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〔メキシコ〕BOM政策金利 事前考察&ペソ見通し

メキシコの金融政策は、据え置きと利下げの狭間にあるようです。どうなっているのか?解説します。



❏ 背景と予想

メキシコ経済は、カナダ・アメリカと経済同盟(関税同盟)を結んでいます。ゆえに景気の密接感が強く、アメリカ経済の鈍化はメキシコ経済の鈍化、アメリカでインフレ高騰するとメキシコでも同じことが起きます。

▶BOMの選択肢 

  • 今回、利下げ(0.25%)⇒ややサプライズ

  • 今回、近いうちの利下げを示唆

  • 据え置き継続


❏ BOM政策金利とは?

メキシコ中銀は、FRBと少し違い「インフレの抑制」と「経済成長の促進」を使命としています。FRBは「インフレ安定と雇用の最大化」ですから、目指す方向性がすこし異なります。

▶インフレターゲット政策

メキシコ中銀もインフレターゲット(物価目標)を掲げて金融政策をとっていますが、これもFRBとすこし異なります。3%±1%が、メキシコ中銀のインフレターゲットです。3%が目指す目標中心ですが、±1%は許容するそうです。


❏ メキシコのファンダメンタル分析

※私がもっている分析資料からの抜粋引用

▶インフレ率

メキシコのインフレ率は前年比に関してコア指数総合指数ともに2024年春以降に弱含みで推移している。コアインフレ(前年比)も悪化している。総合値(前年比)は高い水準を維持している。直近 データは 総合値が4.7% コアインフレが4.2%である (ともに前年比)。

▶消費や生産

個人消費は、センチメント指数が強いデータを維持している。消費が強ければインフレも強く、利下げはしないだろう。ただし小売売上高は去年から弱いデータが続いている。

▶雇用

失業率は直近のデータで2.61%まで 悪化した。この変化が一過性かトレンドかは判断できない。消費から見れば一過性に見えインフレ率から見れば トレンドに見える。曖昧なデータになっているため 今後の観察が必要だ。
この点は、中央銀行の声明や会見内容も参考になるだろう。


メキシコ経済は今のところ強さがありますが、アメリカが減速すれば必ずメキシコも減速します。そしてアメリカは減速をはじめているようです。


❏ 発表後、ペソ相場の見通し

アメリカの景気鈍化、カナダも利下げに動いた事を踏まえれば、メキシコが2回目の利下げに動いても不思議はありません。今夜、利下げしたらサプライズではありますが、想定内の出来事です。

インフレ率はインフレターゲット目前まで下がり、経済指標にも悪いデータが少し増えました。BOMが11%と高い政策金利をどう考えているかが、ポイントになるでしょう。

また、メキシコでは新大統領が補助金等を拡充する法律改正・憲法改正を目指す動きがあります(財政を悪化させる政策)。このへんが、金融政策の決定に影響する可能性があるでしょう。


BOMがハト派の姿勢を見せたら、ペソは売られるでしょう。据え置きとハト派は五分五分といった感じでしょうか。


記事は以上です
また次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)


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