9/11テロ事件について。実行犯はどうやって空港のチェックを通り抜けたか

9/11とは、2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロ事件のことです。国際テロ組織「アルカイダ(Al-Qaeda)」のメンバー19人が、4機の旅客機をハイジャックし、ニューヨークの世界貿易センタービルやワシントンD.C.の国防総省に突入させました。この事件で、日本人24人を含む2977人が死亡し、世界中に衝撃を与えました。

9/11事件から22年が経った今でも、その影響は続いています。アルカイダの最高指導者だったオサマ・ビン・ラディン(Usāma bin Lādin)は2011年にアメリカ軍に殺害されましたが、その後もアルカイダは分派や支部を通じてテロ活動を続けています。また、アメリカは2021年8月にアフガニスタンから撤退しましたが、その隙をついてタリバンが再び政権を奪還しています。

事件の発生

同時多発テロは、アメリカの東部時間で午前8時46分に始まりました。ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港を離陸したばかりのアメリカン航空11便が、ハイジャックされた後に世界貿易センタービルの北棟に衝突しました。この時点で、多くの人々は事故だと思っていましたが、その17分後にもう一機の旅客機が南棟に突入しました。これは、ボストンからロサンゼルスへ向かっていたユナイテッド航空175便でした。この2機の衝突により、ビルは炎上し、多くの人々が閉じ込められたり飛び降りたりしました。

同時に、ワシントンD.C.では、ダレス国際空港からロサンゼルスへ向かっていたアメリカン航空77便がハイジャックされ、国防総省に激突しました。この攻撃で、国防総省の職員や乗客など189人が死亡しました。

最後に、ニューアーク国際空港からサンフランシスコへ向かっていたユナイテッド航空93便がハイジャックされましたが、乗客や乗員がテロリストと格闘した結果、ペンシルベニア州の野原に墜落しました。この機体は、首都の連邦議会やホワイトハウスを狙っていたと考えられています。

これらの攻撃は、わずか102分間で起こりましたが、アメリカと世界を大きく変える出来事となりました。

どうやって武器を持ち込んだか

実行犯は、空港のボディチェックを通り抜けるために、金属製の武器を持たずに、ボックスカッターなどのプラスチック製の刃物を隠し持っていました*¹。また、実行犯は、事前に空港のセキュリティシステムや手荷物検査の方法を調べていたと考えられています。さらに、実行犯は、アメリカ国内線の便に乗る場合はパスポートの提示が必要なかったことを利用して、本名や偽造された身分証明書で搭乗手続きを済ませました。これらの方法により、実行犯は空港のボディチェックを突破することができたのです。

*¹[9/11 Commission Report]: アメリカ政府が設置した9/11事件に関する調査委員会が2004年に発表した報告書による。

犯人の狙い

犯人の狙いについては、様々な見解がありますが、一般的には以下のようなものと考えられています。

アメリカとその同盟国に対する報復や威嚇
アメリカは、イスラム教の聖地であるサウジアラビアに軍事基地を置いたり、イスラエルを支援したり、イラクに対する制裁を続けたりすることで、イスラム世界の敵とみなされていました。犯人たちは、アメリカの政治・経済・軍事の中心地を攻撃することで、アメリカの力や影響力を弱めるとともに、アメリカ国民や世界中の人々に恐怖や混乱を与えることを狙っていたと考えられます。

イスラム原理主義の宣伝や勧誘
犯人たちは、自分たちの行為を「ジハード」(聖戦)と呼び、イスラム教の教えに従って神のために戦っていると主張していまし。彼らは、自分たちのテロ行為を世界中に知らしめることで、同じくイスラム教徒である他の人々に自分たちの思想や目的に共感や支持を得ることを期待していたと推測されます。

自分たちの存在や能力の誇示
犯人たちは、高度な計画性や技術性を持ったテロ攻撃を成功させることで、自分たちの組織であるアルカイダの存在や能力を誇示しようとしていました。彼らは、アメリカやその同盟国だけでなく、自分たちと敵対する他のイスラム過激派組織に対しても、自分たちが最も強力で危険なテロ組織であることを示そうとしていたと考えられます。

