#20 ふるさと納税の話

多くの方が利用している「ふるさと納税」。実質の経費2000円で豪華な返礼品が貰える、節税になるといった印象を持つ人が多いと思いますが、本来の目的や制度の趣旨を知っている人はどれくらいいるでしょうか。簡単に言うと、地方と都市部の税収格差の解消に向けた制度で、自分の故郷や他の地方自治体の様々な取組を支援する気持ちとして創設されたものです。

※田舎から都会に出たら、自分の住む町に住民税を支払うので、地方の自治体は税収が減るというイメージです。なお、ワンストップ特例制度を利用すると所得税から引かれる控除分も地方税から引かれます。国にとっては美味しい制度ですね(皮肉)。

自分が住んでいる町へ支払う住民税の一部を、ふるさと納税した市町村へ寄付する形になります。逆に言えば、本来自分の町へ来るはずのふるさと納税分の税金が他の市町村へとられることになります。魅力的な返礼品がある自治体ばかりが注目されると、そこに寄付額が集中していくことになるでしょう。あまり快く思っていない人もいると思います。自治体間の返礼品競争が白熱したり、趣旨に反するような返礼品が出てくるといった指摘もありますね。

私が税部門にいた5年ほど前、ふるさと納税が注目され始めました。「自分はいくらまで寄付をすれば、限度額を超えないのか」「他自治体に負けないようにあなたの市役所も返礼品に力をいれるべき」といった問い合わせを多くもらいました。あくまで寄付が目的の制度であるので、こういった問い合わせ(中にはクレームを言う人もいる)には困ったものでした・・・。ちなみに、寄付するだけで返礼品をもらわないという選択もできます。

※ふるさと納税をした際の寄付控除には限度額があります。限度額は収入や世帯の状況に応じて異なってくるので、自分で割り出すためには計算するしかありません。今は、ネットで検索すればシミュレーション(簡単なものから詳細な金額までわかる)することができます。

さて、こういった話をしてきた中で、「市役所職員が他の自治体にふるさと納税をするのはどうなの?」という声もたぶんあると思います。公務員はふるさと納税を禁止されていないので、自ら勤務先の役所の税収を減らす行動を快く思わない人もいるでしょう。(知りませーん。個人の自由では?じゃあ、あなたが寄付したら?といった考えは表には出せないですね)

お堅く言えば、返礼品を目的として寄付したり、制度の趣旨に反するような寄附をするのはよろしくないと思います。しかし、職員・一般市民関係なく、ふるさと納税の制度趣旨を十分に理解のうえで行動する必要はあるんじゃないかなと、個人的には思います。

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