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【読書感想文】汝、星のごとく(凪良ゆう)

「こんなのずるい」と思った。

文章の熱量や密度が凄い。
とても真っ直ぐで、その真っ直ぐさがずるい。
文字たちがページ全体で迫ってくるようで、作者の想いの強さが伝わる。


ストーリーが凄い。
真摯に向き合う姿勢が分かる。ずるい。
苦しいものを描くのはきっと、作中で櫂が悩んでいたように、自分の中の苦しみと向き合う 痛みの伴う作業だと思う。
それでも、その痛みと向き合い丁寧に描き切られていて、作者の今まで味わってきた苦しみは一体どんなものだったのか、思いを馳せずにはいられない。


そして、ラスト。ここが一番ずるい!
感動して心震わせる以外、読者には道が用意されていない。壮絶な物語のラストに、こんなにも優しさを感じさせてくれるなんて。
本当にずるい。「そりゃこんなラストの本、名作だよ!やられた!」とお手上げ状態。
ありきたりな感動話に落ち着かせない、凪良ゆうさんの手腕を魅せられた。


Instagramなどでも話題になっていたけれど、これは更に話題となって、名作となっていく予感!

「痛み・優しさ・強さ」を味わえる(もちろんそれだけじゃないけれど)作品って、読むのが苦しかったりするけれど、いつまでも心に残る。
ふとした時に思い出し、また読みたくなる。

この作品は現代を生きる人にとって〝生きていくこと〟について、改めて考える機会となってくれる一冊だ。

今後、暁海や櫂の人生に心支えられることもあるだろう。北原先生の言葉たちに、救われることもあるだろう。
私にとっての大切な本がまた一冊増えたことを、とても嬉しく思う。

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