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何度見ても飽きない、石の本。

子ども時代、10代、20代と本が好きだった。それが30歳くらいから、なぜかあまり読めなくなった。

集中力か興味が薄れたのか、特に小説など物語になると話が入ってこない。

昔は現実よりもむしろ本の中に現実味を感じていたのに、今では、現実しか現実はなくて(笑)本の中の世界は絵空事のように感じてしまう。

ドラえもんよ、「現実味」を味わいながら読書体験ができるようになる「現実味キャンディー」を私にください!

かつて読んで読み慣れていた漱石や、ドストエフスキーの世界へなら、調子が良い時は心が文章に伴奏して読書を始めることができる。が、それさえも最近は難しい。理由はやはりよく分からない。

それでも、こんな状態においてでも、本は買っておいて良かったと思う。海外移住の際に大部分は捨てたが、段ボール2箱くらいは船便で送ったので、それらの本はいまフィンランドのアパートの棚に並んでいる。

その中で、いま特に買って良かったと思う本がこれ。

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「津軽・石の旅 石はきれい、石は不思議」制作:株式会社INAX   撮影=中里和人  (今回書くまで気づいてなかったけどADは祖父江慎さんだった!素敵なはずだ…)

子どもの頃から石ころというのは気になる存在だった。川遊びして川底からきれいな石を拾うのも好きだった。この本は大学生の頃か、社会人になったばかりの頃か、とにかく若い頃に買って、時々開いては眺めている。色々な美しい石の写真が載っていて、本当に飽きない。

ベストセラーとかにもなりそうにないので、手放したら二度と出会えないのではないかと思い、数々の引っ越しでも処分せず、手元に置いている。

また、読書があまりできなくなった私にとって、この本のようにビジュアル要素がほとんどを占める本はありがたい。視覚から情緒を受け取れるため大変ラクで、物語を読んでいる時に生じる「絵空事に付き合っているのでは?」という徒労感もない。(こんな身も蓋もないことを言う人間がnoteに書いたり、何の因果か長年ライター業を続けていられるのは大変不思議な逆縁である!)

この本を眺めていると、実物の石ころが欲しくなる。もちろん自然のままで、加工されていないもの。

フィンランドだと、どこへ行けば拾えるのだろうか?あまり河原や海辺で石ころを見かけない。 

まだ見ぬ石に出会ってみたいものだ。

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※写真はすべて同著「津軽・石の旅 石はきれい、石は不思議」より

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