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【ファンドの想い:第3回「立飛ホールディングス」】第3部:SORANO HOTEL(ソラノホテル)

貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds(ファンズ)」上で、「立飛ブルワリーファンド#1」(以下、本ファンド)が公開されました。本ファンドは、東京都立川市を中心に不動産事業を展開する立飛ホールディングス(以下、立飛グループ)が借り手企業となっています。
立飛グループは近年、東京・多摩地区のターミナル駅、JR立川駅の北側で大規模な再開発を進めています。2020年4月には、立川駅から北欧家具量販店「IKEA立川」へと向かう通りの間に新しい大型複合施設を完成させました。心もからだも健康的な状態を意味する「ウェルビーイング」をテーマとした「GREEN SPRINGS」です。
本ファンドで集められた資金の一部は施設の運営費などに充てられる予定となっています。今回、借り手企業となる立飛グループの魅力を探るため、GREEN SPRINGSのプロジェクトを主導した関係者たちに話を聞き、3部に分けてお届けします。
第3部は、立飛グループの傘下企業が経営するホテル「SORANO HOTEL(ソラノホテル)」の魅力をレポートします。

一番苦労したのは資金調達

GREEN SPRINGSの中でも一際存在感を放っているのが、「ウェルビーイング」を体験できる「SORANO HOTEL(ソラノホテル)」です。GREEN SPRINGSプロジェクトを統括する立飛ストラテジーラボ執行役員の横山友之さんによると、ホテルを併設するというアイデアは立飛グループの村山正道社長の発案だったとのこと。しかし、横山さん自身はプロジェクト開始当初、ホテルをつくることに迷いがあったそうです。
「ホテルのコンサルタントに話を聞いたら、立川のホテルマーケットで成立するのはビジネスホテルしかないと言われました。当初は外資のハイブランドホテルを誘致することを考えましたが、委託料が高い割にGREEN SPRINGSのブランディングに合致しているとは限らないと思いました。」
検討を重ねた末、他社に高額の費用を払って運営を託すのではなく、自社で一からホテルをつくることを決めました。最も苦労したのは資金調達だったと言います。

「当初はGREEN SPRINGSを建設するためのSPCでプロジェクトファイナンスの手法で資金調達したかったのですが、前例のない施設なので資金調達が難しく、最終的には立飛ホールディングスが、従前から所有していた不動産の担保力を使って、コーポレートファイナンスという形で調達しました」
資金の調達に目処がつき、ホテルの開業に向けた準備に取り掛かる段階で、横山さんはある人物に接触するため京都へ向かったそうです。
「日本のホテルマーケットにおける総支配人クラスでも屈指のプレイヤーに会って、立飛グループに来ませんかってヘッドハントしたんです。」
その人こそ、ソラノホテルの現運営・経営の総責任者、坂本裕之さんでした。

ウェルビーイングへの思いをデザインに

坂本さんは、2017年から立飛ホスピタリティマネジメントでバイスプレジデントとCOO(最高執行責任者)を兼務するとともに、ソラノホテルの開業以来はそのトップとしてオペレーション、経営の総責任者となっています。このプロジェクト着任直前は、京都センチュリーホテルで代表取締役専務に就いていました。
坂本さんは、ホテルのテーマがウェルビーイングと決まった瞬間から、従来のホテルの慣習にとらわれずにやる決意を固めたといいます。
「まず、オンライン・トラベル・エージェントと一切絡んでいません。エージェントにマージンを支払うのではなく、お客様に還元したいとの考えからです。ですから、デジタルマーケティングを主体にやろう、ということで始まりました。」
富士山、奥多摩の山々、夕日の絶景を見渡せる11F最上階のインフィニティプールは、ホテルの開業以来SNSを中心に話題を呼び、Instagramで「#インフィニティプール」と検索すると、ソラノホテルの画像がまず目に飛び込んできます。

「屋上プールは費用的にはなかなかペイしにくいのですが、東京にあって東京にないホテルを作ろうとすると必要だと思いました。デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション(Destination Management Organization:観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人)としての立川の存在価値を上げるには非常にいいものだと思っています。」
ソラノホテルでは、東京都心から電車で1時間圏内の場所で非日常的な時間を過ごす「ウェルビーイング・ショートトリップ」という新しい旅を提案しています。坂本さんはホテルのデザインにその思いを込めるため、グローバルに活躍するフランス人デザイナーのグエナエル・ニコラ氏にホテルデザインを依頼しました。
「ニコラさんには、足し算の世界はやめてほしいとお願いしました。全て引き算で削ぎ落してほしいと。必要ないものは全部削ぎ落してほしいと。」
ホテルのロビーはテントをモチーフにグランピングをイメージさせ、シンプルにしてスタイリッシュな客室は全81室、最小でも52平方メートル以上の広さがあります。館内10~11階にはスパがあり、温浴施設のインドアスパ、ジャクジー、ナノミストサウナ、ジムスタジオなどが備わっているなど、ウェルビーイングを体験できる空間が広がっています。

環境性と多様性

ソラノホテルでは、サスティナブルという価値観を重視しています。
バスルームのタオル類は、細い糸を密度濃く丁寧に織り上げる絹織物製造で知られる日本メイドの高級ブランド「ホットマン」です。フェアトレード認証を受けた国内初の日本製コットンタオルであり、近隣の青梅市に本社があるため輸送に伴う環境負荷も抑えられます。
バスルームのアメニティでは、環境に対する意識の高い欧州国の中で有機農業地の割合が最も高いオーストリア製のオーガニックアメニティで、EUのオーガニック最高水準NaTrue認証を取得するLederhaas社のarriveeブランドの商品が常備されています。

さらに環境への配慮から、1度きりで使い捨ててしまうプラスチック製のバスアメニティはホテルに用意されていません。宿泊客は自身で歯ブラシやヘアブラシ、カミソリなどを持参する必要があります。これには異を唱える宿泊客もいそうですが、坂本さんはこう語ります。
「お客様の中には歯ブラシがないのはおかしいじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいますが、従来の慣習にとらわれないことをやろうと決めましたから。」
サスティナブルに加えて、ダイバーシティという価値観にも重きを置いているそうです。その最たる特徴が従業員だと、坂本さんは話します。現在、中国や韓国、ベトナム、ミャンマー、イタリア、セネガルなどから来た約20人の外国人がホテルスタッフとして働いています。
「ホテルの仕事はハートが一番大切です。心がないと、いくら技術や体力があってもホテル業はできません。慇懃無礼なサービスだけではゲストも満足しないでしょう。日本語が多少できなくても、ハートがあればいいと思うんです。なので、ホテル業務のプロではない外国籍の方を採用しています。」