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奈良県立大学現代アート展船/橋 わたす 2020「へんでふつう わたしたちの10年を話しあう」


本展は、11月にアーティストである瀬尾夏美さんをお呼びして行ったワークショップをもとに、ワークショップ参加者と企画者である櫻井が企画した展覧会です。


瀬尾夏美さんは、地域社会(岩手県陸前高田市)に旅人として介入し、対話の場を市民と協働で行うなど、対面で行うコミュニケーションを多く紡いできました。現在は仙台を拠点に、陸前高田での制作を継続しながら、戦争体験をした人たちや障害を持つ人たちなどの話を聞き、展覧会や企画を行っています。


11月のワークショップでは、本学の1年生から4年生までの参加者6名(以下、展覧会スタッフ)とともに、語りのワークやてつがくカフェといった対話の手法を瀬尾さんにレクチャーしてもらいつつ、みんなでその手法を試しながら、自分たちが子どもから大人へと成長してきた10年間のことを話しあいました。

展覧会タイトルである“へんでふつう”という言葉には、10年前に子どもだった私たちが成長する過程で過ごした震災後から今までの社会状況を“へんでふつう”な10年として、また、現在コロナ禍で生活している日常を“へんでふつう”として捉えた二重の意味があります。
ですが、今まで過ごしてきた環境や年代によって、この10年の感じ方や現在の日常に対しての捉え方はそれぞれ違うと考えられます。
みなさんにとって、今までの10年間はどのような10年間でしたか?また、コロナ禍でどのような心の変化を感じていますか?


本展は鑑賞いただくだけではなく、みなさんに参加・体験していただく内容の展覧会となっております。是非みなさんの声をお聞かせください。

本展が来場者のみなさんにとって、普段中々他者と話すことのない、個々の内面にある考えや思いを共有する場になれば幸いです。


本展は、12月12日から12月20日まで、奈良県立大学地域交流棟3階を展覧会会場に、対面での実施を予定しておりましたが、12月15日から本学の新型コロナウイルス対策にかかる「行動基準」の変更に伴い、鑑賞者の校内立ち入りが認められなくなったため、オンラインで展開する運びとなりました。

上の文は会場に掲示しているあいさつ文です。記載の通り、本学の学生である展覧会スタッフと、来場者の方の”わたしたちの10年を話しあう”対話の場としての展覧会を本学にひらき、立場の違う多くの人の声を聞くことで、そこから多様な価値観を共有することが本プロジェクトの目的です。

さてオンラインでどのように展開してくかを考えたときに、noteを通じて、企画者である櫻井をはじめ、展覧会スタッフがどういう思いで、展覧会の場をつくったのかを共有することができるのではないかと考えました。

今回は、本展の紹介を行う形で文章を書いてみました。

会期終了まで是非チェックしてみてくださいね。



(以下、フライヤーから引用)

「船/橋 わたす」は、芸術系の学部・学科のない奈良県立大学を舞台に、多様な価値観を共有することを目的として2017年から開催している現代アート展です。今年度は、地域社会(陸前高田)に旅人として介入し、対話の場を市民と協働で行うなど、身体を出会わせるコミュニケーションを多く紡いできたアーティストの瀬尾夏美さんをお招きします。10年前に子どもだった人たちを対象としたワークショップと、それを元にワークショップ参加者と協働でつくる展覧会をプロジェクトとして開催します。
現在コロナ禍で生活している私たちは、“へんでふつう”ともいえる日常を過ごしているのではないでしょうか。また、10年前に子どもだった人たちは、震災後の“へん”な社会状況を“ふつう”として、子どもから大人へと成長してきました。震災から遠いと思っている人たちが、自分自身の生い立ちや物語を震災後の時間として振り返ることで、今まで語られてこなかった語りが生まれると考えます。ワークショップと展覧会を通じて、話すこと、立場の違う多くの人の声を聞くこと、そこから多様な価値観を共有することが本プロジェクトの目的です。
 10年前に子どもだった人たちの今まで語られてこなかった言葉を手繰り寄せることで、一人一人がこれからの生活を営むヒントを得る機会になれば幸いです。

テキスト:櫻井莉菜(本展企画者)

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