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窓辺で本を

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これまで読んだ素敵な本たちをふむもく視点でご紹介します。
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#読書感想文

034 窓辺で本を-夢十夜-

高校生のころに仲の良かった友人が夢に出てきました。 とても楽しい夢でしたが、目がさめたときに「これはまずい」と思いました。 私は身近な人と夢で会う頻度が高くなればなるほど、その人と疎遠になる傾向があるからです。でも、なにかにつけて気づくのが遅いの私は、はっと思ったときには、すでにその人とは会えなくなっていることがほとんどです。 -------------------- 「こんな夢を見た」という出だしが有名な夏目漱石の『夢十夜』は、1908年の夏に朝日新聞で連載されていた短

012 窓辺で本を-西瓜糖の日々-

何年か前、図書館で仕事をしていたことがあって、そこでさまざまな人に出会いました。 本を読むのが好きで定期的に来る人、子どものために絵本を借りに来る人、なにか知りたいことがあって来る人。そのほかいろいろ。 私に話しかけてくれる人は、たいてい何かを知りたい人でした。 あの映画の原作はありますか?ええと、作者はわかりません。とか。 血液型の歴史を知りたいのだけど、どうやって調べたら良いですか。とか。 どうしてこんな道徳的に良くない本を置いているのですか。とか。 二歳の子にどんな本

005 窓辺で本を-金曜日の砂糖ちゃん-

なんだか早起きしてしまった朝。 ベランダに出たらすでに少し暑くて、でも日中ほど暑くはないので、しばらく空や建物を見ていました。音はなくて、空はきれいな青色。雲は昨日よりもやや多い。 同じ朝はないみたい。 なんとなく、酒井駒子さんの絵本を思い出したので、本棚から出してきました。 『金曜日の砂糖ちゃん』 三つの短編からなる、薄くて小さな絵本。 絵が美しいだけでなく、言葉やストーリーが詩的で印象的な絵本。 今日はこちらの絵本に収録されている一つめのお話「金曜日の砂糖ちゃん」につ