西洋音楽史

西洋音楽史は、ヨーロッパで生まれた音楽と、その影響を受けた音楽の歴史です。この記事では、古代から現代まで、さまざまな時代や地域における音楽の発展や変化を解説します。

⒈ 古代

古代の音楽は主に宗教的な目的で用いられました。メソポタミア、エジプト、ギリシャ、ローマなどの古代文明では、さまざまな楽器や音階が発明されました。ギリシャの音楽は西洋音楽の基礎となりました。しかし、演奏法に関する史料がほとんど残っていないため、当時の音楽を復元するのは困難とされています。

⒉ 中世

中世の音楽はキリスト教教会によって発展しました。西方教会では、ローマ教皇グレゴリウス1世によって整備されたと伝えられるグレゴリオ聖歌が、単旋律のラテン語聖歌として広まりました。東方教会では、ビザンツ帝国の影響を受けたビザンツ聖歌が発展しました。9世紀からは、グレゴリオ聖歌に対旋律を付けることで、複数の声部を重ねるポリフォニーが登場しました。このポリフォニーは、12世紀から13世紀にかけてパリのノートルダム大聖堂を中心に発展し、オルガヌムやモテットなどの多声音楽が生まれました。14世紀には、フランスのマショーを代表とするアルス・ノーヴァ(新技法)が登場し、より複雑で洗練された多声音楽が作られました。

グレゴリオ聖歌は教会間でしばしば旋律が統一されていませんでした。そこで、10世紀頃から旋律を正確に伝えるために、ネウマと呼ばれる記号を歌詞の上に書いて音の高低や長さを示すようになりました。これが楽譜の始まりです。しかし、ネウマ譜はあくまで記憶の補助として使われるものであり、正確な音程やリズムを表現するには不十分でした。そこで、11世紀にグイード・ダレッツォという修道士が4本の横線を引いて音高を示す四線譜を考案しました。これによって、教会間で旋律を統一することが可能になりました。その後、五線譜や音符の形などが改良されていき、現代の楽譜に近づいていきました。

⒊ ルネサンス期

ルネサンス期は15世紀から16世紀にかけての音楽です。この時代はヨーロッパにおける大航海時代や宗教改革と重なります。14世紀に始まったルネサンスの影響で、芸術においても均整のとれた美しい音楽が求められました。

音楽では、中世期に発展した多声音楽がさらに洗練され、各声部が独立したメロディを持つポリフォニーが主流となりました。ポリフォニーとは、複数の声部がそれぞれ異なる旋律を歌いながら、和声的に調和する音楽のことです。ブルゴーニュ学派やフランドル学派などがこの様式を発展させ、ジョスカン・デ・プレやパレストリーナなどの名作曲家が活躍しました。

  • ジョスカン・デ・プレは「ルネサンス音楽の王」と呼ばれるほど影響力があり、通模倣様式という技法を用いて、歌詞の内容に応じて音楽的表現を変化させました。

  • パレストリーナは「教会音楽の父」と呼ばれるほど宗教曲を多く作曲し、トレント公会議の方針に沿って歌詞の聞き取りやすさや清らかさを重視した音楽を作りました。

また、主旋律と伴奏によるホモフォニーという新しい様式も生まれました。これは、歌詞の内容をより明確に伝えるために、一つの声部がメロディを担い、他の声部が和音を形成するというものです。この様式は、イタリアで発展したマドリガーレやイギリスで発展したエールなどの世俗曲に多く用いられました。マドリガーレは恋愛や自然などを詩的に歌った曲で、モンテヴェルディやジェズアルドなどが有名です。エールはイギリスで発展した民謡風の曲で、タリスやバードなどが有名です。

ルネサンス期は、印刷技術の発展によって楽譜が広く流通し、音楽が一般にも普及する時代でもありました。印刷技術によって音楽家たちは自分たちの作品を広く知られるようになり、また他国の音楽家たちの作品も簡単に入手できるようになりました。これによって音楽文化は国際的な交流と発展を遂げました。

