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商人日記 2021年10~12月

豊橋まちなか図書館がオープンいたしました。 「人とつながり、まちとつながる」という言葉を掲げていますが、そこは出会いの場でもありました。 早速、私も以前からお会いしたかった銭湯活動家の湊三次郎君に、この図書館でお会いすることができました。 湊君は、豊橋のまちなかにある銭湯・人参湯を復活させてくれました。 会社は京都にあり、全国の銭湯を日夜駆け巡っています。 当日の講演では、24歳で手掛けた最初の銭湯は「地獄の1年間」と表現されていました。 もがきながら、それを乗りこえて、人参湯で7例目の挑戦。 そして、今年の春先に、湊君のお父さんが当店で餃子用のフライパンを購入するためにご来店下さいました。 今回の講演で知ったのですが、お父さんは普通のサラリーマンで、定年退職されて、ラーメン店を開店されました。 きっと、コロナ禍であっても、息子さんの挑戦に、お父さんも励まされているのだと想像しました。私も然りです。 そんな湊君に会いたいとの想いを新しい図書館が実現してくれました。 この図書館は、今後も素晴らしき出会いを引き寄せてくれる予感がいたします。 2021年12月7日

ご来店頂いたお客様が、当店に行くことをお母様に告げると「高津君のところに行くの」 そのお母様は、私の仔羊幼稚園時代の先生であることが分かりました。しかし、私の方はお名前を忘れていました。 早速、年季の入った卒園文集「はるのめ」を開きました。 そこで、先生のお名前を確認して、その巻末にあった「君たちへあたえる」園長先生のメッセージにも目が留まりました。 「毎年のことながら、いとしい者たちが生長してはばたくよろこびよりも、一人取り残される悲しさが大きい。」 この言葉が私の胸を打ちまわした。 「人間が人間たるねうちをもつと言うことは、体が健康で力が漲り、頭脳がかしこく正しく物事を判断し 真理のわかる新しい物をうみ出す力があり、そして心は優しく愛に満ち、生命の大切さを知って他に奉仕する。」 そして、続きます。「今はまだ君たちは、このことをよく知らない、しかし、君たちは遠からず園長のこの言葉を 知る日がくるであろう。」46年の歳月を経て、その日がやってきました。 私の知らないところで私の幸せを願い祈っている皆さんのおかげで今日の私がありました。 2021年11月22日

豊橋まちなか広場がオープンいたしました。そこには、二宮金次郎の石像があります。 もともと広場の土地には狭間小学校があり、そこに設置されていた石像でした。 ところが、戦後廃校となり、吸収合併した私の母校・松山小学校に移されていました。 そのため、私の在学時には、二人の二宮金次郎が学内を歩いていました。 そして、今日その一体が、この広場に帰って来た。 ちょうど、金次郎の七代目子孫である中桐万里子さんが豊橋にやってきました。 金次郎の生まれ変わりのように、現代風にアレンジして講演してくれました。 金次郎像の注目点は、踏み出している足であると。小さな一歩を積み重ねてこそ、大きなことが為る。 そして、それは、他人の足ではなく、自分の足であると私なりに直感いたしました。 人を救済するのではなく、その人が自分の力で道を切り開いていくことを後押しすること。 その結果、金次郎は600以上の荒廃した農村を復興させた。 そこには、人間の可能性を信じる、人間への敬意がありました。金次郎像は私に語ります。 「さあ、あなた自身の足で踏み出せ!あなたならできる。」 2021年11月5日

バラエティ番組で、鳥取城北高校相撲部の主将が、大会前に女性マネージャーたちに感謝を伝えていました。 その時に、尊敬する人の言葉として「強い男の裏には、賢い女性がいる」と紹介。 早速ネットで調べてみると、横綱・白鵬関が引退する時に 「やっぱり近くで奥さんと子どもたちが支えてくれてここまで来られたことは間違いありません。 ことわざにも、強い男の裏には賢い女性がいると言いますので、この場を借りて妻に感謝します。」 高校生が、この言葉を引用していたことを嬉しく思いました。 相撲界には、師匠がいて、そして女将さんと呼ばれる師匠の奥さんがいます。 その女将さんたちのあり方こそ、今日の時代が必要としているものかもしれません。 賢さとは何か。それは、知性であり教養でしょう。来月いよいよ豊橋まちなか図書館が開館いたします。 図書館は単に書籍がある場所ではなく、賢さを身に付ける場所であってほしい。 NHK朝ドラ「エール」でヒロインのモデルとなった古関金子さんのように、この街には、賢い女性の伝統があるように思います。 当店も、そんな女性たちを育てるお店でありたいです。 2021年10月28日

衆議院が解散となりました。政策論争が始まるタイミングで、 現役の財務次官・矢野康治さんが文芸春秋に「このままでは国家財政は破綻する」を寄稿されていました。 そこには、官房長官だった後藤田正晴さんが内閣官房の職員に発した訓示が紹介されていました。 「勇気をもって意見具申せよ。決定が下ったら従い、命令は実行せよ。」 コロナ対策のバラマキを警戒するとともに、国家財政の厳しさを矢野さんなりにモノ申していました。 加えて、松下幸之助さんの言葉も紹介されていました。 「政府はカネのなる木でも持っているかのように、国民が助けてほしいと 言えば何でもかなえてやろうという気持ちでいることは、為政者の心構えとして根本的に間違っている」 為政者は、経済対策とともに財源をどうするかを語るべし。 借金である国債を発行し続ければ、それは明日の世代へのツケを増やすことであり、国家としての信用を損ないます。 財政健全化こそ、今回の選挙で争点にしても良いでしょう。 また、矢野さんに倣い、それぞれの世界で、それぞれの立場で、各人が勇気をもって意見具申する時です。 2021年10月15日