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〔米国〕PCEデフレータ 事前考察&ドル見通し

21:30に発表です。FRBはPCEコアデフレータを見て利下げを決めるため、経済指標の中で最も重要なものとなります。



❏ 今夜の予想

前回値に対し、やや弱含みの予想値になっています。PCEコアデフレータが「+2.6%」まで鈍化するようなら、利下げの足音が聞こえてくるため、ドルを売る投資家も増えるかも知れません。これ以上に下がれば、ドルは値崩れする可能性が高いです。

そろそろ、インフレ急落が見られても不思議はありません。
背景についても、簡単に分析していきます。


❏ ファンダメンタル分析

▶時系列データ

拡大できます

PCEデフレータおよびPCEコアデフレータは、直近になって勢いを戻しています。これによって、FRBが利下げに弱腰な姿勢を見せるようになりました。今のところ、年1回か2回の利下げを示唆していますが、それはPCEコアデフレータ次第でしょう。
FOMCで金融政策を変更する基準は「PCEコアデフレータ(前年比)が2%になるか?」で決まります。


▶米消費者の変化

これまでアメリカ国民は、猛烈なインフレを前に「給料を手にしたら、即座に(価格が上がる前に)品物に変える」という消費行動をとっていました。そのため、価格が上がるから消費が旺盛になり、消費旺盛になるから価格が上がるという循環が続いたわけです。

しかし、この流れに変化が起こりました。先日ウォルグリーン(小売り大手)が業績の下方修正と店舗の大量閉店を打ち出して株価急落していました。
ウォルマートやターゲットといったディスカウントストアも、数千アイテムの値下げを実施しています。これによって消費者の行動は変わるでしょう。

つまり、インフレが鈍化する理由が増えたわけです。


▶雇用の変化も見られる

6月上旬に発表された雇用統計は、表向きのデータは強かったものの、内容が悪くなっていました。正規社員の採用はマイナスで、パート採用が急増していました。これにより、雇用は不安定になりつつあります。
また、新規失業保険申請件数も直近で23万件台(週次)となり、これまでより2万人程度増えています。同じく失業保険継続受給者数も増えています。


個人が消費を絞る理由が増えていると分析できるでしょう。今夜のデータはそれらを裏づけるか?論点となります。


❏ ドル見通し

PCEデフレータは、指標の重要さの割に発表後の値動きが穏やかです。ゆえに発表後にFXトレードを仕掛けるのは推奨しません。そのうえで、発表後の値動きについて考察します。

▶ 予想より強かったケース(タカ派)

FOMCで高金利継続を示唆するデータになった場合、基本的にドル買いになるでしょう。一般論として、日米金利差によりドル買いが強まるでしょう。
しかし、3つの理由から強いドル買いになりません。

  1. 日本当局による為替介入への警戒感

  2. 四半期末によるポジション調整、利益確定のため反対取引がでやすい

  3. 翌週は雇用統計、ISM製造業景況指数など重要データが控えている

よほど強いデータが出てこなければ、ドル急騰はないでしょう。一部ギャンブラーによる、円売りチキンレース勢が煽ってくる可能性はありますが。


▶ 予想より弱かったケース(ハト派)

ファンダメンタル分析で述べた通り、アメリカにはインフレ減衰する理由がいくつかあります。個人消費が鈍化すれば、インフレ率は嫌でも下がるため思った以上にインフレ急落するシナリオも考えておきましょう。

極めて多くの円売りポジションが積まれているため、非常に弱いデータだった場合、強烈な円高になるシナリオもあり得ます。ポジション調整とドル売りが重なり一方的な相場になるからです。


記事は以上です
次の記事でまた次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)


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