。それでもダメなら潮時かな。おわり。

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