見出し画像

銭湯で勝手に戦友を見つけた話。

先日、銭湯に行ったら、私が普段使っているのと同じシャンプーを持参している人が居た。それを見て私は勝手に親近感を抱いたわけだけれど、実は案外ファンが多いシャンプーなのかもしれない。

そのシャンプーとは、「オクト 薬用シャンプー」(以下、オクト)だ。

私はこのオクトとは、かれこれもう20年以上の付き合いになる。

実は、私は中学生の頃、常に「フケ」に悩まされていた。頭皮が剥がれてゴミのようなものが出るあれだ。

※そういった話を不快に感じる方がいたらすいません。
このまま引き返してください。

いつからそうなったのか憶えていない。毎日お風呂に入っていたし、洗髪も欠かさずおこなっていたのに、頭皮がポロポロと剥がれ落ちて、雪のように肩に降り積もるのだ。手で払っても払って無限に出てくるんじゃないかというくらい頭から出てくる。当時はこれが本当に嫌で、学生服なんて着ようものなら、黒い服に白いものがまぁ目立つ。
色々なシャンプーや、何やら硫黄成分の配合された薬などを試したがどれも効果は薄く、若いながらも「この先の人生ずっとこの白い粉みたいなやつに悩まされながら生きていかなければならないのか」と絶望していた。

あまりに悩み過ぎて自暴自棄になり、反抗期も相俟って、家では荒れ放題だった。
でも、内弁慶だったので、学校では何食わぬ顔で、フケが肩に落ちるのを見計らって、誰にも見られないように振り払っていた。「あれ、なんか肩にゴミついてるよ」と同級生から指摘されれば、血の気が引くような思いをしていた。髪の毛を激しく振り乱すような動きもできなかったので、友人の前では、あまりはっちゃけることも控えていた。

美容院に行くのも気が引けた。洗髪してすぐならそこまで症状が出ないので、「頭皮、乾燥してるんすよね、すいません…」という感じで申し訳なさそうに、あまり気にしていないフリをして美容師の人に話して切ってもらったりしていた。けれど、カットしてもらった後に合わないシャンプーで洗ってもらうと、めっちゃ出てくるので、とてつもなく嫌だった。

そんな生きづらさを感じていた。そうこうしているうちに中学生活が終わり、高校生になっていた。

そんな時に出会ったのが、このオクトだった。
いや、厳密に言うと、私にとっては、オクトだけではあまり効果は無くて、このオクトともう一つ洗浄力の高いシャンプーを組み合わせて使うと、なぜか効果抜群だった。組み合わせと言っても、1回目のシャンプーはオクトで洗い、2回目のシャンプーで別のものを使って洗うだけだ。
すると、あれだけ悩まされていたフケはピタッと止んで、今まで自分は何に苦しんでいたのかと思うほどだった。

個人的に、効果のあった組み合わせは以下のものだ。

1.オクト+パディリーフ(昭和化学)
2.オクト+コラージュフルフル(持田製薬)
3.オクト+キュレル(花王)

(ちなみに、この順番は個人的に効果が高かった順。でも、その分値段は高い。)

これらを発見した時は、天にも昇る思いだった。「これでもうフケを気にせず生きていくことができるんだ」と。こうして一つ、自分の中のコンプレックスから逃れられた。
私は化学や生理学なんかの専門知識が無いのではっきりしたことは言えないが、私のような症状(毎日しっかり洗っているのにフケが出るケース)というのは、頭皮のカビが原因と聞いたことがある。だから、もしかしたら、これらのシャンプーにはそのカビに対する殺菌成分なんかが含まれてるのかもしれない。また、この頃から朝に風呂に入る習慣を始めたのでそれも一つ効果に寄与していたのかもしれない。わからないけど。
※なお、この方法はたまたま私には効果があったのかもしれないので、同じように悩まれている方が真似されても改善されないかもしれません。あしからず…。

ただ、悩みは一つ消えたが、私はこのオクト+αのシャンプーを手放すことはできなくなった。と言うよりむしろ、私としてはもう一生このシャンプーを使っていく決意が生まれた。あんなに悩ましい思いをするのであれば、この先、死ぬまで一生このシャンプーで良いと思っているくらいだ。

現に今も、温泉とか何処か外泊した時に備え付けのシャンプーを使ってしまうと、翌日はちょっと白いやつが現れたりする。しかし、帰宅してオクト+αをすれば、見事にそれらはピタッと消える。だから、私はもうオクト+αしか使えないのだろう。
以前、美容師の方に頭皮を見てもらった際、「ちょっと赤くなってますね」と言われたことがある。もしかしたら、洗浄力の強いシャンプーを常用していることで、頭皮には必要以上にダメージはあるのかもしれない。
でも構わない。仮にダメージがあるとしても、フケのある生活には戻りたいと思わない。そして、オクトの香りはとても芳しく、私は純粋にこのシャンプーを気に入っている。

だから、銭湯で見かけたその方も、「もしかしたら私と同じ悩みを持っているのかな。そして、私のように一生の覚悟を持ってそのシャンプーを使っているのだろうか」と勝手に思い、何やら戦友のような気持ちを抱いて、嬉しくなった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?