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スタジアム建設の5W1H (WHAT)

WHAT (なにを)

当然サッカースタジアムをですね。Jリーグスタジアム基準では、必須とされる設備の第1項目に「フットボールスタジアムであること」が書かれています。では、J1基準充足とされるスタジアムに陸上競技場もあるのはなぜ?なのですが、この項目はまだ、「★★★=具備が必要とされるものの、期限については今後検討を続けていく条件」とされています。

Jリーグクラブは、Jリーグに加盟するときや、Jリーグクラブライセンスを申請するときに(つまり毎年)、Jリーグ規約等を遵守する宣言書を提出します。スタジアム建設が進まず問題が出てくると、サッカーにだけスタジアムがいらない主義者とか、"税リーグ"と揶揄する輩が登場してきますが、そもそもはサッカークラブのほうがJリーグに入りたいと言って申し込んでおり、スタジアム基準に従うことを約束しているのです。その際、必要であれば関連する自治体が確認書のようなものも合わせて提出しているのです。

とはいえ、Jリーグ規約は2012年から施行され、ほぼ毎年改正されていますので、Jリーグクラブごとに入会したタイミングにより、入会時点での規約が若干異なります。そのため運用基準が複雑化しており、当初から入会していたクラブと、ここ最近入会したクラブ、これから入会する新入会クラブでは、Jリーグの対応が異なって見える原因になっています。

山口県での"理想のスタジアム"

第 34 条〔理想のスタジアム〕
(1) 公式試合で使用するスタジアムは、Jリーグスタジアム基準を充足することに加え、ア
クセス性に優れ、すべての観客席が屋根で覆われ、複数のビジネスラウンジやスカイボ
ックス、大容量高速通信設備(高密度 Wi-Fi 等)を備えた、フットボールスタジアムで
あることが望ましい。
(2) 前項の「アクセス性に優れる」とは、次の各号のいずれかを充足していることをいう。
① ホームタウンの中心市街地より概ね 20 分以内で、スタジアムから徒歩圏内にある電車
の駅、バス(臨時運行を除く)の停留所または大型駐車場のいずれかに到達可能また
は近い将来に到達可能となる具体的計画があること
② 交流人口の多い施設(大型商業施設等)に隣接していること
③ 前各号のほか、観客の観点からアクセス性に優れていると認められること

山口県にレノファが利用する新スタジアムを建設する際に、Jリーグ規約第34条の理想のスタジアム4要件を満たそうとする場合の話を進めていきたいと思います。全県ホームタウンながら、最初のホームタウンである山口市を基準に考えると、維新公園と新山口駅は問題ありませんが、きらら浜では2項① (要約すると、中心市街地からスタジアム最寄駅やバス停まで概ね20分以内) を満たすことができないおそれがあります。また、2項②の「交流人口の多い施設(大型商業施設等)に隣接」については、維新公園でも満たせないかもしれません。では、新山口駅周辺ではどうなのかとなると、いずれにしてもJリーグを含む関係各所との協議が必要になると思います。

前回書き漏らした場所の話が続いてしまいました。スタジアムが有する機能については、第34条1項やJリーグスタジアム基準の要件を遵守するとして、どんな規模のスタジアムが相応しいでしょうか。ちょうど最近国立競技場の運営事業について、Jリーグを含むコンソーシアムが優先交渉権者として選定されました。そして、コンソーシアムのリーダーであるNTTドコモから、ワールドカップの主会場の条件となる80,000席への増席が可能との発表がされました。

ワールドカップの主会場の条件は80,000席以上ですが、他会場の条件は40,000席以上となっています。もし山口県にワールドカップを招致したい場合、40,000席以上のスタジアムを建設することが必要となります。おそらく100年間で最大2-3回は日本でワールドカップが開催され、1回の大会あたり3-4試合前後を招致することが期待できます。そのほか、ときどき代表戦などのビッグマッチを開催することも、条件的には可能となります。

ワールドカップ招致は諦めて、それよりも少ない席数で建設する場合、20,000席、15,000席、10,000席のいずれかにすることになるでしょう。20,000席だと、JFAのクラス1という規模になり、開催できる大会が若干多くなります。15,000席がクラス2となり、J1の試合やU20の公式戦等が開催できます。10,000席で建設した場合は、J2では問題ありませんが、J1に昇格できた場合に数年以内に増席することが必要となります。
(つづく)

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