ロマ(ジプシー)について
ロマ(Roma)とは、インド北部から移動してきた民族の一部で、ロマニ語を話す人々のことです。ジプシー(gypsy)とは、ロマに対する外部からの呼称で、エジプト人に由来する言葉です。ジプシーという言葉は差別的な意味合いを持つこともあり、ロマの人々は自分たちをロマと呼ぶことを好みます。(なお、ロマという名前は、「人々」を意味するロマニ語から来ており、「ローマ」とは関係がありません)
ロマの文化や歴史は、移動型の生活や多様な民族や文化との交流によって形成されてきました。以下に、いくつかの特徴や事例を紹介します。
ロマは6世紀から7世紀にかけてインドを離れ(その理由には諸説あります)、中央アジアや中東を経由してヨーロッパへと到達しましたが、その過程で様々な民族や文化と交流し、言語や習慣に影響を受けました。例えば、ロマニ語はインド・イラン語派に属しますが、ペルシア語やギリシア語、トルコ語などの単語や文法を借用しています。また、ロマは暮らしている土地で主に信仰されている宗教を信じることが多く、カトリック教徒やプロテスタント、イスラム教徒などがいます。
ロマはヨーロッパでは部外者として扱われ、差別や迫害を受ける歴史があります。特にナチス・ドイツではユダヤ人と同様に「劣等人種」とみなされ、強制収容所に送られたり殺害されたりしました。この時期におよそ20万人から50万人のロマが犠牲になったと推定されています。この大虐殺は「ポライモス(Porajmos)」と呼ばれ、ロマの歴史の中で最も悲惨な出来事の一つです。
ロマは音楽や芸術に優れており、ヨーロッパの文化に大きな影響を与えてきました。例えば、スペインのフラメンコやイタリアやフランスで見られるストリートパフォーマンスなどはロマの音楽や踊りから発展したものです。ロマの音楽には強弱やテンポの変化が激しく、情熱的で美しいヴォーカルが特徴です。また、「ハンガリー音階」として知られる独自の音階はロマに由来します。
ロマは占いでも有名です。ロマは自分たちの運命や未来を知るために、枝や葉など身近なもので占いを行っていました。ロマ占いは、その後カードを使って行われるようになり、タロット占いのルーツになったと言われています。
ロマはヨーロッパに到達した後、様々な地域に定住しましたが、その多くは東ヨーロッパや南ヨーロッパの国々でした。例えば、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、スペイン、フランスなどです。ロマは定住先の文化や言語に影響を受けながらも、自分たちの伝統や習慣を守り続けました。
以上がロマについての簡単な説明です。
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