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サミュエル・べケット映画祭

2019年12月、サミュエル・べケット映画祭 @京都造形大の映像ホールに行ってきた。そのときの感想を備忘録として書いときます。

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観れたのは、「フィルム Film」「クワッド  Quadrat I + II 」「息 Breath」「プレイ Play」「ねえ、ジョー Dis Joe」「私じゃないし Not I」。

知ったのが遅かったから全部は観れなかったけど、他の上映作品はちょうど全部昔芝居で観たことあるのでOKとしときましょう。
以下、感想。

「フィルム」は、冒頭、目のアップから始まるので、一瞬ブニュエルの「アンダルシアの犬」を彷彿させたが、すぐに都会の廃墟っぽい壁〜視線が動いてNYらしき街角、そしてコートを着た男に移っていく。男は壁を伝ってとあるビルの階上の部屋に閉じこもる。
男はどうやら「見られたくない」「視線が怖い」らしく、部屋にあるいろいろなモノを隠していく。非常にベケット的な動きの流れ。このとき男の視線とカメラの視線(男の後ろ姿と部屋の様子)が交互に映し出される。
後の解説で知ったのだけど、この一連の流れはキリスト磔の14の場面に沿っているらしい。それと eye と I の言葉遊びもあるとか。
で、終盤に男の正面姿が映ったんだけど、なんとバスター・キートンじゃないですか!と言うことはわたしはこの映画を20年以上前に観ている!
そうだ!白黒短編映画祭だったので途中で寝ちゃったけど、前半の、男が道歩いてて男女と絡むシーンがあった印象だけ覚えていた「キートンが出てるベケットの短編」だ!時を経てここでまた観れるなんてすごい!(今度は寝ずに観れたよ)

「クワッド」は、パフォーマー4人が正方形の中で規則的な歩きをひたすら繰り返すというもの。パート1では白青黄赤のパフォーマーが登場しBGM付き、パート2では1の前半部分を白黒でBGMなし(足音のみ)になっている。
同じ動きと音の繰り返しだけど、図形やリズムを追ってると、ミニマルな反復が超おもしろい。スリーエイト、6、4、6のリズム。もう終わるのかと思いきや新たに入ってきたパフォーマーの位置の違いでさっきとは違った印象になるところがたまらなかった。こういうの好きだわ。

「息」はベケットの台本をダミアン・ハーストが映像化したもの。45 秒ほどの強烈な映像。医療廃棄物的な品々。ちょっと怖かった。

「プレイ」は、それぞれの壺の中から頭だけ出した男と妻と愛人が早口で独白を喋っているのを次々に映していく映像(これも確か昔舞台で観た)。男の台詞「私はリプトン派」かどうでもええw だけどそれが男の唯一の主張だったかもしれない。
2回繰り返し始めたときはポプテピピック(アニメ版)を思い出した。こっちのは全く同じ繰り返し。
最後の引きでたくさんの壺が荒野に果てしなく映ったので、人間てみんな頭の中でこういうどうしようもない思考の独白しててしかもぐるぐる繰り返したりしてて大変だなって、母なる大地から見たらうんざりするね!って意味だと受け取った。

「ねえ、ジョー」は、男が殺風景な密室で女性の話しかけを聞くという映像。これも頭の中の声なんだろうか?
終わりのクレジットで、男がジャン=ルイ・バローだったと知って驚愕した!ひえ〜!恐れ多い〜。

「わたしじゃないし」は女性が入ってきて椅子に腰掛けてそこからは延々と早口で喋っている、しかも口だけがアップで写っているので、字幕を追っていたら途中で目が痛くなって目を瞑ったらすいません半分寝てました。

貴重な映像の数々を一気に観る機会を設けてくれて、主催者さんには大感謝です!

途中休憩中に「日輪の翼」の方言指導でお世話になった杉浦さんに偶然会えたのもすごく嬉しかったです。

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