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中学時代のあの気持ち

私が中学生だった頃のお話。
モヤモヤとわからずじまいだったあの頃の気持ちが、今ようやくわかった気がしたので書き留めておきます。

 ど田舎な(良く言えば自然豊かな)中学校で、悠々自適な生活を送っていました。多感な時期で、まあ多少のいざこざはあったけれど、それでも楽しい毎日でした。笑い合える友人、励まし合える部員たち、面倒を何故だかよく見てくれる先生…今思えば私めっちゃ恵まれてたな。そんな恵まれっぱなしの私でしたが、その中でも大好きな人がいました。
 
 音楽の先生です。顔はなんだかカピバラに似ていて(褒めてるよ)ギャグセンス抜群でノリが良くて怒ると超怖い先生。A先生と呼ばせてもらいますね。クラスメイトたちにも人気者で、分け隔てなく人に接するとてもいい人でした。奥さんがいてお子さんがいて、幸せそうに話すその姿に癒されていました。そして何故か私をイジる。私が慕っているのをわかっていたんだろうなあ。

 さて、中学生の私がモヤモヤしていた気持ちというのは、そのA先生に対しての気持ち。なんとなく察している方もいるかもしれません。そう、

A先生に対するその気持ちって恋心なの?

ということ。人間関係も未熟で恋なんてまだまだ初心者な私だったので、その気持ちが恋心なのか別の想いなのかがわからないままでした。何故このようなことを考えるようになったのか、それは些細なことがきっかけでした。そして今ならわかる、これのおかげで、今の私はあの時の想いに名前をつけることができました。


 下校時間の下駄箱でのこと。ちょうどインフルエンザが流行るような時期で、下駄箱にはアルコール除菌のスプレーが置かれていました。私の中学校では、たまーに先生が下駄箱まで来て見送ってくれることもありました。その日はA先生がちょうど見送りに来てくれていて、いつも通り私は彼に軽くちょっかいをかけていました。私の友人もノッてくれて、三人でわちゃわちゃとしていたのを覚えています。そして友人、何を思ったのかアルコール除菌スプレーを持ち、先生に向かって「手を出して!」とニヤけ面。私もなんとなく察してニヤ。A先生は「えー?」と言いながらも手を出してくれました。優しい。

 御察しの通り、友人はそのまま先生の手に連続で吹きかけていました。「ウワーーッ!」と言いながらどうしよう…と手を見つめるA先生を、私と友人は笑いながら眺めていました。そして私の方を見るA先生。ん?なんだろうと思う暇もなく、彼は私の手を思いっきり握って「あげる!」と言いながらめっちゃ消毒液塗りたくって来ました。めっちゃ握るやん。力強くない?呆然とする私を尻目に彼は笑いながら職員室へと帰って行きました。

 そう、これが原因です。手を握られた瞬間心臓バックバク。手ごっつい…あったけえ…。そりゃ「これは恋なのか!?」とも思ってしまいます。でもね、中学生の私、それは恋心じゃなくてね、





“““ 推す ”””という、気持ちだよ————————。

  絶対そう。数々の推しをつくって来た今だからこそ言える。その胸の高鳴りとトキメキはね、推しに対する気持ちだよ。中学生の頃から私は推しを無自覚なうちにつくっていたんだな…。

 ふと思い出して「あの気持ち絶対推しに対するソレだわ!!!!」となったので書かせてもらいました。A先生元気かなあ。



2020.5.18.フリハタ

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