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映画 | ボストン市庁舎※地味…じゃなかった

こんばんは。
なんと4時間半!、地獄のように長い映画(笑)。
「ボストン市庁舎」(原題は市役所、らしいです)をやっと、観ました。

上映中から観たい、観たいと言いつつ…観ていなかった作品。一年越し、です。フレデリック・ワイズマン監督はドキュメンタリーの名手、なのだそうですね。

さて、本作はねずみが出た、電気が止まった、とか、何だこれはという、問い合わせに応えているコールセンターの様子から始まります。びっくりなのが市長さん自ら何でも困ったことがあったら電話してください、と、ガンガンに市民の方々へお話しているところ。その電話番号、市長さんへ直接繋がるのです。日本だと考えられない、ありえないこの距離感の近さ。

びっくりしたところ、まだまだあります。
職員さんたち、皆さん凄く丁寧で人間味あふれるサポートをされる方々ばかり。例えば、駐車違反をしてしまって違反切符を切られた方が異議申し立てに市役所へやってきて、この方が違反しちゃったのは初めてお子さんを授かったとのことで慌ててしまい、駐車場を探せなかったのだそうです。2枚切られた切符は確かに自分が悪かった。悪かったんだけど事情が事情だから1枚は違反金ちゃんと支払うので、もう1枚は切らないでとお願いしちゃいます。(そら、無理でしょうに…)って思って観ていたら、対応されていた職員さんが「もうしちゃだめですよ、今回は無効にしますけどー」っと!
担当者の方がその方の判断で、ささーっとスマートに処理!

(スゲー!!!)

なんじゃこりゃ、っと思いました。
他にも色んな市民の方々からのお困りごと、ボストン市庁舎の方々は承るのですが、もう失礼ながら小っちゃいことがわんさかと。一つ一つは些細な事だったり、傍からお聞きしているとつまらないことで…ということが多いです。でも、それぞれよく、よく聴いていくと本当の困りごとはその目の前で"みえていることだけだはない"のだ、ということ。

そのことを実証、実際に実現している方々がいる。ボストン市庁舎のドキュメンタリー、なので実際にその現場で撮られたことなので、これが本当に実際に実現していることだと知ることができて、今、すっごく感動しています。お昼ご飯いただいた後、観始めて夕飯をご用意いただける直前まで観ていたので長いは長いのですが、観ているとあっという間でした。

ボストンって昔はものすごく、物凄く治安は悪いは不平等は当たり前に蔓延っているわ、それはそれは酷い街だったそうです。監督が生まれ育った街なのだそうですが、ご自身のお父さんは市役所職員になろうとしてもユダヤ系、ということで採用されなかったり、それだけじゃなくてアイルランド系マフィアが仕切る街で賄賂は横行するは、アイルランド系とかカトリックじゃなきゃ、それはそれはもう凄い差別が蔓延る街だったみたい。

市役所のドキュメンタリーを撮りたくてあちらこちら、監督は手紙を出してお願いしたところ、応えてくれたのがボストンだけだった(どこも一緒)、のだそうです。こんなに素晴らしい市庁舎だと監督が知ったのは撮影し始めてから、とゆーのがまた、びっくりしました。

職員さんたちが自分たちの役割、責任、プライドを明確にそれぞれ個々で持っていて働いていらっしゃるのは市長さんだったマーティ・ウォルシュさんのリーダーシップがあったればこそ、だと思います。

本作ではナレーションとかテロップとか、一切なくて"そのまんま"撮影した映像を観続けるのですが、時折あるウォルシュ市長さんの演説がもう、素晴らしい。ご自身の体験、言葉で話しかけていて本当にわかりやすい。あと、まずは聴く、聴くことに徹していること。聴いたら今度はどうやって解決するかを考えて実行するスピード!圧倒的速さ、聴いたらすぐやる!!

ご自身も依存症だった経験があるのだそうで、人の痛みをきちんと受け止めて、共感できて、何より"助ける"という意思の強さ。凄かったです。こんな市長さんのいる街で暮らしたいものだと、羨ましく思いました。


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