⒊ バロック期

バロック期は17世紀から18世紀前半にかけての音楽の時代です。この時代は絶対王政の時代とほぼ重なり、芸術においても華やかさや豪華さが求められました。音楽では、フーガやトリオ・ソナタなどの対位法的な音楽や、オペラや協奏曲などのドラマチックな音楽が流行しました。

この時期に、弦楽器やチェンバロなどの楽器が発達しました。弦楽器は、弓で弦をこすって音を出す楽器で、音色や音量、表現力に優れていました。チェンバロは鍵盤を押して弦をはじく楽器で、独奏も伴奏もできる優れた楽器でした。

バロック期は、前期、中期、後期に分けることができます。

  • 前期バロック: 前期バロックは17世紀初頭から1625年頃までの音楽です。この時期は、ルネサンス音楽からの脱却を目指して、歌詞や感情の表現に重点を置いた音楽が生まれました。オペラはイタリアで発祥し、歌詞の内容や感情を音楽的に表現する手法が発展しました。モノディという一つの声部がメロディを担い、他の声部が伴奏する形式が主流となりました。また、低音パートに数字を添えて和音を示す数字付きバスという記譜法が考案されました。前期バロックの代表的な作曲家としては、モンテヴェルディやカッチーニ、ペーリなどが挙げられます。

  • 中期バロック: 中期バロックは1625年頃から1675年頃までの音楽です。この時期は、オペラや協奏曲などのドラマチックな音楽が流行しました。協奏曲は独奏楽器とオーケストラとの対話的な音楽で、ヴァイオリンやチェンバロなどが用いられました。また、トッカータやシャコンヌなどの器楽曲も発展しました。中期バロックの代表的な作曲家としては、コレッリやカヴァッリ、フレスコバルディなどが挙げられます。

  • 後期バロック: 後期バロックは1675年頃から1750年頃までの音楽です。この時期は、対位法やフーガという技法を駆使して、高度な構造美と感動的な表現力を兼ね備えた音楽が作られました。また、オペラやオラトリオという声楽曲も発達しました 。後期バロックの代表的な作曲家としては、バッハやヘンデル、ヴィヴァルディなどが挙げられます。

    • バッハはドイツの作曲家で、教会音楽や鍵盤楽器のための音楽を多く作曲しました。彼の作品は対位法やフーガという技法を駆使して、高度な構造美と感動的な表現力を兼ね備えています。彼の代表作には、「マタイ受難曲」や「ヨハネ受難曲」などのオラトリオや、「平均律クラヴィーア曲集」や「ゴルトベルク変奏曲」などの鍵盤楽器曲があります 。

    • ヘンデルはドイツ生まれですが、イギリスで活躍しました。彼はオペラやオラトリオという声楽曲を得意とし、壮大で華麗な音楽を作りました。彼の代表作には、「メサイア」などのオラトリオや、「水上の音楽」などの管弦楽曲があります。

    • ヴィヴァルディはイタリアの作曲家で、特に協奏曲を多く作曲しました。彼の作品は明快で躍動感にあふれています。彼の代表作には、「四季」や「和声と創意の試み」などの協奏曲集があります。

⒋ 古典期

古典期は18世紀後半から19世紀初頭にかけての音楽です。この時代は、啓蒙主義の影響で理性や合理性が重視され、芸術においても明快でバランスのとれた音楽が求められました。

音楽では、ソナタ形式やロンド形式などの様式が確立され、交響曲やソナタ、弦楽四重奏などのジャンルが発展しました。ソナタ形式とは、主題提示部・展開部・再現部からなる音楽の構成法で、第一主題と第二主題が対比されたり変化したりします。ロンド形式とは、ある旋律(リフレイン)が繰り返し現れる音楽の構成法で、リフレインとリフレインの間に別の旋律(エピソード)が入ります。

