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そのうちタッチしなくなるタッチパネルへの妄想
銀行や飲食店でも近年ではよく見慣れたツールである。
最近は感染症対策のため配置されている人も少ないが、タッチパネルを操作するための窓口が設けられているなど、丁寧なのか不便なのかなんとも釈然としないシステムである。
そして、その窓口の先には必ず人力の作業が待ち構えている。
どんなにスムーズでストレスの少ない受付であったとしても、その先が人力なんである。日本はこの中途半端なIT化をどのように修復し展開していくつもりなのだろうか。
昔の銀行窓口のお姉さんは有能だった。
窓口というだけあって、全ての業務に精通していて、それぞれの部署の深い知識は持たなくても「こういった案件に関してはここ」というマネジメント能力に長けていた。今は業務の細分化のためか、事前に問い合わせていたにも関わらず、内部共有の不具合からタライまわしにされることも少なくない。
猛獣に襲われる不安がなくなり、命の危険と隣り合わせでない現代の人々は、問題が発生した時の対処力が弱くなってきていて、マニュアルに書かれていないことが起きると取り乱してしまう。
「少々おまちください」
柔らかな物腰で私の責任ではございませんよ。といった顔つきで手元の資料をひっくりかえす。
いや、そうでなくて、そちらの担当者さんには話が通っています。
聞いていないなら今確認してみてくださいませんか。
僕は誰かを裁きたいのではなく問題を解決したいだけなのです。
たしかに貴女のミスではないのですが。
誰が悪いとかあなたは間違っていないとかそんなことはどうでもよいのです。
ゾウの平均睡眠時間ぐらいどうでもいいんです。(ちなみに3時間程度)
「少々おまちください」
スタッフが一人増えた…。ああまた一人増えた…。
タッチパネルはなんのための導入なのだろう。非接触どころか、非礼で非効率でその上僕はなんて悲運なのだ。いやこれはタッチパネルの問題なのか?
「少々おまちください」
この定型文しか繰り返されないということは、この人はもしかしてアンドロイドなのかもしれない。
若しくはRPGの村人。そして今流行中のシステム障害なのかもな。
タッチパネルに呼び出しボタンが欲しい。
「責任者を呼びだす」
なんならその次の階層に
「どの言語をご希望ですか」
というセレクトボタンが欲しい。
僕は迷いなく「広島弁」を選ぶ。
(236日)
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