事件の影響

9/11の影響は、多方面に及びました。主なものを挙げると、以下のようなものがあります。

アメリカとその同盟国による対テロ戦争の開始
9/11事件の犯人とされるアルカイダとその指導者オサマ・ビン・ラディンを追跡するために、アメリカは2001年10月にアフガニスタンに侵攻し、タリバン政権を打倒しました。その後、イラクやシリアなどの中東諸国にも軍事介入しました。しかし、これらの戦争は泥沼化し、多くの民間人の命や人権が犠牲になりました。

アメリカ国内外でのテロ対策の強化
9/11事件は、アメリカ本土がテロ攻撃に脆弱であることを示しました。そのため、アメリカは国土安全保障省を新設し、航空機や空港などのセキュリティを強化しました。また、パトリオット法などの法律を制定し、テロリストやその支援者を摘発するために、政府機関や情報機関に広範な権限を与えました。しかし、これらの対策は、市民のプライバシーや自由を侵害するという批判も受けました。

アメリカ社会でのイスラム教徒やアラブ系住民への差別や偏見の増加
9/11事件は、アメリカ社会でイスラム教徒やアラブ系住民に対する不信感や敵意を高めました。事件後、彼らは暴力や嫌がらせなどのヘイトクライム(憎悪犯罪)に遭うケースが急増しました。また、彼らはテロリストと同一視されたり、忠誠心や愛国心を疑われたりすることもありました。

世界経済への影響
9/11事件は、世界経済にも大きな影響を与えました。事件当日だけで、ニューヨーク市の経済活動は大幅に停滞しました。また、航空業界や観光業界なども深刻な打撃を受けました。さらに、事件後に始まった対テロ戦争は、世界的な石油価格や金融市場にも不安定さをもたらしました。

未解決の謎

今でもなお、事件に関するさまざまな疑問や謎が残されています。主なものを挙げると、以下のようなものがあります。

サウジアラビア政府の関与
実行犯19人中15人がサウジアラビア国籍であったことや、首謀者オサマ・ビン・ラディンがサウジアラビア出身であったことから、サウジアラビア政府がテロ資金や支援を提供した可能性が指摘されています。しかし、これまでに公開された報告書や文書では、サウジアラビア政府の高官がテロに関与したという証拠は見つかっていません。遺族らは長年にわたり、未公開の文書の機密解除を求めてきましたが、米政府はサウジアラビアとの関係を損なうことを恐れてこれを拒否してきました。2021年9月にはバイデン大統領が文書の一部を公開することを指示しましたが、真相解明には至っていません。

ビル崩壊の原因
世界貿易センタービルは2機の旅客機に衝突された後、約1時間半から2時間後に崩壊しました。しかし、この崩壊は旅客機の衝突や火災だけでは説明できないという主張があります。一部の専門家や活動家は、ビル内部に爆発物や火薬が仕掛けられていた可能性を指摘しています。また、世界貿易センタービルの近くにあったビル7号館も、旅客機に衝突されていないにもかかわらず、同日午後に崩壊しました。これは、ビル内部で火災が発生したことが原因だとされていますが、これも疑問視されています。

ペンシルベニア州の墜落機
連邦議会やホワイトハウスを狙っていたユナイテッド航空93便は、乗客や乗員がテロリストと格闘した結果、ペンシルベニア州の野原に墜落しました。しかし、この墜落についても、諸説があります。一つの説は、この機体は米空軍の戦闘機によって撃墜されたというものです。93便のボイスレコーダーには、乗客や乗員がハイジャック犯と格闘する音が記録されていますが、墜落直前の最後の3分間は、何も記録されていません。これは、戦闘機が93便に警告射撃をしたり、電子妨害をかけたりした可能性を示唆しています。また、93便の乗客や乗員が地上に電話をかけた際に、戦闘機の音や影を目撃したという証言があります。さらに、この機体の残骸からは、ブラックボックス(航空機に搭載されている飛行記録装置)や人間の遺体などがほとんど見つからなかったという報告もあります。

以上が、9/11の未解決の謎に関する一般的な見解ですが、これらは必ずしも確かなものではありません。事件の真相や動機は、今もなお完全に解明されているとは言えないでしょう。

まとめ

9/11事件は、世界の歴史に深い傷跡を残しました。事件現場では、犠牲者を追悼する慰霊碑や博物館が建設されています。私たちは、この悲劇から学び、平和と共生を目指すべきだと思います。

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