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ZOCとは何なのか

活字でも映像でもどちらでも、人が自分の想いを語るインタビューが好きだ。

それこそ街録chだったりドキュメント72時間だったり。最近のバラエティなら『日曜日の初耳学』という番組で、林修先生が役者にインタビューする企画があるんだけれど、それは出る役者もそのファンも全員得しかしない毎回素晴らしい内容でお気に入り。

だから今回の新生ZOCへの想いを吐露するメンバーのインタビューはとても良かった。

6人が6人ともすごく正直に語っているなってのが率直な感想。

率直でない語りってバレるもんだと思ってる。率直に明け透けに、そしてクレバーに言葉にできる人たちが揃っているの、改めて惚れ惚れした。

毒にも薬にもならない無難なインタビューは好きじゃない。自分はサッカー好きなんだけど、サッカー選手の試合後のインタビューでもそういうのは如実に出る。自分の言葉できちんと喋ってる人と、そうじゃない人の差は歴然と感じる。常にどこか紋切り型ではない言葉やその人の情熱や正義を見出せる語りを求めてしまう。

靖子ちゃんの歌詞が好きな理由として何度も同じようなことTwitterでも書いてるけど、それはやっぱり常套句や慣用句に対する胸がすくような裏切りだったり、手垢のついたテーゼへのカウンターだったり、言葉や視点の発明だったりする。

サッカー選手では元日本代表でいうと本田圭佑や内田篤人は自分の言葉で喋っていた象徴の人で、逆に彼ら以外のインタビューは当たり障りのない優等生的かつあまりに無難な内容で退屈だった。お笑い芸人さんでもそう。常に鋭さや本音を込めて、惰性や安寧に甘んじない言葉を発するひとに惹かれる。

今回はいわゆる"街録ch方式"による1対1のインタビューでとても良かった。見やすい。

これも個人的な持論だが、人はその場の人数が増えれば増えるほど、またそこに上下関係や特別な感情(色恋沙汰とかマウント関係)が存在すればするほど会話は核心から遠ざかって無味無臭になる。会社の飲み会なんてその最たるものだと思ってるから、余程の理由が見つからないかぎり行かない。その辺のフットワークは全然軽くないキャラとして定着させている。そもそも群れるのが苦手。

先月も会社のお偉いさんもいるような飲み会に歓送迎会も兼ねていたために半ば仕方なく参加したけれど、結局ほんとうに楽しんでいるのはほんの一握りの立場や個性の強い人だけに映ってキツかった。気を遣ったり周りを立てたり言葉を選んだりしている人たちの感情をありありと拾ってしまってしんどい。仕事でもないのにその2時間を成立させようやり過ごそうとする空気感が耐えられない。そういうのに鈍感になれるほど酒も飲めないし、鈍い性格でもないから余計に。

気心の知れた、心を許した人たちと(それでも少人数がいいけど)好きなものを好きに語るような空間であるならそれは豊かだと思うけれど、少しでも負担やストレスのが勝る可能性が透けて見えるならわざわざ行かない。そういう場でそれっぽくバランスをとることは大人だから出来るものの、わざわざ摩耗しに行かない。

というか、本音や人間性の見えてこない会話に興味がない。会話はなるべく対話がいい。できれば1on1が良い。

そんな前提が自分の中にあるから、今回のMETAMUSE(新生ZOC)のインタビューは一人ひとりのソロインタビューで嬉しかった。見応えがあったし、それぞれの最新の境地が知れて贅沢だった。

ライブにこそすべての答えはある。

勿論そんな前提は美しいけれど、目に見えて変化が起きようとしてるこの瞬間に、誤解や不安のタネを少しでも無くして、補足やいきさつを当事者から言葉にしてもらえるのはありがたい。
不要なモヤモヤなり認識のズレなりがあれば、取り除けるかぎり取り除いて、ステージに集中させてくれたほうが推す側も推される側も精神的に良いだろう。