また、ピアノやオーケストラの楽器も進化し、表現力が増しました。ピアノはハンマーで弦を叩いて音を出す楽器で、音量の強弱を出すことができました。弦楽器は、弓の形や弦の素材が改良されて音量が増しました。フルートは木製から金属製になり、オーボエは音域が広がりました。また、クラリネットが発明されました。さらに、ホルンやトランペットなどの金管楽器にバルブが取り付けられるようになり、音程の調節が容易になりました。

この時代の音楽家は教会や宮廷に雇われていたことが多く、ウィーンが音楽の中心地として栄えました。古典期の代表的な作曲家としては、ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンなどが挙げられます。

  • ハイドンは「交響曲の父」と呼ばれるほど交響曲を発展させ、明るくユーモラスな音楽を作りました 。彼の代表作には、「驚愕」や「時計」、「ロンドン」などの交響曲や、「皇帝」や「日の出」などの弦楽四重奏曲があります。

  • モーツァルトは幼少期から天才として名声を得て、オペラや協奏曲など多岐にわたるジャンルに傑作を残しました 。彼の代表作には、「ジュピター」や「トルコ行進曲」、「やさしいソナタ」などのピアノ曲や、「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」、「魔笛」などのオペラがあります。

  • ベートーヴェンは古典派とロマン派の橋渡し的な存在で、古典派の形式を継承しながらも自由で情熱的な音楽を作りました 。彼の代表作には、「英雄」や「運命」、「田園」、「合唱付き」などの交響曲や、「月光」や「悲愴」、「熱情」などのピアノソナタがあります。

古典期には、ロココ音楽やシュトゥルムウントドランクという二つの流派も存在しました。

  • ロココ音楽とは、18世紀中頃に流行した軽快で優美な音楽で、装飾音符やトリルなどを多用しました。この流派に属する作曲家としては、クープランやラモー、バッハの息子たちなどが挙げられます。

  • シュトゥルムウントドランクとは、18世紀後半に流行した感情的で激しい音楽で、ドイツ語で「疾風怒濤」という意味です。この流派に属する作曲家としては、ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンなどが挙げられます。

⒌ ロマン期

ロマン期は19世紀にかけての音楽です。この時期には市民社会が台頭し、音楽が一般の人々に広く親しまれるようになりました。1795年には階級によらず入学できる音楽院がパリに初めて設立され、欧州各地で著名な音楽院・音楽学校が創設されました。ヴィルトゥオーゾ(高い演奏技術を持つ演奏家)が現れ、人々の称賛を得ました。パリが音楽の中心地として栄え、多くの作曲家や演奏家が集まりました。

音楽では、個性や感情を表現することが重視され、自由で個人的な音楽が作られました。オーケストラやピアノの規模が拡大し、技巧的な演奏が求められました。オーケストラは管楽器や打楽器の数が増え、より豊かで多彩な響きを持つようになりました。ピアノは鉄骨や鋼弦を用いることで、より強くて持続的な音を出せるようになりました。また、文学や詩を題材にした標題音楽というジャンルが生まれました。

ロマン期の代表的な作曲家としては、シューベルトやショパン、リスト、ブラームス、ワーグナーなどが挙げられます。

  • シューベルトは歌曲やピアノ曲を得意とし、抒情的で美しいメロディを作りました。彼の代表作には、「魔王」や「野ばら」、「鱒」などの歌曲や、「未完成」や「グレイト」などの交響曲があります。

  • ショパンはポーランド出身で、ピアノのための音楽を多く作曲しました。彼の作品は繊細で情熱的で、ポーランドの民族音楽の影響も受けています。彼の代表作には、「革命」や「英雄」、「別れ」などのエチュードや、「幻想即興曲」や「別れの曲」、「小犬のワルツ」などのピアノ曲があります。

