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自己責任と弱者擁護は二項対立ではない

昨今の世の中の風潮として、「自己責任論」vs「弱者擁護論」といった論争が繰り広げられているが、果たしてこの2つの概念は同時に存在し得ない二項対立的なものなのだろうか。

私はこの2つは対立しない考え方だと思う。
何故ならば、自らの行動に対して自らで責任を取るのも当たり前だし、困っている人が目の前にいたら助けるのもまた当たり前だからだ。

例を挙げよう。
毎日毎日ウクレレばっかり弾いていて、特に働いていない20代後半のフリーターがいたとする。
収入はたまにやるアルバイトのみで、基本的にはその日暮らし。
そんな彼が同世代よりも相対的に貧困に陥ってしまうのは、至極当然だろう。

しかしここで一つの事実が現れたらどうだろうか。
元々彼はサラリーマンをやっていたが勤務先の会社がいわゆるブラック企業で、月の残業時間は100時間を優に超える。
ひたすらノルマに詰められて病んでしまった挙句、鬱病と診断されて泣く泣く退職。
精神保養のために彼にできるわずかなウクレレという特技から人生の再出発を図っている。
そんな人を一概に切り捨てられるだろうか?

本来「自己責任論」と「弱者擁護論」は個人の中に内包すべき考え方だ。
なんでもかんでも弱者を守ろうという社会も、すべてが競争で成り立つ社会というのも私は賛同できない。

人として最低限度の生活を守る社会インフラは必要だが、それより先ははっきり言ってその人次第だと私は思う。
弱者の権利は守られても、強者の権利が守られなければ、誰もリスクを取って挑戦しなくなるだろう。

だからこそ強者は自分が強者であることを自覚しなければならない。
謙虚であらねばならないし、強者こそ他人に生かされていることに感謝すべきだ。
そして社会の役に立てる人間で在り続けられるよう、社会に自らが持っているもの(例えば才能や富)を還元する意識が必要なのではないだろうか。

「自己責任論」vs「弱者擁護論」という論争があること自体ナンセンスだし、自立しつつ他者への配慮もできる人を増やすことに時間と労力を割いた方が生産的だと思う。

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