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〔米国〕雇用統計 事前考察&ドル見通し

雇用統計です。FXトレードをするとき、個人投資家が最も注目する経済指標と言って差し支えありません。大きな変動の可能性もあるため、よく確認して臨みましょう。



❏ 今夜の予想

今回、前回値に対して弱含みの予想になっています。アメリカの雇用は鈍化していると見られています。実際にパウエルFRB議長も7/1に雇用の鈍化を示唆しており、急激な悪化についても言及していました。

ファンダメンタルの急激な悪化についてパウエルFRB議長が発言するのは、これで2度目です。あり得るから述べるのであって、十分に警戒しましょう。私たち投資家は、収まらないアメリカ経済によって麻痺していますが、FRBは極めて高い金利(政策金利)を課しています。
5.25%という金利水準は、2008年にリーマンショックを誘発してもいることを忘れてはなりません

少し強く書いてしまいましたが、想定外のデータがでてくることにも配慮しておきましょう。


❏ ファンダメンタル分析

時系列データをお見せしつつ、見解を述べます。

▶ 失業率&非農業部門雇用者数

オレンジ線は4カ月移動平均線で、大局的なトレンドを見ます
※6月に飛び出した線は無視してください(作図ミス)

まず、ファンダメンタル分析において非農業部門雇用者数(NFP)より失業率の方が重要です。たしかに、発表後のチャート反応はNFPを見て動くでしょう。NFPが注目度で随一だからです。

ただFOMCの金融政策を考察するならば、失業率の方が重要です。なぜならFRBは失業率に基準を設けて金利を動かす傾向があります。NFPは失業率の動きを捕捉する材料に過ぎません。
失業率は2022年末を頂点(低い値ほど良いデータのため)に、徐々に悪化して4.0%に到達しました。緩やかにトレンド上昇していくと、アメリカ景気は悪化していると確認できます。失業率は初心者向きの経済指標で、景気と一致した結果になります。

今回の発表では、失業率の上昇トレンドが継続するのか、いったん止まるのか?が重要になるでしょう。非農業部門雇用者数(NFP)も同じように悪化すれば、より分かりやすいデータとなります。

▶ 平均時給

グラフではCPIコアと比べて実質賃金を求めている

インフレ率が下がらなければ、FRBの利下げはありません。そして賃金が下がらなければ、インフレ率は下がりません。つまり、とても重要なデータという事です。
失業率や非農業部門雇用者数が悪化すれば、賃金の上昇は止まるでしょう。JOLTS(求人数)も悪化していますから、数的な雇用は弱まっています。賃金はやや遅れてデータ反映されます。

今回、悪いデータになるかは試金石になるでしょう。FRBの利下げに時期に関わってくるからです。

そして隠れた重要データは実質賃金です。
インフレ率より賃金増が多ければプラスとなり、現状では強いプラスです。つまり消費できるお金が増えていることを意味し、景気を下支えします。このデータをFRB要人が見ると「まだ利下げはできない」と思うでしょうし、実際にそう言っています。

ファンダメンタル分析(金融政策の見通し)をするにあたり、実質金利が失速することが重要となります。ゆえに重要なのです。

❏ ドル見通し

ドル/円(日足)は、非常に力強い相場観になっている

雇用統計は、発表後に大きな値動きをすることが多くあります。アメリカは独立記念日明けで、比較的流動性は低いので乱高下するケースもあるでしょう。まだ酔っぱらっているトレーダーも多くいます。それを踏まえての話となります。

▶ 予想より強かったケース(タカ派)

弱い予測に対して強いデータが出てくればサプライズになるでしょう。非農業部門雇用者数や平均時給が強ければドル急騰の可能性もあるでしょう。強い結果の場合、次のことを検討します。

  1. FRBによるターミナルレート延長の可能性

  2. 日本当局による為替介入の可能性(直後に実施される可能性さえある)

  3. 利益に満足した投資家が手仕舞い(利益確定)する動き

  4. サプライズに驚いて慌ててドル買い(ドル売り解消)する動き

今回に関してタカ派の結果はあまり考えられません。ただし、なった場合はサプライズで乱高下はあるでしょう。ドル/円が162円を超えると介入警戒が強くなります。


▶ 予想より弱かったケース(ハト派)

合理的に考えればここ2ヵ月ほどのデータや経済ニュースは、雇用悪化を示唆しています。単月データに必ず反映するとは保証できませんが、一般的にアメリカの雇用は下り坂と想定できます。弱いデータの場合、次のことを検討します。

  1. 利下げの可能性増大によるドル売り

  2. キャリー解消のによるドル売り

  3. マーケット心理の悪化によるドル売り

  4. 膨大な円売りポジションが崩落してドル暴落

あとは、どのくらい悪いデータか?ということに尽きます。
もしISM非製造業景況指数のようにショッキングなデータだった場合、雇用統計ショックと後に呼ばれるケースもあり得るでしょう。ですから備えは持っておきましょう。


記事は以上です
次の記事でまた次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)


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