  • リストはハンガリー出身で、ピアノの名手として有名でした。彼の作品は難易度が高く、華麗で劇的な音楽です。彼の代表作には、「超絶技巧練習曲」や「愛の夢」、「ハンガリー狂詩曲」などのピアノ曲や、「ファウスト交響曲」や「ダンテ交響曲」などの交響詩があります。

  • ブラームスはドイツ出身で、古典派の伝統を受け継ぎながらもロマン派的な感性を持った音楽を作りました。彼の作品は厳格で落ち着いた音楽です。彼の代表作には、「悲劇的序曲」や「ドイツ・レクイエム」、「ハイドンの主題による変奏曲」などの管弦楽曲や、「ハンガリー舞曲集」や「パガニーニによる変奏曲」などのピアノ曲があります。

  • ワーグナーはドイツ出身で、オペラを革新した作曲家です。彼のオペラは長くて壮大で、神話や伝説を題材にしたものが多いです。彼はライトモティーフという技法を用いて、登場人物や場面に対応する旋律を創り出しました。彼の代表作には、「ニーベルングの指環」や「トリスタンとイゾルデ」、「パルジファル」などのオペラがあります。

ロマン期は、個性的な作曲家が多数生まれた時代でもあります。彼らは自分の感情や思想、経験や背景を音楽に反映させ、聴衆にも共感や感動を与えました。ロマン期の音楽は、音楽史上でも最も多様で豊かな音楽と言えるでしょう。

⒍ 近現代

近現代は20世紀から21世紀にかけての音楽です。この時代は、世界大戦や社会主義革命、科学技術の発展などの歴史的・社会的な変動が音楽にも影響を与えました。西洋音楽は多様化し、伝統的な調性や形式を離れた実験的な音楽が生まれました。また、電子音楽やコンピュータ音楽も登場し、音の生成や処理に新しい可能性を開きました。近現代の音楽は、以下のような様々な流派や傾向に分けることができます。

A.印象主義

19世紀末から20世紀初頭にかけてのフランスで発展した音楽で、画家のモネやルノワールなどと同じ時代に活躍した作曲家たちが属します。彼らは、和声や旋律よりも音色や色彩を重視し、曖昧で不確定な響きを作り出しました。代表的な作曲家としては、ドビュッシーやラヴェルなどが挙げられます。

  • ドビュッシーの代表作には、「牧神の午後への前奏曲」や「月の光」、「海」などがあります。

  • ラヴェルの代表作には、「亡き王女のためのパヴァーヌ」や「ボレロ」、「水の戯れ」などがあります。

B.表現主義

20世紀初頭にドイツやオーストリアで発展した音楽で、画家のキリコやカンディンスキーなどと同じ時代に活躍した作曲家たちが属します。彼らは、不協和音や無調を用いて、人間の内面や苦悩を表現しました。代表的な作曲家としては、シェーンベルクやベルク、ウェーベルンなどが挙げられます。

  • シェーンベルクは十二音技法という新しい作曲法を考案しました。彼の代表作には、「浄夜」や「月に憑かれたピエロ」、「弦楽四重奏曲第2番」などがあります。

  • ベルクは十二音技法と伝統的な形式を組み合わせて、感情豊かな音楽を作りました。彼の代表作には、「ヴォツェック」や「ルル」などのオペラや、「バイオリン協奏曲」などがあります。

  • ウェーベルンは十二音技法をさらに発展させて、簡潔で密度の高い音楽を作りました。彼の代表作には、「管弦楽のための変奏曲」や「ピアノと管弦楽のための協奏曲」、「弦楽四重奏曲」などがあります。

C.新古典主義

20世紀前半にフランスやロシアで発展した音楽で、古典派やバロック期の形式や技法を用いて、明快で客観的な音楽を作ろうとした作曲家たちが属します。彼らは、ロマン派や印象主義の感情的な音楽に反発して、理性的で冷静な音楽を目指しました。代表的な作曲家としては、ストラヴィンスキーやプーランク、ミヨーなどが挙げられます。

