ジーン・シャープ『独裁体制から民主主義へ』非暴力の教科書

ジーン・シャープ『独裁体制から民主主義へ』は、非暴力による反体制運動の理論と実践を解説した本です。著者はアメリカの政治学者で、非暴力的闘争研究の第一人者として知られています。

本書は、ミャンマーの民主化運動のために1996年に執筆されましたが、その後、東欧、中東、アジアなどのさまざまな地域での抵抗運動の参考書として読まれました。

本書の特徴は、独裁体制の弱点を分析し、非暴力行動の198の方法を具体的に示していることです。本書は、世界29言語で翻訳され、日本では2012年にちくま学芸文庫から出版されました。

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本書の章立ては以下のとおりです。

- 第1章 独裁体制に直面することの現実
- 第2章 交渉に潜む危険性
- 第3章 政治的な力は何に由来するのか?
- 第4章 独裁政権にも弱みがある
- 第5章 力を行使する
- 第6章 戦略計画の必要性
- 第7章 戦略を立案する
- 第8章 政治的抵抗を応用する
- 第9章 独裁体制を崩壊させる
- 第10章 永続する民主主義のための基礎作り

本書の内容は、以下のようにまとめることができます。

  • 非暴力とは、物理的な暴力を使わないで権力と闘争する積極的な行動のことである。

  • 権力は、国民の服従や協力に依存しており、国民が権力に対抗することで変化を起こせる。

  • 独裁政権は、内部の対立や不満、外部の圧力や干渉などのさまざまな弱点を抱えており、非暴力的な干渉や非協力によって崩壊させることができる。

  • 非暴力的な力の行使には、抗議、説得、非協力、干渉などの4つの方法があり、それぞれに効果的な場面や条件がある。

  • 抵抗運動は、目的、戦略、戦術、組織などの要素を明確にし、状況分析やリスク評価を行うことで、成功に近づける。

  • 戦略の立案には、目標の設定、権力の分析、戦闘力の評価、行動の選択、計画の修正などのステップが必要である。

  • 政治的抵抗の応用には、非暴力的な制裁、非暴力的な介入、非暴力的な防衛、非暴力的な革命などのさまざまな形態があり、それぞれに適した戦略や戦術がある。

  • 民主主義を確立するには、独裁体制の残滓を除去し、民主的な憲法や法律を制定し、市民の参加や教育を促進し、人権や自由を保障することが必要である。

彼の理論は、マハトマ・ガンディーの非暴力不服従運動に影響を受けたものであり、歴史上の独裁体制の事例分析に基づいています。シャープの著書『独裁体制から民主主義へ』は、世界中で広く読まれており、非暴力による民主化運動の理論的支柱になっています。

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