カレンちゃんの初期メンバーならではの覚悟と責任感

具体的な目標はずっと立てないようにしている
そこが達成しちゃった時に次がなくなっちゃうかもしれない


にっちやんのZOCやソロパフォーマンスに対する考え方

悲しいことに人って長く続ければ続けるほど自分が飽きてくる
自分が自分に飽きてくる
どうやって変えたらいいかっていうと環境を変えるしかないわけよ


まろちゃんの客観性のある冷静な境地と歌(靖子ちゃんの音楽)に向ける熱さ

歌が好きな子がいいです
好きって気持ちがあったらどんどん上手になるかなって思うから


のどかちゃんの激動の2年と新メンバーに馳せる素直な気持ち

運動会とか行ってたらどうしよう


り子ちゃんのプロフェッショナルな振付け論とすべて達観してるような懐の深さ

難しいことしてんなと見えるエンターテイメントなんてクソじゃないですかきっと


靖子ちゃんの尽きない向上心とスケールの大きな展望、そして純度100%の愛と誠実

私が自分で言うのもなんですけど
私の才能ってすごく輝かしく魅力のあるものじゃないですか


おれは靖子ちゃん以外の5人とはまだ直接喋ったこともないので、彼女たちが自分の間合いで持って自身の考えを真摯に紡ぐ姿は新鮮だった

こういう考えを持っていて、こんなふうに言語化するのかと

ステージ以外のところから補完される印象や納得ってやっぱりあるよ

それにメンバー皆が、言葉にしながら自分の考えていたことを自分自身で整理・発見する様子とか、質問によって初めて引き出される頭の中身とか、客観的に聞いてもらうことで世間やファンとの距離感も測れていく感じとか、ものすごく意味のあるインタビューだったと思う

り子ちゃんの振付けに関する考え方や意識についても自分はすごく興味があったから、その部分だけでも有料レベルの価値があった

過去が腫れ物にならないよう、きちんと自戒や自省もふまえたうえで正直に話してくれる靖子ちゃんの言葉はどこまでも真摯で信頼に足るものだった

過去も抵抗勢力も平和ボケも、それらすべてに引っ張られることなく、それ以上に今と未来に必要とされている自分の音楽に確信を持っている靖子ちゃんが逞しい

かつて誰も光を当てていなかった人や孤独に光を当ててきた人。ライブハウスにも鬱屈とした夜にも音楽で居場所を作ってきた人。

考えれば考えるほど、大森靖子はマジョリティにも平和にも落ち着くような人じゃない

常に常に先回りして、まだこれから出くわすような受難も希望も歌にしてくれている
もはやカウンターでもないというか

うまい表現が見つからないけど、とにかくいつだって予測にも規則にも満足にも縛られない、最高を届けてくれる

6人のインタビュー聞いていて、"ZOC"が神話に出てくる概念みたいになっているのが面白いなとも思った。エヴァのATフィールドのような、スターウォーズでいうフォースみたいな。あるいは大森靖子が大森靖子であるために創り出したもうひとりの大森靖子そのものみたいな。

靖子ちゃんはMETAMUSEをシェルターに例えていたけど、良くも悪くもアンコントロールレベルに達していたZOCを、一度大森靖子本体から切り離す過程は必要だったというのは切実に伝わった。
ある種の憤りや混沌や業もまとっていたのが過去ZOCだとして。それを切り離した結果残ったのが慈愛や救済に拠ったMETAMUSEで。

でもここにきて靖子ちゃん自身も、他のメンバーも、もう一度ZOCを中に入れるにふさわしい境地や器が出来たタイミングだったんだなと。

何より、表現の幅にしろスケールにしろ、
"もっと届けたい"というのが6人が6人とも全会一致してる部分だと思うから、それを叶えるためにはこの上ない変化だと思う。

自分の周りの友人や音楽好きな女の子とかでも、ずっとLINEの設定ミュージックを当時からZOCのままにしている人やZOCに熱狂していた人のこともたくさん知っている。それほど影響力も大きい名前。

せっかく物凄い可能性とエネルギーを持ったZOCを生み出したんだから、封印したまま使わない手はないよね。

最後は絶対にステージから納得させてくれるのが靖子ちゃん。まろちゃんの言葉に象徴されていたけれど、結局みんな大森靖子の音楽が大好きで愛してるから。
全幅の信頼は揺るがない。

MAPAのこともきっとそうだけど、悪いようになるわけもするわけもない。

靖子ちゃんの声も万全になって、もっと最強最高になって戻ってきてくれるはず。

期待と信頼しかない。



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