  • ストラヴィンスキーは「春の祭典」や「火の鳥」などのバレエ音楽で有名ですが、後期には新古典主義の音楽も多く作りました。彼の代表作には、「兵士の物語」や「ダンバートン・オークスの協奏曲」、「交響曲」などがあります。

  • プーランクは「フランス6人組」と呼ばれる作曲家集団の一員で、軽妙でウィットに富んだ音楽を作りました。彼の代表作には、「グロリア」や「フルート・ソナタ」、「ババロア王の戴冠式」などがあります。

  • ミヨーも「フランス6人組」の一員で、古典的な形式や民族音楽の要素を取り入れた音楽を作りました。彼の代表作には、「牛追い歌」や「オボエとピアノのためのソナチネ」、「ル・ブフ・シュル・ル・トワ」などがあります。

D.新ロマン主義

20世紀前半にドイツやイギリスで発展した音楽で、ロマン派の伝統を受け継ぎながらも現代的な要素を取り入れた作曲家たちが属します。彼らは、感情や抒情性を重視し、旋律や和声に豊かさや美しさを求めました。代表的な作曲家としては、リヒャルト・シュトラウスやマーラー、エルガーなどが挙げられます。

  • リヒャルト・シュトラウスは交響詩やオペラを得意とし、華麗で劇的な音楽を作りました。彼の代表作には、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」や「ツァラトゥストラはかく語りき」、「ばらの騎士」などがあります。

  • マーラーは交響曲や歌曲を得意とし、悲しみや喜び、死や愛などのテーマを扱った音楽を作りました。彼の代表作には、「復活」や「大地の歌」、「千人の交響曲」などがあります。

  • エルガーはイギリス出身で、優雅で気品ある音楽を作りました。彼の代表作には、「威風堂々」や「愛のあいさつ」、「エニグマ変奏曲」などがあります。

E.国民楽派

19世紀末から20世紀初頭にかけて各国で発展した音楽で、自国の民族音楽や歴史、風土などを反映した音楽を作ろうとした作曲家たちが属します。彼らは、民謡や民族舞踊、伝説や神話などを題材にしたり、民族楽器や民族的な旋律やリズムを取り入れたりしました。代表的な作曲家としては、チャイコフスキーやムソルグスキー、ドヴォルザーク、スメタナ、グリーグ、シベリウスなどが挙げられます。

  • チャイコフスキーはロシア出身で、バレエ音楽や交響曲を得意としました。彼の代表作には、「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」、「1812年」などがあります。

  • ムソルグスキーもロシア出身で、ロシアの歴史や文化を題材にした音楽を作りました。彼の代表作には、「展覧会の絵」や「ボリス・ゴドゥノフ」などがあります。

  • ドヴォルザークはチェコ出身で、チェコの民族音楽の要素を取り入れた音楽を作りました。彼の代表作には、「新世界より」や「スラヴ舞曲集」、「チェロ協奏曲」などがあります。

  • スメタナもチェコ出身で、チェコの歴史や風景を描いた音楽を作りました。彼の代表作には、「わが祖国」や「売られた花嫁」などがあります。

  • グリーグはノルウェー出身で、ノルウェーの民族音楽や神話を題材にした音楽を作りました。彼の代表作には、「ペール・ギュント」や「抒情小曲集」、「ピアノ協奏曲」などがあります。

  • シベリウスはフィンランド出身で、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」を題材にした音楽を作りました。彼の代表作には、「フィンランディア」や「レミンカイネン組曲」、交響詩「タピオラ」などがあります。

F.前衛音楽

20世紀中頃から後半にかけての音楽で、従来の音楽観念や慣習を打破しようとした実験的な音楽です。彼らは、偶然性や雑音、無調や無組織性などを用いて、新しい音楽的表現を探求しました。代表的な作曲家としては、ブーレーズやシュトックハウゼン、ジョン・ケージ、武満徹などが挙げられます。

