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トルコ中銀が利下げすると、トルコリラ相場は面白くなるだろう!

まず、トルコリラという通貨(投資対象)は、極めてリスクが高いです。FXを数年やって、一通りの投資知識を持った個人投資家がトライできるものです。記事はクリアしている方を前提といたします。


❏ 猛烈なインフレ率が続くトルコ経済

異様な水準のインフレ率が何年も続いている

▶ トルコのインフレ事情

トルコ国民は、極めて高いインフレ率(物価)に悩まされています。トルコでは、給料日になると奥さんが会社前に待機し、夫が給料をもらうとすぐに奥さんが受け取ってパン屋に並ぶ光景があるそうです。
1分でも早く買わなければ、その日の夕方には値上がりしてしまうからです。

本当にインフレで苦しい国民は、日本のようにインフレになると買い控えはしません。即座に消費しますから猛烈な消費となります。貯金など彼らはしません。
政策金利(トルコ中銀)が50.0%でインフレ率が71%です。仮に年50%で銀行に預けてもインフレが71%では、お金の価値が19%も減ってしまうため損しかないからです。

ブルームバーグで、トルコ利下げについて記事になっていましたが、当面はそのようなことはないでしょう。現在のCPIがある程度下がってから動くと見られます。

▶ トルコ中銀(TCMB)が本格的にインフレ退治をはじめた

ファティ・カラハン(Fatih Karahan)TBOC総裁

これまで低金利で成長優先のエルドアン大統領が、「インフレ高騰の中で利下げをする暴挙」を繰り返し、これに反対する良識的な中銀総裁の首を次々切りました。これが原因で、トルコにはインフレ体質が根付き現在も続いています。

しかし、カラハン・トルコ中銀(TCMB)総裁(写真)やメフメト・シムシェキ(Mehmet Şimşek)財務相など、テクノクラート(経済官僚)が要職に就き、改革がはじまっています。
カラハン氏はNY連銀でエコノミストを務め、シムシェキ氏はメリルリンチに務めていました。資本経済をよく知る人物です。

トルコ中銀(TCMB)は、エルドアン大統領が渋っていた利上げを実行。8.5%だった政策金利を50.0%まで利上げ(利上げを始めたのは前任エルカン総裁)し、インフレ退治に乗り出しています。
また、2024年6月には緊縮財政にも取り組み始め、トルコ政府は「震災復興を除く公共投資の減額」をはじめました。

こうした取り組みは、トルコ経済を健全化させトルコリラの価値を上昇させると見込まれます。


❏ トルコリラの基本スペック(通貨情報)

▶ FXトレードにおけるトルコリラ

トルコリラを短く説明すると『スーパーハイリスク&超高利回り通貨』です。FX口座を使いスワップポイント(利回り)を計算すると、レバレッジを使わずとも34.95%(年利回り)となります(FX業者により異なる)。

ただし、トルコは国内経済の不安定、周辺国の地政学リスクを常に抱え、四方に敵を抱えています。スウェーデンのNATO加盟に最後まで反対し、アメリカとの関係は良好とは言えません。
ゆえに、これまで海外投資家はトルコから逃避を続けており、トルコリラは常に売り浴びせられてきました。

トルコリラ/円は、2007円に99円60銭をつけていましたが、ここから一方的にリラ安が進み、現在は4.7円(95%安)となっています。

▶ ファンダメンタルの改善が進む

トルコ経済はまだ多くの問題を抱えていますが、明らかに改善傾向が見られます。逆に言えば、インフレ率が10%を割るようになり、外貨準備を整えて、海外投資を迎え入れることがさえできれば、多くの問題は解決するでしょう。

トルコは人口8000万人おり、若年人口は極めて多く、識字率も高い。基礎工業力も高く、トルコリラが安いため安価&優秀な労働力がいます。地政学的にも西に欧州、東にアジア、南に中東&アフリカと交通の便も良いため立地も優位といえるでしょう。
長期的なファンダメンタル分析をするなら、政治が安定して経済が健全化すればトルコへの投資は間違いなく増えます。中国から工場撤退を考える企業の移転候補にもなりえます。


❏ トルコリラの相場傾向

さて、トルコリラは買えるか?という問いに答えるうえで重要なのは、トルコリラの相場特性です。ドル、ユーロ、円とは明らかに違う要因で値動きすると理解が必要です。

ドルが値動きする最重要要因は金利です。FRBが利下げを本格化させれば、今のドル高は解消され、円安問題も解消されるでしょう。それほどに金利は為替に影響し居ます。これが一般的な為替要因で、相場予測はこの応用となります。

▶ トルコリラの値動き要因とは?

トルコリラ/円(月足)
なお2018年夏の急落は「トルコ危機」と呼ばれている


しかし、トルコリラに一般常識は通用しません。トルコリラは政策金利が8.5%から50.0%に利上げされる過程でも下げていました。なぜこうなのでしょう?

トルコリラが値動きする主要因は『通貨の安定性』です。あるいは『トルコ経済の安定性』です。つまりトルコは、金利どうこうというより、まず普通の経済であるかが重視されています。
インフレが普通になり、政治情勢が普通になり、企業が安全に工場を建てられるようになるなら、トルコリラは買われます。もし利下げすることで、トルコが安定するならリラ買い要因となるでしょう。

この点が、他通貨と異なる点です。

現在71%のインフレ率(CPI)が十分に下がり、50.0%という異様な政策金利を下げる時期が来たとします。これは「トルコにとって安定性が高まったこと」になるはずです。
ゆえに、ファンダメンタルが改善したことで利下げできるなら、トルコリラは買い要因になるでしょう。かつて、エルドアン大統領が無理やり利下げしたのとは事情が異なります。


❏ トルコリラは買いか?

トルコはNVIDIAが急騰する前夜に似ている


テクノクラートが要職に就いたことで、トルコ経済にバフが掛かって強化されつつあります。今すぐ買いかは分かりませんが、それほど遠くない将来にトルコリラが騰勢を強める可能性がでてきました。

▶ トルコリラ/円が10円に戻るのは一瞬

現状4.7円のトルコリラ/円ですが、もしトルコに海外投資資金が流入しはじめたなら、10円に戻るのは瞬間沸騰なみでしょう。少しの資金で急騰するはずですので。
ただ、今すぐ上昇するのではなく、まだ下げ余地は残っている可能性もあります。仮に今ポジションを取って3.0円まで売られたなら、証拠金はかなり削られるでしょう。

判断は、高度な知識と情報が要求されます。
極めて高リスクではありますが、物凄い利益を手にするチャンスもあるでしょう。

先ほどのトルコリラ/円の月足チャートをご覧ください。
目先(ここ数カ月)は下げ止まっています。移動平均線のトリムも並行へもどりつつあります。ファンダメンタルが改善している中、これをどう分析すれば良いのか?腕の見せ所になります。


記事は以上です
次の記事でまた次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)


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