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一切、容赦なし

伊藤計劃著「The Indifference Engine」を読んでいました。

伊藤さんの作品で私が好きなところは、

1.1人称で語られていて、一切の"レトリック"がない
2.緻密なプロット
3.もうこれでもかという容赦ない描写、語り

本作は全10章からなる短編集でしたが、もうこれでもかというほど一切レトリック、救いのない暗黒!、否定!!、反人道!!!なストーリーの世界を耽溺しました…。

本短編集でも残酷なシーンが多々ありますが、一切容赦ない精緻かつ残酷な筆致で思わず目を背けて(何度も本を閉じました)しまいます。作品の中に存在する登場人物たち、個々では本物の「悪」はいません。ただ、何らかの大義名分を有したとき人は「あらゆる悪」を創造してしまうものなのだ、と思いました。

私は作品を通じ、伊藤さんから読者、社会に対する強いメッセージを感じていて、今、世界で起こっていること、身の回りで当たり前だと思っているけどこれはおかしいのではないかということ、見えている・知っているけど他人事で無感動・無関心となっていること、これらを真っ正面から剛速球で投げつけられている。そんな気がしています。


あと、気になった点としては小島秀夫さんや、たぶん伊藤さんが愛して止まないであろう映画へのオマージュが感じられて、クスっとしたり、感心してしまった点などがありました。たぶん、色んなことが詰め込まれていてるのでしょうね。

360/65、ワニキャップなどの小話、個人的には大好きなポイントです。


他にも未読の作品がいくつもあるので、堪能しよー。



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