  • ブーレーズはフランス出身で、十二音技法やシリアリズムという技法を用いて、厳密で複雑な音楽を作りました。彼の代表作には、「ピアノ・ソナタ第2番」や「ル・マルトー・サン・メートル」、「プリ・エクロ」という電子音楽があります。

  • シュトックハウゼンはドイツ出身で、電子音楽や宇宙音楽というジャンルを開拓しました。彼の代表作には、「コントラ・プンクテ」や「ヘリコプター弦楽四重奏曲」、「リヒト」などがあります。

  • ジョン・ケージはアメリカ出身で、偶然性や沈黙、雑音などを音楽に取り入れました。彼の代表作には、「準備されたピアノのためのソナタとインターリュード」や「4分33秒」、「ウォーター・ウォーク」などがあります。

  • 武満徹は日本出身で、日本の伝統音楽や自然音を用いて、独自の音楽世界を創り出しました。彼の代表作には、「ノヴェンバー・ステップス」や「トリオ」、「アステリズム」などがあります。

G.ミニマル・ミュージック

20世紀後半にアメリカで発展した音楽で、単純で反復的な音型や和音を用いて、時間感覚や響きの変化を聴かせる音楽です。彼らは、西洋音楽の伝統や前衛音楽の複雑さに反発して、シンプルでメディテーション的な音楽を目指しました。代表的な作曲家としては、ライリーやライヒ、アダムス、グラスなどが挙げられます。

  • ライリーは「イン・C」という作品でミニマル・ミュージックの先駆者となりました。彼の作品は、ハ長調(C調)の53の短いフレーズを自由に繰り返すというものです 。

  • ライヒは「ピアノ・フェーズ」や「ドラミング」などの作品で、微妙にずれていくパートを重ね合わせるという技法を用いました 。

  • アダムスは「ショーカー」や「ナイロンズ」などの作品で、ミニマル・ミュージックとオーケストラや合唱などの伝統的な要素を組み合わせました 。

  • グラスは「アインシュタイン・オン・ザ・ビーチ」や「コヤニスカッツィ」などの作品で、反復する旋律やリズムに変化を加えていくという手法を用いました 。

H.ポピュラー音楽

20世紀から21世紀にかけての音楽で、一般大衆に広く受け入れられた音楽です。彼らは、レコードやラジオ、テレビなどのメディアや技術の発展によって普及しました。ポピュラー音楽には、ジャズやロック、ポップス、ヒップホップなど様々なジャンルがあります。代表的なアーティストとしては、エルヴィス・プレスリーやビートルズ、マイケル・ジャクソン、マドンナなどが挙げられます。

  • エルヴィス・プレスリーは「ロックンロールの王様」と呼ばれるほどロック音楽に影響を与えました。彼の代表曲には、「監獄ロック」や「ハウンド・ドッグ」、「ラブ・ミー・テンダー」などがあります。

  • ビートルズはイギリス出身で、「ポップミュージックの革命者」と呼ばれるほどポップス音楽に影響を与えました。彼らの代表曲には、「イエスタデイ」や「レット・イット・ビー」、「イマジン」などがあります。

  • マイケル・ジャクソンは「ポップの王様」と呼ばれるほどポップス音楽に影響を与えました。彼の代表曲には、「ビリー・ジーン」や「スリラー」、「ブラック・オア・ホワイト」などがあります。

  • マドンナは「ポップの女王」と呼ばれるほどポップス音楽に影響を与えました。彼女の代表曲には、「ライク・ア・ヴァージン」や「ライク・ア・プレイヤー」、「ヴォーグ」などがあります。

以上が西洋音楽史の大まかな流れです。もっと詳しく知りたい場合は、関連記事や関連書籍を参照してください。

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