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「ベンチャービジネス概論」講義レポート ~FUNDINNO×電気通信大学講義~

電気通信大学は、100年以上の歴史を持つ国立大学です。同学は「総合コミュニケーション科学」の創造と「Unique & Exciting Campus」の実現を目指し、「人類の持続的発展に貢献する知と技の創造と実践を目指す」という理念を掲げています。

大学には「産学官連携センター」という部署があり、本学の研究者・学生が国内外の産業界や他の研究開発機関等と協力し、研究力・学力を高め、かつ地域の産業振興など各種社会貢献に取り組むことを支援しています。

特に、ベンチャー支援部門では、ベンチャー精神に富んだ人材の育成や、本学発の研究成果を活用したベンチャービジネスの創出支援とそのインキュベーション支援を行っています。その一環として、学内外からのベンチャー創出につながるアイディアコンテストを実施し、学部学生向けの「ベンチャービジネス概論」、大学院学生向けの「ベンチャービジネス特論」などの授業の支援も行っています。

このため、去る12/21に同部門の高木様よりお声がけをいただき、FUNDINNO代表の大浦とベンチャーパートナーマネージャーの辻下が、それぞれ「ベンチャービジネス概論」の講義を行わせていただきました。

このnoteでは、講義の内容や様子をお伝えします!

第一部:ベンチャー企業のエクイティによる資金調達

第一部は、弊社ベンチャーパートナーマネージャーの辻下 寛人より 「​​近年におけるベンチャー企業のエクイティによる資金調達」というタイトルでお話させていただきました。

辻下の講演は、証券会社から始まり、3回の転職を経験した上で、「全て今(FUNDINNO)に至る道」であるという力強い自己紹介メッセージから始まりました。
 
まずは「ベンチャーとは」「ベンチャー企業の資金調達法」など、ベンチャー界の基礎的な用語、仕組み、また米国・英国のベンチャーマーケットとの違いなどからお話ししました。

続いて、日本と米国のベンチャーマーケットの比較についてお伝えしました。
 
日本と米国を比較すると、日本はユニコーン(企業価値10億ドル以上の非上場企業)を創出しているものの、数、企業価値の大きさは、差が開くばかりです。

また、日本(TOPIX)と米国(S&P)における直近10年間の株式市場のパフォーマンスの推移からも、改めて、米国とのベンチャーマーケットには雲泥の差があります。
 
日本のスタートアップ環境と世界との差が開いてしまう理由は、世界が株式資本主導型の経済成長型であるのに対して、日本では非上場株式の店頭市場や店頭登録市場がほぼ未発達だからです。

よって日本においては、非上場株式市場の整備が急務となっていることをお伝えしました。

ベンチャー企業の成長ステージは、大きく分けると、シード、アーリー、ミドル、レイターですが、ベンチャー企業が成長しにくい理由は、
 
 ・大型ファイナンスはミドル・レイターに集中している
 ・アーリーへの資金供給が不足している
 
の2点です。

ここから、それまでにお話ししてきたことの解決策についてお伝えすべく、具体的に “リスクマネー”の流れと“株式投資型クラウドファンディング”にテーマを移しました。
 
ベンチャー投資市場は拡大するものの、調達社数は伸び悩む中、リスクマネーの流れを未上場企業への新たな資金の提供としたのが株式投資型クラウドファンディングです。

株式投資型クラウドファンディングは、海外では広く認知された資金調達方法であり、特にイギリスにおいては、その利用額が拡大してきています。米国では株式投資型クラウドファンディングで、月に$40M(約44億円※1$=110円)規模での資金調達が実施されています。

あっという間の終了時間を迎えましたが、最後に質問も多々いただき、「この市場(直接投資)はどこまで伸びるか?」といった市場の将来性を問う質問などがありました。

最後に下記のメッセージを贈りました。

 働き方が多様化している今、誰もが起業の可能性を持っています。これから起業される方、すでに起業されている方、起業家を支えるポジションにつく方、さらには企業に入って新規事業立ち上げに関わる方も含め、資金調達法についての知識を持つことは、それぞれの事業の可能性をより豊かなものにし、成功の確度を高めることにつながる。

辻下によるメッセージ

第二部 :起業・スタートアップについて

ここからは、代表の大浦より「起業・スタートアップについて」講義をさせていただいた内容のご紹介です。

30年前は世界の時価総額ランキングの4割が日本企業でしたが、この30年間、日本からは一社もそのランキングに出ておらず、この30年は日本の”失われた30年”と言われています。
 
一方、米国ではGAFAが台頭し、中国では、アリババ、テンセントなどが出てきており、スタートアップの成長が国力の差になることが明白である中、日本では2022年秋に岸田政権がスタートアップ育成五カ年計画を発表しました。この流れにおいて、スタートアップ企業は今後、資金調達がしやすくなります。
 
ベンチャービジネスを考える上で不可欠となる資金調達について、幅広い視点から、具体的な方法まで、大浦よりお話をしました。
 
我々が日本において解決したい課題の一つは、日本と米国のベンチャー企業への投資額に雲泥の差があることです。

しかも、ベンチャー投資市場は拡大するものの、調達社数は伸び悩み、年間に2,000社しかいません。
 
大浦は “フィッシャーの15の法則” を用い、一流投資家における視点から、この投資額の課題解決、つまり日本におけるベンチャー企業への投資額の増やし方についてお話ししました。

 また、我々が解決したい課題の二つ目として、日本の市場構造におけるベンチャー企業の生育環境の不適切さが挙げられます。
 
今、アーリーステージへリスクマネーを供給していくことが非常に重要となっていますが、我々FUNDINNOは「フェアに挑戦できる、未来を創る」をビジョンに、未上場企業へ新たな資金を供給しています。

プラットフォームとしてのFUNDINNOから始まった我々も、未上場企業の循環サイクルを創出すべく、サービスを多様化させてきました。

その中でも、昨年サービススタートとなった、ベンチャー企業の大型調達が可能となる「FUNDINNO PLUS+」について説明しました。
 
さらに、我々のECF(株式投資型クラウドファンディング)の実績企業分布と地域との連携マップから、広域へのリスクマネー供給の必要性に向けて、全国で地域活性に向けた連携に取り組んでいることをお話ししました。

 

電気通信大学の学生様のベンチャー企業に向けた意識が非常に高く、こちらのクラスにおいても質問を多数いただきました。

「資金調達のしやすい会社、しにくい会社の違いは?」についてのご質問には、投資と融資との違いの観点から大浦が説明をしました。
また、ここで出た「成長」について、さらに「投資家から見た成長の着目点とは?」のご質問をいただき、具体的な利益水準などについてお答えしました。

本日の大浦の話から、学生の皆様に、資金調達の重要性とともに、ベンチャーの可能性を感じていただき、起業の如何を問わず、ベンチャービジネスっのご理解を深めていただいたのではないかと思います。
 
改めて、今回の貴重な機会をいただいた産学官連携センターの高木様にお礼をお伝えしたいと思います。

学生の皆様、高木様と共に記念撮影 


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