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優れた脚本を持った邦画21選

これまでに2000本を超える映画を観てきた僕が本当に面白いストーリー(脚本)を持った映画を紹介する。

「家にいることが増えたし映画を観たいけど何を観たらいいかわからない」

そういう方に向けて書いた記事なので、取っつきやすさを優先してゼロ年代以降の日本映画に的を絞ったラインナップにしてみた。

なお作品の紹介にあたってどんなストーリーかを簡単に知ってもらうためにログライン(↓こういうの)

桃太郎が家来を集めて鬼を倒す話 『桃太郎』

を添えてみた。

余計なお世話だったら申し訳ない。







1 七人の侍(1954)

百姓が侍を雇って野武士を倒す話

(ゼロ年代に的を絞るといいつつ)おもしろいストーリーを語る上でこの作品だけはどうしても外せなかった。

白黒映画で、尺が3時間超あって、時代劇だ。

取っつきにくさは確かにあるかもしれない。

しかし未見の方は騙されたと思ってみてほしい。古典にありがちな小難しい話では決してない。

百姓と侍がタッグを組んで村を守り抜くというシンプルな話。

ただただ面白い。
面白くて泣ける。

そして観終わった後に恐ろしいスピードで時間が流れていたことに驚くだろう。

体感5分の世界がそこにある。



2 天国と地獄(1963)

仕事に全財産を注ぎ込こまんとするエリート役員が誘拐事件に巻き込まれて犯人の男から身の代金を要求される話

同じく黒澤作品から。

ただただ面白いだけの映画なのでどうしても外せなかった。

こちらは現代劇。

実質二部構成となっており、前半パートでは犯人から身の代金を要求された主人公の凄まじい葛藤が展開される。

後半パートは犯人を追跡する刑事らの執念が描かれている。

圧巻は前半パート。誘拐事件発生から身の代金受け渡しまでの一連の流れは息つくヒマがない。

クドいようだが面白い映画というのはあっという間だ。

"七人の侍"と共に黒澤映画の双璧をなす(と個人的に思っている)作品。



3 白い巨塔(1966)

野心家の医師が金と権力にまみれた教授選に出馬して教授を目指す話

外せなかった。

脚本は天才橋本忍。

原作の長編小説を一本の映画にまとめ上げた手腕には感服する他ない。

逆説的な言い方をするとテレビドラマ史に燦然と輝く唐沢版"白い巨塔"の面白さをわずか3時間弱で堪能しきることができるといえば、

この映画の凄さが少しは伝わるだろうか。


古典の紹介はこれで終わりとする。

他にも悲恋物の最高峰"近松物語"を筆頭に外せない映画が何本かあったのだが、今回は泣く泣く見送ることにした。



4 遊びの時間は終わらない(1991)

融通の利かない警察官が銀行強盗役を任された防犯訓練で本気を出てしまう話

90年代の映画だが、はずせない。

年を取ると一週間前も30年前も大して変わらないのでラインナップに入れさせてもらった。

この映画は"犯人役の警官が防犯訓練で本気を出す"というシチュエーションの妙に尽きる。

主人公が空砲をぶっ放したところで物語の幕が開がっていく瞬間は爽快の一言だ。

シチュエーションのがっちりキマった映画にはハズレがない。

他の作品で思いつくままに挙げていくと
"サボテンブラザーズ"
"ニューヨーク星の王子"
"ラストホリデイ"
"愛しのローズマリー"
"セルラー"…

どの作品もシチュエーションに皮肉の利いた抜群の出来映えで、全部おすすめ。



5 KAMIKAZE TAXI(1995)

ヤクザの金を奪った男がペルー人の運転するタクシーを貸し切ってヤクザから逃げる話

隠れた名作。

"天国と地獄"よろしく中盤までフルスロットでストーリーが展開されてゆく。

役所広司演じるタクシー運転手に出会うまでがストーリーのピークなのはご愛嬌。

隠れさせておくにはもったいない不思議な面白さがこの映画にはある。

個人的にヤクザ系の映画では一番好き。





ここからは冒頭に書いた通りゼロ年代以降のオススメ邦画16本を紹介してゆく。

紹介といいつつほぼタイトルを並べただけになってしまっているが、それは慌ただしい月末のせいにしておく。

なお作品の年代がバラつくように出来る限り頑張った。

6 ジョゼと虎と魚たち(2003)

