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ゼレンスキー、ウクライナはすでに弾薬を使い果たしたことを認める

読売新聞のインタビューで、ゼレンスキーが弾薬不足を漏らしてしまったことは、西側に新たな問題を投げかけた


2023.3.26 The Automatic Earth
by Raúl Ilargi Meijer


米国主導の西側主流メディア(MSM)は、今年に入ってから、ウクライナにおけるNATOとロシアの代理戦争の軍事戦略的ダイナミクスを、より正確に報道するようになったが、彼らの比較的向上した誠実さを示す真のテストは、ゼレンスキーの最新の非難すべき告白についての認識を高めるかどうかにあるだろう。日本の読売新聞のインタビューで、彼は「我々には弾薬がない。東部の状況は、我々にとって良いものではない。」と率直に語っている。

日本語版(抜粋)
ウクライナは米欧に対し、戦闘機の供与を要請している。米欧には、戦闘のエスカレートを招きかねないとの懸念があるが、ゼレンスキー氏は「防空網の一部(として使うの)であり、ロシア領(の攻撃)では使う必要はない」と明言した。

バフムトなど東部の最前線では、「状況は良くない。弾薬がないためだ」とし、欧米に弾薬や戦車提供を加速するよう訴えた。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20230324-OYT1T50319/

英語版翻訳(抜粋)

ウクライナ東部のバフムートでは、ウクライナ軍とロシア軍の間の激しい戦闘が続いており、ウクライナ人の間で死傷者が増えてる。

ゼレンスキーは、「私たちは弾薬を持っていません。私たちにとって、東部の状況は良くありません。」 彼は、米国およびヨーロッパ諸国からの弾薬の供給の加速を訴えた。

https://japannews.yomiuri.co.jp/world/europe/20230325-99649/

これは、いくつかの理由で大きな発見である。第一に、ロシアがNATOの「兵站競争」に勝っていることを証明するものである。第二に、この崩壊した旧ソビエト共和国(ウクライナ)に提供された前述の援助はすでに1000億ドルを超えており、この「兵站競争」でのロシアの主導的地位はより印象的なものとなっている。第三に、ゼレンスキーの告白は、最近ワシントン・ポスト紙が報じた、この紛争におけるキエフ軍の戦力低下、特に情報源の一人が語った「深刻な弾薬不足」の信憑性を高める。第四に、先に述べた点から、キエフの反攻が大きな成果を上げる可能性は激減し、むしろそのような動きは、最終的にロシアの決定的な突破口を開くことになる壮大な過ちである可能性が高まっている。

そして最後に、ゼレンスキーと西側諸国の影響力のある代理人は、キエフがロシアに負けることになれば、この代理戦争への先行投資が無駄になると主張して、さらなる援助を懇願することが予想される。

しかし、問題は、いくらお金を積んでも、弾薬が空から降ってくるわけではない。このような法外な要求を満たすために、生産規模を拡大するには多くの時間が必要である。

ウクライナが弾薬を切らしているという事実は、西側諸国が自称するロシアとの「兵站競争」での敗北が、この時点ですでに既成事実化している可能性を証明している。なぜなら、キエフはNATOの全軍産能力を背景にしているにもかかわらず、相手に追いつくことができないのは明らかだからだ。ゼレンスキーは、自分の率直な告白が実質的にこのようなものであることに気づいていなかったのはほぼ間違いないが、西側主流メディアがこのことを視聴者に知らせるかどうかは今のところ不明である。

一方、そうすることで、ゼレンスキーの物乞いキャンペーンに貢献する可能性もあるが、納税者が、ウクライナがこれまで1000億ドル以上の援助を受けているにもかかわらず、すでに弾薬が尽きている場合、さらに資金を提供する価値があるのか、と問い始めたら逆効果にもなりかねない。結局のところ、この天文学的な金額で弾を撃ち続けるのに十分でなかったとしたら、キエフが意図するように失った領土をさらに奪還するためには、どれだけの金額が必要になるかはわからない。

そればかりか、先に説明したように、いくらお金を積んでも弾薬が突然出てくることはない。米国が企んでいるように、この紛争をいつまでも継続させるためには、ウクライナ軍の根本的な改革が必要なのは明らかだが、ソ連時代の装備に慣れている戦闘員が、すぐに西側の装備だけを使うようになるわけがない。ロシアは、この「兵站競争」において、日を追うごとに前進を続けているのだから。

客観的に見て、軍事戦略力学はクレムリンに有利な傾向にあり、キエフが中国の和平案を真剣に検討するのは、アメリカの支配者がそれを妨げていない限り、普通のことである。ゼレンスキーが停戦という考えに抵抗し続ければ、ロシアがNATOとの「兵站競争」での優位を決定的な勝利に変え、ウクライナがさらに多くの領土を失う可能性が高くなりる。(了)


考察

大量の兵器をウクライナへ供与したことが、NATO加盟国の自国防衛に必要な弾薬が不足してきたことは、昨年後半から少しづつ明らかになってきていました。今回、とうとうウクライナ軍への補給が間に合わなくなったことを伝えるマスメディアが出てきました。

この記事のポイントの一つ目が、弾薬不足をゼレンスキー本人が自白してしまったことです。軍事専門家による弾薬不測の指摘は、フリンジメディアでは出ていましたが、状況を把握していないメディアはそれを無視して、アメリカが戦車だけでなく航空機を送ると言う威勢の良い計画を報道しています。

しかし現実的には、戦車を届けることすら無理があることをアメリカ陸軍長官が語っています。

ウクライナにすれば、そんな先の話より今すぐ必要な弾薬の方が喫緊の問題でしょう。ですから私が推測するのは、ゼレンスキーは優先順位の低い殺傷能力のない装備品しかくれない国の首相に愚痴ったのではないでしょうか。「今欲しいのは、鉄砲の弾なのよ」と、つい本音を漏らしたと見ます。


二つ目のポイントは、(
ギャラをいくら払ったかは知りませんが)日本の読売新聞が弾薬不足の事実を配信してしまったことにあります。

私が注目したいのは、これを受けた海外(特に英米)メディアが大きく取り上げるかどうかです。バイデン政権が戦争の継続を強く望んでいるならば、メディアと協力して(検閲産業複合体)、後追い報道を止めさせるはずです。そうならば、読売新聞は(親分のCIAからはもちろんのこと)エマニュエル駐日大使あたりから大目玉を食らうはずです。

DSお墨付きのエマニュエル(ランボー)ラーム駐日大使

逆に、戦争継続が困難だと判断すれば、(弾薬不足やロシア軍の進攻とは関係なく)少しずつ「和平交渉に動き出している」などの話が出てくるでしょう。(もちろん、負けを認めるような論調にはならないでしょうけど)

そういう事ならば、いきなり英米のメディアが報じるのではなく、NATOに加盟していない西側の国から「弾薬不足」を伝えさせ、ワンクッション入れることで、勝利できないショックを和らげる意味はあるのではないかと考えられます。

バイデン政権の思惑を判断するうえで、今後、欧米の主流メディアがこの記事をどう扱うかを注目したいです。


とは言ったものの、ゼレンスキーの本音は「(殺傷能力のない)しゃもじなんかいらんから、負ける前も、負けた後も、とにかくいっぱいカネを出せ」だと思いますけどね。