見出し画像

個人ビジネスを成功へと向かわせる9つの大鉄則:第1話「壱努、起業を決意する」

「師匠、5年という短い年月でしたが、お世話になりました!」

福興壱努(ふくよいっと)は真剣な眼差しで教仙大吉(きょうせんだいきち)を見つめ、続けてこう言った。

「学ぶべきことはまだまだいくつかありますが、資金も貯まりました。実は俺、前々から自分で会社を作りたいと思っていたんです。これからは独立・起業という新たな道へ踏み出していきたいと思います!今まで本当にありがとうござ…」

「うん、ダメだ」
大吉は壱努の声を遮り、言い放つ。

「応援ありがとうございま…えっ?」
思わぬ反応に面食らった表情で見つめる壱努。

「だって絶対失敗するから」
「いや、そんなことないですって!何を根拠に言ってるんですか!」
大吉の思わぬ反応に壱努もヒートアップする。

「じゃあ聞くけど。どんなビジネスをやろうとしてるのかな?」
「それはもちろん、師匠に教わったこのスキルで同じ道を歩んで行きたいと思っています!」
「ほら、やっぱり。それじゃ起業は勧められないな」
大吉はふうと息を漏らした。

「なんでですか?!師匠のライバルが増えるからって嫌がらせですか?!俺だって怒りますよ!」
大吉は興奮する壱努を諭すように話し始める。
「いいか、壱努。起業とはそんな簡単な道ではないんだ。まず多くの人がやっているビジネスと同じことをやろうと思うとほとんどの場合、失敗する」

壱努は驚いて質問する。
「えっ?それはなぜですか?」
「理由はいくつもあるが、すでに始めている人との差を埋められないことが大きな要因となるかな」
「それはつまり、俺じゃいつまでも師匠のことを越えられないってことですか?!」
「まあ、そうなるな」
「そんなことないですって~。それはさすがに師匠も言い過ぎですって」
「ふんっ。まあ、冷静になって考えてみろ。私がこの業界で働き続ける限り、スキルや経験は蓄積されていく。これはわかるな?おかげさまで評判も悪くない。つまり、お客様に選ばれ続け、着々とその数は増えていく。もし仮に壱努が同じように成長したとしたら…?」
「あっ、いつまで経っても差が埋まらない…」
一度はハッとした表情で大吉の言葉を飲み込んだ。
「そうだ」
その一言に肩をすくめて壱努はこう言い放つ。

「じゃあ、俺はこのまま起業できないってことですか…師匠にはお世話になっていましたけど、このままでいいのかなってずっと考えてて。一度きりの人生だからやっぱり起業という夢を志していて。自由を手にするためには起業しかないってずっと思ってたんです!!そんな夢も見れないなんて…」
「まったく、壱努は私のもとで何を学んでたんだ」
「だってそうじゃないですか!!今までの努力は水の泡だったんだ…」
「だから、壱努は何を学んでいたんだ」
「何ってわからないですよ!」
「私がこれまで無理だとかダメだとか言ったことは一度でもあったか?」
「いえ、ないです。あっ、さっき言われました」
「あっ…言ったな。まあ、あれは言葉の綾というやつだ。ともかく!できないとは言ってないぞ!」
「えっ?ということは師匠…」
壱努の表情がぱあっと明るくなる。

「ああ、これから起業に向けた最初で最後の講義を行う。覚悟はいいか?」
「はい!よろしくお願いします!!」
「よし、いい返事だ。では、早速行こう。壱努、君に取って起業とはどんなイメージを持っているかな?」
「そうですね。ドン!と大きくお店を開いて、最新設備とかを兼ね揃えた感じのイメージがあります」
「そう、それこそが間違ったイメージなんだ。何もビジネスは規模が大きければいいというわけではない。リスクを抑えて小さく始めることを勧めるよ」
自信たっぷりに答えた壱努は呆気にとられた。
「小さなビジネスで成功できるんですか?」
「もちろんだとも。実際、成功している企業・ビジネスの多くは小さなビジネスからスタートしているんだよ。初期投資を抑えて試行錯誤しながら自分のビジネスを育てるんだ。ビジネスというのは初期がとても肝心だからね」

壱努は不安げな表情のまま大吉を見つめる。
「でも、どうやったら成功できるんですか?どんなポイントに注意すればいいんですか?」
「一つずつレクチャーしていくから、そう焦るんじゃない。焦りは判断を鈍らせる。基本をしっかり身に着けてから次に進んでいくこと。いいね?」
「うううーー!早く起業したいのにいいいい」
大吉は黙って壱努の目を見つめる。
壱努は大吉の鋭い目にハッと息をのんで慌ててこう言った。
「…はい、ちゃんと聞きます。早く起業したいので!ちなみに師匠も同じように小さくスタートしたんですか?」
「褒められるのは威勢だけだな…まあいい。もちろん私もこの9つの鉄則に従って、起業をスタートさせてきたぞ。では改めて第1の鉄則【ビジネスは小さく始める】から始めていこう」

「えっ?9つもあるんですか?!」


次回、更新より鉄則を解説していきます。
壱努と共にビジネスの大鉄則を学び、リスクを抑えた起業を行いましょう。

このストーリーは【個人ビジネス、はじまりの教科書: 個人ビジネスを成功へと向かわせる9つの大鉄則】を元に作成しています。鉄則が気になる方やご興味ある方は下記よりkindle書籍をダウンロードください。

第2話はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?