平凡な大学生が車椅子の少女と恋に落ちる話

ボーイミーツガールのストーリー。

素朴なストーリーを名作たらしめているのはヒロインのキャラクターだ。

僕の中で邦画至上ナンバーワンのヒロイン。

付き合いたい…





7 誰も知らない(2004)

育児放棄された少年が幼い弟や妹と共に子供たちだけで暮らす話

世界の是枝作品。

悲しい話だけど面白いから紹介せざるを得ない。





8 サマータイムマシンブルース(2005)

SFサークルの大学生がタイムマシンで過去を変えてしまい元に戻そうと奮闘する話

邦画コメディの最高傑作。






9 ゆれる(2006)

如才ない弟が生真面目な兄の起こした事件を通して兄弟の絆を取り戻そうとする話

兄弟格差をモチーフにした名作。






10 DEATH NOTE デスノート(2006)

正義感の強い学生が人を殺せるノートを手に入れて犯罪のない世界を目指す話

漫画の実写化に成功した数少ない例の一つ。

優れた原作を優れた脚本術によって映画化した珠玉の作品。








11 キサラギ(2007)

アイドルファンの五人が事故死したアイドルの一周忌に集まって死の真相を解明する話

邦画密室劇の最高傑作。







12 カイジ人生逆転ゲーム(2009)

借金地獄に陥った男がデスゲームと化したギャンブルに挑んで一攫千金を狙う話

和製『グラディエーター』。







13 さんかく(2010)

チーマーが恋人の妹に恋をする話

僕は吉田監督の映画が好きなのだが、その中でのナンバーワン。







14 おにいちゃんのハナビ(2010)

ひきこもりの兄が病気の妹のために花火を打ち上げる話

この映画の唯一の弱点は"タイトルがエロい"だ。それ以外は完璧。






15 冷たい熱帯魚(2010)

平凡な男がサイコパスの魔の手に落ちて殺人の共犯者になってしまう話

瞬間最高風速の面白さで中盤までを駆け抜ける恐るべき作品。






16 任侠ヘルパー(2012)

任侠道をゆく男が介護施設のヘルパーとなって老人を巣くうヤクザを倒す話

胸アツ映画の傑作。






17 ぼくたちの家族(2013)

主人公が記憶を失った母の看病を通して家族を再生させる話

何だかわからないけどエモい映画。






18 百円の恋(2014)

100円ショップの店員がボクサーと恋に落ちてプロボクサーを目指す話

ラブストーリーであると同時に底辺に生きる人たちへの人間賛美のストーリー。






19 ぼくは明日、昨日のきみとデートする(2016)

主人公が時間の流れを逆行して生きる彼女と出会い恋に落ちる話

説明するのも面倒なまどろっこしい設定が良質なドラマを生み出すのだからストーリーというのは不思議なものだ。

恋ってこんなに切ないんだ…

これほどまで見事に恋の切なさが表現された作品が他にあるだろうか。






20 22年目の告白私が殺人犯です(2017)

刑事が時効を迎えた殺人事件の犯人を追跡して事件の真実を解き明かす話

この映画の作り手は全てにおいて筋がいい。

韓国映画のリメイク作品だが、オリジナルとリメイクというよりは初稿と完成稿の関係に近い。(もちろんオリジナルが偉大であることはいうまでもない。)





21 劇場版ファイナルファンタジーⅩⅣ 光のお父さん(2019)

息子がオンラインゲームで父と旅して親子愛を取り戻す話

僕の中の2020年日本アカデミー賞脚本賞。






全21作品のオススメ映画を紹介したが、

藤原竜也主演の作品が多く入っているのは別に藤原竜也のファンということではなく、

それは彼が脚本を読める役者だから自ずと主演作に優れたものが多いのだろう。

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